2020-03

救急科での研修について

皆様初めまして、研修医2年目の佐々塚と申します。
 暖冬と思われた今シーズンもその期待を裏切り、3月になった現在でも、深々と雪が降り積もっていることがあります。本州出身の私にとって北海道の寒さは想像を絶するもので、当初は通勤の足取りを重くさせていましたが、人は順応する生き物であり、2年目の今となっては四季の表情豊かな北海道の魅力に取り憑かれてしまいました。皆様も、是非一度冬の北海道へいらして下さい。

 さて、皆様は初期研修先の病院を選ぶ際に、救急研修が強い・弱いといったことをよく耳にしないでしょうか?当院の初期研修プログラムでは将来の志望科に関わらず、ジェネラルに診ることを目標とした幅広いスーパーローテーション研修が特徴的です。山鹿先生のブログにもありましたが、その中でも初期研修医として避けては通れない救急科での研修について、再び共有させて頂きます。

 手稲渓仁会病院は人口約200万人が暮らす札幌市に存在し、救命救急センターでは初期から三次まで内因・外因・疾病の種類などに関わらず様々な救急病態に対応しています。救急診療に携わる期間としては救急ローテーション3ヶ月とNF(ナイトフロート)3ヶ月の合わせて6ヶ月と初期研修2年間の4分の1を占め、1000例近くの救急症例を経験します。救急ローテーションは日勤帯(8:00~20:00)、夜勤帯(20:00~翌朝8:00)までの2交代制であり、on-offのしっかりした研修を送ることができるのも魅力の1つです。診療体制としては、救急専門医・救急科専攻医・初期研修医の1チームで診療にあたり、初期研修医がファーストで診療を行い、救急科専攻医にプレゼンし、さらにその上で救急科専門医に指導を仰ぐという“屋根瓦研修”が徹底されております。これにより、チームの一員である責任感が培われ、また安心して救急医療を学ぶことができたと感じています。

 また、某救急ドラマ・映画が一世を風靡しましたが、当救命救急センターは北海道のドクターヘリの基地病院として、手稲区内外からの救急患者対応も行なっています。初期研修医であっても熱意と事前の学習が必須ではありますが、On the Job(OJT)研修としてドクターヘリに同乗し、プレホスピタルの最前線を学ぶことができます。私が地域実習で脳卒中疑いの患者さんを当院に搬送する際、ドクターヘリから降りて来られた先生の姿は非常に格好よく、脳裏に焼き付いて忘れることができません。

 是非、当院を見学する機会がございましたら救急科研修の雰囲気を感じてみて下さい!

ナイトフロート(NF) walk-in のご紹介

雪が少なめの冬を過ごしている手稲からこんにちは。初期研修医の山鹿です。
例年に比べ暖冬と言われていますが、やっぱり北海道の冬は厳しいです。そんな寒さにも負けず、手稲渓仁会の研修医は今日も元気に過ごしています。

 今回は、1、2年目で経験する「ナイトフロートwalk-in」についてご紹介します。ナイトフロート(以下NF)とは、研修医の研修期間において、2週間から1カ月程度の一定期間を夜間の当直業務のみとする、アメリカで始まった制度です。当院では、2017年に導入になり、初期研修期間の2年間のうち、1カ月を1単位として年に2回、NFを経験します。NFは、研修医1年目・2年目・3年目以上(専攻医含む)の3~4人から構成されたチームで1ヶ月間、夜間救急外来対応を行うローテーションです。1ヶ月を2チーム制で担当し、Aチームは夜間救急外来を、Bチームは夜間内科病棟を担当し、2週間で交代します。今回は、主に夜間救急外来(walk-in)について伝えします。 

