2019-11

産婦人科研修のご紹介

こんにちは!研修医2年の鈴木凜と申します。
手稲では11月中旬から雪が降り始め、地面は凍り、芯まで冷える寒さになってきました。去年転倒した反省を活かして気をつけて歩いていましたが、今年も早速派手に大こけしました。冬シーズンに見学予定の学生の方は、ぜひ滑りにくい靴でいらしてください。

それでは今回は、産婦人科研修について紹介したいと思います。
産婦人科は今までは選択枠でしたが、2020年度から必修枠となるので、次期1年目からは全員が研修することになります。
そこで、当院の産婦人科研修を3ポイントで紹介したいと思います。

①手術件数が豊富
数字でいうとピンとこないかもしれませんが、2018年(1~12月)の産婦人科総手術件数は1,656件、その中で腹腔鏡手術の比率が高く、1,016件行われています。これは全国でトップ3に入る件数だそうです。そのため、ほぼ毎日研修医は何かしらの手術に入っています。上級医の十分な指導の下、マニピュレーターという子宮を動かす器械の操作から始まり、研修医の能力に応じて手術手技の指導を受ける機会もあります。外科系を考えている人にとっては充実した日々になるかと思います。

②指導医が豊富
当院は手術件数が多いこともあり、多くのスタッフがいます。最近では専攻医の先生も増えてきており、若手からベテランの先生まで幅広くいらっしゃいます。
基本的に、研修医はローテート中に一人の指導医について病棟や外来などの業務にも関わらせていただきます。指導医以外の先生方も、新しい患者さんが来た時に研修医を呼んでくださり、みな優しく気さくに話しかけてもくださるので、相談もしやすく大変恵まれた環境です。

③休みがしっかりある
産婦人科では土日が完全オフです。しっかり休んでもよし、遊んでもよし、産婦人科に興味があって経験を積みたければ出勤してもよし。フレキシブルだけどしっかり学べるのが当院産婦人科の特徴と思います。

ということで大まかに産婦人科の紹介をしましたが、とにもかくにも出産は感動します。必修科になった産婦人科で是非たくさんのことを学んでください!

初の海外学会参加とアメリカの病院見学

こんにちは。手稲渓仁会病院研修医2年目の寺田と申します。
当院では院外研修の機会があり、研修医1年目に5日間、2年目に10日間が付与されていて、興味がある病院の研修や学会への参加が可能です。今回、私は院外研修の期間を利用して1週間ワシントンに行き、2日間ジョンズホプキンズ病院の救急と内科の見学と、4日間のSociety of General Internal Medicine (SGIM)の学会へ参加し、内科症例のポスター発表をしたため、現地の様子を報告します。ジョンズホプキンズ病院への見学は、一度研修医の視点でアメリカの研修を見てみたかったことと日本では見られない症例に興味があったことから、上級医に相談して当院にも教育に来て頂いたジョンズホプキンズの内科医師に紹介してもらい、実現しました。渡航にあたっては、病院から渡航費及び学会費用の補助を頂きました。

5月初めにワシントンに飛び、まずジョンズホプキンズ病院を見学しました。救急では2チーム制が取られており、RedとBlue teamと言われていました。Red teamは外傷チームです。1チームにつき指導医1-2人、研修医3人という体制で人手は豊富のようでした。アメリカでも有数の治安の悪い病院周辺から様々な患者さんが運ばれてくるようで、日本ではなかなか見られない銃創患者、薬物の大量服薬などは日常茶飯事のようでした。

内科見学は、チーフレジデントによる朝レクチャーから始まりました。内容としては、前日夜間に研修医チームが見た入院症例に関しての臨床推論を通しての振り返りという形式で行われ、主訴から考えられる疾患を挙げ、問診で何を聞くべきであったか、アセスメントは正しくできたのかを研修医と医学生で議論しながら進めていきます。その後、患者さんご本人のベッドサイドまで行き、身体診察(腹部の腎動脈雑音の取り方など)とエコー(肺と心臓)を行いました。内科のチームは複数あり、各チーム、指導医1人、シニアレジデント2人、研修医3人、医学部2年生1人というビッグチームでした。回診プレゼン、方針を決めるのは当院での内科研修と変わりありませんでしたが、医学生が業務をしていることと、各々パソコンがあるためその場で指示出しや処方、カルテ書きを行える点が異なり、興味深かったです。

SGIM学会当日は、アメリカの研修医に交じりながら通りがかった人にポスター発表をしました。周りの研修医とも仲良くなり、研修や進路のことなどをしゃべりました。レクチャーやセッションも豊富で、治療のアップデート的な内容のものから、どのように進路設計をするか、眠らせないレクチャーをするには!?などと多岐に渡っていました。実際に明日から実践できる内容が多くあり、海外学会に参加する意義を強く感じる機会となりました。

今回の院外研修を通して、研修医として日々忙しく医学を学んでいる中で、自分が経験した症例の発見を発表し、意見交換をすることを通して新たな疑問が生まれ、今後に生かせる知識が身につけるなど、重要なことを当たり前にできるようにしたいと思いました。これが実現した背景に病院のサポートや指導医、周りの研修医、事務の方の協力があり、感謝の思いで一杯です。

研修医のためのレクチャー ”Morning report”

初めまして!研修医2年目の中溝と申します。
今回は、当院の教育プログラムの一つでもある”Morning report”について紹介します。
“Morning report”は平日の朝に開催されている研修医のためのレクチャーです。各種疾患への対応法や鑑別の練習に加えて、エコーのレクチャー、身体所見の取り方など内容は多岐に渡ります。時には研修医もレクチャーを行う側となり、人前でのspeech能力を向上させる貴重な機会にもなっています。この記事では、日々行われている”Morning report”の中から救急科の先生による「てんかん」のレクチャーについて一部お届けします。

そもそも「てんかん、てんかん発作、痙攣発作の違いを説明できるか」と最初に問われ、自信をもって説明できないなと思いました(汗) 。なんとなくわかっているつもりでしたが、言葉できちんと説明するとなると案外できないものですね。ということでまずは言葉のおさらい↓

・てんかん発作:神経細胞の異常で、過剰な電気的放電が同期して発生することにより突然現れる行動の変化
・痙攣発作:てんかん発作で全身または一部の筋肉が過剰な収縮を伴うもの
・てんかん:非誘発性にてんかん発作を繰り返す疾患

てんかん発作は筋肉の過剰な収縮、つまり”ガクガク”してなくてもいいわけですね。そこで覚えておくべき疾患がNCSEですね。 国家試験にはほぼ出ないんじゃないかと思いますが、臨床では遭遇します。NCSEはnonconvulsive status epilepticus(非痙攣性てんかん重積状態)のことであり、文字通りてんかん発作は発生しているのにガクガクしていない状態です。要は実際に痙攣していないからといって、てんかんじゃないとはいいきれないってことですね。

意識障害だけで搬送されてきたりするので、原因不明の意識障害の鑑別診断として頭に入れておきましょう。そして痙攣を見た時の薬剤の使用については、当院の救急外来ではジアゼパム10mg → 5-10分後持続しているならジアゼパムをもう10mg追加 → それでもだめならホストイン15mg/kgとなっています。もちろん常にABCの評価は必須です。詳しいことはガイドラインも参考にしてみてください。ありがたいことに日本神経学会が、てんかん診療ガイドライン2018をネット上で公開してくれています! ぜひ活用しましょう。

見学にきてくれた学生さんが5人も参加してくれて、当院の教育の一部を知ってもらえたと思います。見学、気軽に来てくださいね~。