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ナイトフロート(NF) walk-in のご紹介

雪が少なめの冬を過ごしている手稲からこんにちは。初期研修医の山鹿です。
例年に比べ暖冬と言われていますが、やっぱり北海道の冬は厳しいです。そんな寒さにも負けず、手稲渓仁会の研修医は今日も元気に過ごしています。

 今回は、1、2年目で経験する「ナイトフロートwalk-in」についてご紹介します。ナイトフロート(以下NF)とは、研修医の研修期間において、2週間から1カ月程度の一定期間を夜間の当直業務のみとする、アメリカで始まった制度です。当院では、2017年に導入になり、初期研修期間の2年間のうち、1カ月を1単位として年に2回、NFを経験します。NFは、研修医1年目・2年目・3年目以上(専攻医含む)の3~4人から構成されたチームで1ヶ月間、夜間救急外来対応を行うローテーションです。1ヶ月を2チーム制で担当し、Aチームは夜間救急外来を、Bチームは夜間内科病棟を担当し、2週間で交代します。今回は、主に夜間救急外来(walk-in)について伝えします。 

 当院では、救急車を使わずに夜間救急を受診される患者さんに対応しています。その初期診療を担うのがNF walk-inチームです。患者さんは受付でそれぞれ外科・内科・小児科の問診票を症状に合わせて記載します。その問診票と受診歴を電子カルテ上で確認し、診察開始です。診察室に呼び入れる瞬間は何度経験しても緊張感で一杯です。夜間に受診される患者さんの主訴は様々です。その症状から緊急的な介入が必要か否かを判断します。「この症状の鑑別は?」「必要な検査は?」「処方する薬は?」など、様々な情報が頭の中をグルグルと駆け巡ります。一度自分でまとめた情報を指導医にコンサルし、一緒に方針を決めていきます。指導医は診察室の後ろで待機してくださっていて、適切な方向に導いてくださる心強い存在です。さらに、当院では各診療科の先生が夜間待機をしてくださっているので、必要な場合には専門科の先生にもご相談します。初期対応した患者さんが緊急手術になる事もあります。1ヶ月間を通して、内科疾患だけではなく、外科疾患や小児(1歳以上)の初期診療も対応するので、幅広い救急症例を経験できる貴重な機会です。

 また、平日の救急外来対応は午後5時からなので、日中は自己啓発の時間として使うことができます。夜間の勤務に負担にならない範囲で、普段経験できない薬剤部・エコー検査・栄養部といった、他職種の業務について学べる機会もあります。もちろん、目標にむけて自己学習に励む事も可能なので、時間の使い方は十人十色です。

 さて、今回は NF walk-inについて簡単にご紹介させていただきました。是非、見学にお越しください。北海道でお待ちしています。

選択研修の紹介~腫瘍内科での研修~

こんにちは!初期研修医2年目の大東です。今回は、私の志望科で内科系の選択科の一つもある「腫瘍内科」の研修を紹介したいと思います。

 「腫瘍内科」という科を皆さんはご存じでしょうか?最近はドラマで腫瘍内科医が紹介されるなど、少しずつ馴染みの有る診療科になりつつあります。腫瘍内科医とは、「がん治療の4つの柱である外科治療、抗がん剤治療、放射線治療、緩和ケアの中でも抗がん剤治療を主軸に外科医や放射線科医、緩和ケア医と協力しながら、患者さんと相談してがん治療を進めていく」医師となります。全国にいる28万人いる医師のうち、腫瘍内科専門医は約1300人であり比較的まれな診療科です。
 手稲渓仁会病院の腫瘍内科は、現在3名の医師で診療をしています。甲状腺がん、乳がん、胃がん、大腸がん、膵がんなど多臓器にわたる抗がん剤治療を行っています。初期研修医としては、上級医の外来を見学していく中で化学療法の勉強をしたり、他科とのカンファレンスに参加をしたり、入院患者さんの初期対応や管理を勉強しております。入院になる患者さんとしては、化学療法の導入のためであったり、副作用があり症状コントロールが難しくなったり、病勢進行のため食事摂取困難となり自宅での生活が難しくなった方などがいます。
 近年のがん薬物療法では、免疫チェックポイント阻害薬が様々ながんに使われるようになってきており、特殊な副作用で内科医としての管理が更に求められるようになっています。遺伝子パネル検査といって、遺伝子変異を調べ、それに効果がある薬を発見できる可能性がある検査などが保険適応になり、腫瘍内科医の仕事も多岐にわたるようになっています。最新の治療は毎年Up dateされており、海外の学会では、標準治療が変わる瞬間を目の当たりにする機会も腫瘍内科の研修ではあります。私は7月に腫瘍内科をローテーションした際、バルセロナで開かれた国際学会に連れて行って頂き、大腸癌のBRAF変異型の標準治療が変わる瞬間を見て「こうやって治療が変わるのか」とすごく感動しました。