 当院では、救急車を使わずに夜間救急を受診される患者さんに対応しています。その初期診療を担うのがNF walk-inチームです。患者さんは受付でそれぞれ外科・内科・小児科の問診票を症状に合わせて記載します。その問診票と受診歴を電子カルテ上で確認し、診察開始です。診察室に呼び入れる瞬間は何度経験しても緊張感で一杯です。夜間に受診される患者さんの主訴は様々です。その症状から緊急的な介入が必要か否かを判断します。「この症状の鑑別は?」「必要な検査は?」「処方する薬は?」など、様々な情報が頭の中をグルグルと駆け巡ります。一度自分でまとめた情報を指導医にコンサルし、一緒に方針を決めていきます。指導医は診察室の後ろで待機してくださっていて、適切な方向に導いてくださる心強い存在です。さらに、当院では各診療科の先生が夜間待機をしてくださっているので、必要な場合には専門科の先生にもご相談します。初期対応した患者さんが緊急手術になる事もあります。1ヶ月間を通して、内科疾患だけではなく、外科疾患や小児(1歳以上)の初期診療も対応するので、幅広い救急症例を経験できる貴重な機会です。

 また、平日の救急外来対応は午後5時からなので、日中は自己啓発の時間として使うことができます。夜間の勤務に負担にならない範囲で、普段経験できない薬剤部・エコー検査・栄養部といった、他職種の業務について学べる機会もあります。もちろん、目標にむけて自己学習に励む事も可能なので、時間の使い方は十人十色です。

 さて、今回は NF walk-inについて簡単にご紹介させていただきました。是非、見学にお越しください。北海道でお待ちしています。

選択研修の紹介~腫瘍内科での研修~

こんにちは!初期研修医2年目の大東です。今回は、私の志望科で内科系の選択科の一つもある「腫瘍内科」の研修を紹介したいと思います。

 「腫瘍内科」という科を皆さんはご存じでしょうか?最近はドラマで腫瘍内科医が紹介されるなど、少しずつ馴染みの有る診療科になりつつあります。腫瘍内科医とは、「がん治療の4つの柱である外科治療、抗がん剤治療、放射線治療、緩和ケアの中でも抗がん剤治療を主軸に外科医や放射線科医、緩和ケア医と協力しながら、患者さんと相談してがん治療を進めていく」医師となります。全国にいる28万人いる医師のうち、腫瘍内科専門医は約1300人であり比較的まれな診療科です。
 手稲渓仁会病院の腫瘍内科は、現在3名の医師で診療をしています。甲状腺がん、乳がん、胃がん、大腸がん、膵がんなど多臓器にわたる抗がん剤治療を行っています。初期研修医としては、上級医の外来を見学していく中で化学療法の勉強をしたり、他科とのカンファレンスに参加をしたり、入院患者さんの初期対応や管理を勉強しております。入院になる患者さんとしては、化学療法の導入のためであったり、副作用があり症状コントロールが難しくなったり、病勢進行のため食事摂取困難となり自宅での生活が難しくなった方などがいます。
 近年のがん薬物療法では、免疫チェックポイント阻害薬が様々ながんに使われるようになってきており、特殊な副作用で内科医としての管理が更に求められるようになっています。遺伝子パネル検査といって、遺伝子変異を調べ、それに効果がある薬を発見できる可能性がある検査などが保険適応になり、腫瘍内科医の仕事も多岐にわたるようになっています。最新の治療は毎年Up dateされており、海外の学会では、標準治療が変わる瞬間を目の当たりにする機会も腫瘍内科の研修ではあります。私は7月に腫瘍内科をローテーションした際、バルセロナで開かれた国際学会に連れて行って頂き、大腸癌のBRAF変異型の標準治療が変わる瞬間を見て「こうやって治療が変わるのか」とすごく感動しました。

腫瘍内科医は人数も少なく、すべての病院にいるわけではありません。患者さんのニーズに合わせて抗がん剤の種類を変更したり、抗がん剤をしないことを相談したり、人生の最期に立ち会ったりと、オーダーメイドで人間くさい診療科です。腫瘍内科に興味を持った方、是非手稲渓仁会の腫瘍内科を見に来て勉強しに来てください。