2020-02-06

BSLがちょっと楽しくなる医学のお勉強

初期研修医2年目の末吉利成と申します。ICUをローテーションした際に勉強した、酸素療法のデバイスについてシェアします。

 皆さんは、BSLで患者さんの鼻に管がついていたり、口にマスクがつけられている姿やその横に大きな装置が設置されているのを見たことがあるのではないでしょうか。何だろうと思ったことはありませんか。

 今回は、酸素療法のデバイスについて少しお話しします。

 酸素投与のデバイスには、ざっくり分けて2つのカテゴリーがあります。低流量システム、高流量システム2つです。

 低流量システムは、鼻カニューラ、マスク、オキシマスク™、リザーバーマスクがあります。高流量システムには、High flow nasal cannulaとインスピロンマスク™があります。これら2つは、名前の通り流量が違うのですが、低流量システムか高流量システムかは、分時換気量がある値を超えるか否かで分けられます。具体的には、人の1回換気量を500mLとし吸気時間を1秒とすると、30L/分となるため、これを境に上記の区分けとなります。

 それでは、なぜ分時換気量で分けるかというと、分時換気量以下の流量で酸素を流すと投与している酸素のみならず周りの空気も吸ってしまうのです。そうなると、投与されている酸素○L /分のほかに周囲の空気が混ざってしまい正確に何リットルが吸入されているのかわかりません。つまり、酸素○L/分で流しても個々人でFiO2が変動してしまいます。そこで出てきたのが高流量システムです。高流量システムは分時換気量より多い量を流すことで周囲の空気が混ざることを防ぎ設定した量の酸素を投与することができます。つまり、FiO2を設定することが出来ます。それなら、すべて高流量でよいのではとお思いの方もいらっしゃるかと思いますが、低流量システムは高流量システムと比べると安全で容易に使用でき、簡便であることから好まれることがあります。加湿が不十分な高流量システムは気道乾燥による害を及ぼすので、加湿のための回路構成ならびに使用中の水分供給などの手間が、高流量システムの一部として重要になります。

 ICUでは患者さんを1日に3人前後受け持ち、全身管理を行います。その際、By systemという臓器別に問題を挙げていき介入するという方法で患者さんを把握、治療するのですが、全て把握しきるのは大変です。ですが、ICUを担当する指導医の先生方が、こちらが感謝してもしきれないほど、研修医の特性や、弱点をみながらしっかり熱心に指導して下さるので、非常に充実した1ヶ月を過ごすことが出来ました。この場をお借りしてお礼申しあげます。

 おいでよ、手稲渓仁会病院ICU!