腫瘍内科医は人数も少なく、すべての病院にいるわけではありません。患者さんのニーズに合わせて抗がん剤の種類を変更したり、抗がん剤をしないことを相談したり、人生の最期に立ち会ったりと、オーダーメイドで人間くさい診療科です。腫瘍内科に興味を持った方、是非手稲渓仁会の腫瘍内科を見に来て勉強しに来てください。

中国語診療を経験して ~倶知安厚生病院での地域医療研修~

 みなさん、こんにちは。初期研修医2年目の木村です。私は、現在倶知安厚生病院に地域医療研修に来ています。倶知安厚生病院での研修についての説明は以前のブログで紹介がありましたが 、今回は同院での冬期の研修についてご紹介したいと思います。

 冬の倶知安での研修の特徴といえば、外国人診療が挙げられます。救急外来に救急車で運ばれてくる方を診療することもあれば、総合診療科の外来に歩いて来られる方の診療を担当することもあります。また、主治医として入院管理を任されることもありました。倶知安厚生病院へ訪れる外国人はオーストラリア人が多い印象でしたが、香港や台湾を含めた中国系の方の数も多く、英語のみならず中国語での診療を求められる場面もありました。私は中国語が話せるのが特技であり、中国語診療を求めて倶知安を研修先に選びました。やはりニセコのパウダースノーを目当てにやって来たスキーやスノーボードの観光客が多いため、上下肢の骨折や捻挫などの整形外科的な疾患が一番多かったのですが、風邪や腹痛などのcommonな疾患で来る方も多くいました。

 日本人と外国人を比較すると、英語圏の患者さんは疑問点をそのままにしない方が多く、気になったことをすべて質問していた印象でした。私も頑張って英語で回答しましたが、時にはうまく伝わらずに通訳の方(冬季は深夜帯を除いて院内に常勤されています)を呼ぶこともあり、とても無力感を感じました。

 また、中国語圏の患者さんの診療において困難に感じたのは、中国医学の薬を内服している場合です。インターネットで調べても中薬に関する情報は中国語のものが多く、その情報も中国医学をある程度理解していないと難しい内容であり、どんな薬なのか調べるのに時間を要しました。はじめは外国人というだけでこちらが気構えてしまい、過不足なく情報を集めることだけに注力していましたが、慣れてくると私の心に余裕ができ、相手の状況を考えて話せるようになりました。

 冬の倶知安での研修は、前述したように整形外科疾患が多く、希望すれば夕方の救急外来に多く入ることもできるので整形外科志望の方にもオススメです。もちろん、研修の間のオフを利用してスキーやスノーボードを楽しみたい方にもぴったりです。どんな理由であれ、それを叶えてくれる環境が倶知安にはあります。

ケース・ウェスタン・リザーブ大学 津島 隆太先生によるWeb講演会のお知らせ

みなさま、こんにちは。
いつもWeb講演会にたくさんのご参加をいただき、ありがとうございます。
今回は、1/28に本ブログでもご案内していた、ケース・ウェスタン・リザーブ大学 内科レジデントである、津島 隆太先生によるWeb講演会のお知らせです。
特に海外での臨床について関心がある方、是非ご参加ください。
もちろん無料です。
参加申し込みはこちらからお願いいたします。

外科 今村

BSLがちょっと楽しくなる医学のお勉強

初期研修医2年目の末吉利成と申します。ICUをローテーションした際に勉強した、酸素療法のデバイスについてシェアします。

 皆さんは、BSLで患者さんの鼻に管がついていたり、口にマスクがつけられている姿やその横に大きな装置が設置されているのを見たことがあるのではないでしょうか。何だろうと思ったことはありませんか。

