地域医療研修のご紹介

初めまして。研修医2年目の都甲(とごう)と申します。ご存知の方も多いと思いますが、現行の臨床研修制度における地域医療の到達目標は、『患者が営む日常生活や居住する地域の特性に即した医療について理解し、実践する』であり、へき地・離島診療所、中小病院などで地域医療として1ヶ月以上の研修を行うことが必要とされております。私も11月に地域医療研修として、倶知安(くっちゃん)町にあります倶知安厚生病院で研修を行ったばかりですので、簡単に紹介いたします。

 倶知安町は、北海道虻田郡にあります総人口15,132人の町であり、世界的なスキーリゾートで有名なニセコと隣接していることから、国外から多くの観光客が訪れる国際色豊かな町です。町の一般的なスーパーを訪れると、南半球やアジア圏からの観光客と思われる方々が買い物をしており、まるで外国に来たかのような錯覚を抱きます。当然、医療面も国際色豊かで、ハイシーズンになると救急外来は外国人の方のスキー・スノーボード外傷で溢れ、その時期の研修医はひっぱりだこのようです。残念ながら、私が訪れた時期はまだスキー場がオープンしていないこともあり、外国人患者さんの診療機会は少なめでしたが、日本語で診療するのと異なり、診察に際しての声かけや病状説明が不足するなど、母国語以外で診療することの難しさを実感し、非常に良い経験をさせていただきました。
 また、普段は急性期の治療内容を学ぶことに精一杯で、患者さんがどのように元の生活に戻っていくかイメージが湧きにくいのが正直なところでした。倶知安厚生病院では地域包括ケア病棟を備えており、急性期治療を終え、病状が安定した患者さんに対して在宅や介護施設への復帰支援に向けた医療を学ぶことができます。患者さんおよびご家族とのIC、他職種との退院支援カンファレンス、退院後の訪問診療などを通じて、患者さんやご家族の思い、そしてそれを支援する職員の方々の思いに触れ、地域の方々がまたそれまでの日常生活に戻れるよう医師として精進しなければならないと、思いを新たにしました。
 このように、本来の地域研修に加えて外国人診療の機会にも恵まれる点は、倶知安厚生病院および当院ならではと思います。ご興味のある学生さんがいらっしゃいましたら、ぜひ一度見学に当院へ足をお運びください。
 最後になりますが、寒さ厳しき折くれぐれもご自愛ください。

倶知安厚生病院から望む羊蹄山(富士山に似た姿から、蝦夷富士とも呼ばれています)