欧州内科学会議2022参加報告

みなさま、はじめまして。2020年〜2022年まで手稲渓仁会病院の初期研修プログラムに在籍しておりました篠原陸斗と申します。この度、2022年6月8日〜10日にスペインのマラガで開催されました欧州内科学会議に参加して参りましたのでご報告させていただきます。

今回が私にとって初めての国際学会への参加となったのですが、きっかけは私がPGY1であった当時、PGY3だった増田先生に海外渡航して学会発表することの楽しさを熱弁していただいたことでした。増田先生は、2020年にポルトガルにて開催された同学会に同期研修医数名と参加され、初期研修生活の集大成として随分と楽しい思いをされたようでした。その後、総合内科ローテーション中に、極めて珍しい機序で発症に至ったと考えられるニューモシスチス肺炎の症例に出会い、星哲哉先生、中村海人先生をはじめとした指導医の後押しもあり学会参加に至りました。

マラガは、地中海岸のリゾート地であるコスタ・デル・ソルの中心として栄えており、同地域はアンダルシア地方という名でも日本人に知られております。今回は2年ぶりの現地開催とのことで、学会自体はCOVID-19終息を祝うヨーロッパの内科医のお祭りといったような様相を呈していました。メインホールとサブホールでシンポジウムやレクチャーが開催されており、休憩所兼ポスター展示場でポスターセッションが開催されていました。

ポスターについてはヨーロッパ全土から合計1400題ほど演題が集まっておりました。私は遥々スペインまで来たので、やはり個対個の泥臭いdiscussionをしたいと思い、3日間ずっとポスターブースに張り込んでいました。最初の頃は、モニターに写っているポスターをひとまずすべて自分の症例に変えて、足を止めた先生に話かけてdiscussionをするという作戦でしたが、今一つ効率がなくなかなか足を止めてもらえませんでした。そこで、休憩所近くのモニターを使って一人で無料のケーキを嗜んでいる先生に声をかけてdiscussionに持ち込むようにしました。結果的には3日間で30名近くの先生と交流し、さまざまなコメントをいただくことが出来ました。

学会発表の準備に関しては、抄録提出後も、研修医Morning Reportを利用した外国人医師との症例検討会で、十分に時間をかけて推敲したという点が非常に有意義であったと感じております。今考えても、珍しい症例に出会い、さらに外国人医師を含めた多くの優れた臨床医との検討を経て、発表に至ることができる手稲渓仁会病院の環境は非常に恵まれていると感じます。

最後になりますが、このような貴重な機会をいただけた指導医のみなさま、共同演者のみなさまに感謝いたします。また、当院での研修に興味を持っていただいている医学生の方々には、当院ではこのような楽しく刺激的な経験をするチャンスが転がっておりますので、ぜひ見学にいらしていただければと思います。

篠原陸斗