 今回は、酸素療法のデバイスについて少しお話しします。

 酸素投与のデバイスには、ざっくり分けて2つのカテゴリーがあります。低流量システム、高流量システム2つです。

 低流量システムは、鼻カニューラ、マスク、オキシマスク™、リザーバーマスクがあります。高流量システムには、High flow nasal cannulaとインスピロンマスク™があります。これら2つは、名前の通り流量が違うのですが、低流量システムか高流量システムかは、分時換気量がある値を超えるか否かで分けられます。具体的には、人の1回換気量を500mLとし吸気時間を1秒とすると、30L/分となるため、これを境に上記の区分けとなります。

 それでは、なぜ分時換気量で分けるかというと、分時換気量以下の流量で酸素を流すと投与している酸素のみならず周りの空気も吸ってしまうのです。そうなると、投与されている酸素○L /分のほかに周囲の空気が混ざってしまい正確に何リットルが吸入されているのかわかりません。つまり、酸素○L/分で流しても個々人でFiO2が変動してしまいます。そこで出てきたのが高流量システムです。高流量システムは分時換気量より多い量を流すことで周囲の空気が混ざることを防ぎ設定した量の酸素を投与することができます。つまり、FiO2を設定することが出来ます。それなら、すべて高流量でよいのではとお思いの方もいらっしゃるかと思いますが、低流量システムは高流量システムと比べると安全で容易に使用でき、簡便であることから好まれることがあります。加湿が不十分な高流量システムは気道乾燥による害を及ぼすので、加湿のための回路構成ならびに使用中の水分供給などの手間が、高流量システムの一部として重要になります。

 ICUでは患者さんを1日に3人前後受け持ち、全身管理を行います。その際、By systemという臓器別に問題を挙げていき介入するという方法で患者さんを把握、治療するのですが、全て把握しきるのは大変です。ですが、ICUを担当する指導医の先生方が、こちらが感謝してもしきれないほど、研修医の特性や、弱点をみながらしっかり熱心に指導して下さるので、非常に充実した1ヶ月を過ごすことが出来ました。この場をお借りしてお礼申しあげます。

 おいでよ、手稲渓仁会病院ICU!

特別レクチャーのご紹介 ~University Hospitals Cleveland Medical Center 津島隆太先生をお迎えして~

皆さま初めまして、研修医2年目の塚越と申します。
今回は、当院の初期研修プログラム卒業生でもあり、現在University Hospitals Cleveland Medical Centerの内科レジデント3年目として活躍されている津島隆太先生による、特別レクチャーの模様をシェアさせていただきます。

津島先生は、当院で初期研修を修了されてから内科後期研修の傍らでアメリカのレジデンシーに向けて準備を進め、卒後4年目で見事にマッチされ、来年からは200倍の競争を勝ち抜いて、同施設での循環器内科フェローに進まれる予定でいらっしゃいます。先生がアメリカでのレジンデンシーを志望された動機や、臨床留学に向けた制度の理解や具体的な準備について、ユーモアを交えながら教えていただきました。20年以上にわたり幅広い視野を持った研修医を輩出している当院では、これまでの研修修了生との連携や長年蓄積されたキャリアパスのノウハウがあると再認識しました。また、レクチャーの中で最も印象的だったことは、先生が初期研修を終えてから、循環器内科での多忙な後期研修の合間を縫って1年間でECFMGを取得されたということでした。やはりどんな成功の影にも、必ず努力があります。その苦労を一切強調することのない謙虚さも含めて、多くを学ばせていただきました。

しかし、そんな中でも光があります。IMG(外国医学部出身者)は米国内のエクスターンでさえ、コネクションがない限り難しいご時世に、当院では新しい臨床留学プログラムが発足しているのです。その名も”Salmons Coming Back Program(別名:UHCMC International Scholarship Program)”です。実は津島先生はその一期生として渡米されており、それを足掛かりとしてアメリカで高い評価受け、その先を切り開いていらっしゃるのです。

このプログラムを利用すれば、日本の初期研修マッチングから米国のアカデミックな内科レジデンシープログラム、およびその先の専門教育までをひとつながりで描くことができます。米国臨床留学の一つの道として、極めて魅力的ではないでしょうか。日本にとっても、津島先生のような方が将来的に臨床や教育に携わってくださることは非常に有益だと思います!私も米国での外科レジデンシーに向けて準備しているので、ゆくゆくは他の分野にも広がってくれればより素晴らしいと感じます。

長くなってしまいましたが、最後に記念写真を添えて終わりとさせていただきます。今回の津島隆太先生の講演は、3月21日(土曜)朝9−10時にWeb講演会でもお話いただく予定です。後日、本ブログでもご案内しますので、ご希望の方は是非ご参加ください。そして、もし何か興味がありましたら、気軽に見学に来ていただければと思います。手稲渓仁会病院にはその答えが必ずあるはずです。

添付文章
”Salmons Coming Back Program(別名:UHCMC International Scholarship Program)”について

現在での条件としては以下の通りです。*条件に関しては随時変更があり得ます。
・ECFMG certificate 取得者
・院内選考通過者
・院内選考通過後にCase Western Reserve University(CWRU)内科でエクスターン(4週間)を行い、面接を含め、高評価を受けること。
・その後、マッチングを経てCWRUに正式採用。
・他条件(勤務時間・ローテーション内容等)は他一般レジデントと全く同じ。
・レジデンシー修了後は米国内科専門医を取得でき、フェローシップへの応募以降も同条件。
・専門研修を含む米国での全研修を終了後、手稲渓仁会病院で5年間の勤務義務あり。

南カリフォルニア大学 外科助教授 松島一英先生によるWeb講演会のご案内

皆様、こんにちは。
 Web講演会第6弾は、外傷外科についてSouthern California大学の松島一英先生にお願いしました。
 せっかくの機会ですので、ご興味のある方は2月22日土曜日朝8時から、是非ご参加ください。また、周りに興味がありそうな方がいらっしゃいましたら、積極的にお誘いいただきたいと考えております。参加希望される方は、事前登録が必要ですので、こちらからお願いします。もちろん無料です。

外科 今村

PDF版はこちらから

家庭医療クリニックでの外来研修

皆さんこんにちは。
冬になり、手稲も12月から雪がはじめました。例年、歩道の雪が深い時には10cmを超える時もあり、通勤中靴の中に雪が入ってげんなりしたり、滑って転んだりと雪には悩まされることも多かったのですが、今シーズンは暖冬と雪不足で、スキー場や雪まつりなど、北海道各地のイベント関係者が頭を悩ませています。

ところで皆さん、実習や研修などで診る病棟の患者さんが退院後どうなっているか、気になったことはありませんか?また、commonな糖尿病などの生活習慣病と向き合うことに興味はありませんか?当院における現行の初期研修プログラムでは、初期研修修了後に総合診療科専攻を希望する研修医という条件で、当院に併設された家庭医療クリニックにて長期フォローの患者さんの定期外来(週1回、半日)を1年間担当することができます。

手稲家庭医療クリニックでは、当院にて肺炎や脳梗塞などの急性疾患で入院加療を行った患者さんの退院後のフォロー、腫瘍疑いや肝機能異常など健康診断で異常を指摘された方の精査や、高血圧や糖尿病など生活習慣病のフォローなどが主な業務となります。

当院退院後の患者さんのフォロー外来では、治癒までの経過を長期的に診ることができ、検査や薬剤導入などを外来からみて入院中にしておきたいことなども学べ、普段の病棟業務に活かすことができます。急性期総合病院の病棟研修では経験できない疾患や病態を学ぶことができるので、とても勉強になります。患者さんも普段は仕事やご自身の生活があり、その合間をぬって受診にいらしているので、日常生活や趣味などの話も挟みながらご本人と対話をし、その方に合った医療を提供していくことにやりがいを感じます。しかし、長期渡航が控えていて副作用が怖いからと新規薬剤の導入を見送ったり、脂質異常症の薬物導入の基準にはかかっているものの本人が運動療法だけで治したいと頑張って改善に至ったりなど、ガイドライン通りにいかないことも多々あります。

1年を通し、決まった患者さんを継続的に担当する外来研修ができるのも、当院の研修の特色ですので、少しでも興味がある方は家庭医療科の見学にもいらしてみてください。

研修会開催(2月1日、2月2日)のご案内

新年明けましておめでとうございます。
本年も定期的にブログを更新していきますので、どうぞよろしくお願いいたします!

早速、今回は研修会開催のご案内です。
1. 2月1日(土)11:00~12:00「BEING A RESIDENT IN THE U.S. 前編」
皆様こんにちは。外科の今村です。
昨年より開始したWeb講演会企画の第5弾は、当院で研修した橋本知直先生です。米国で家庭医療科レジデントを行うまでの道のりや、現況など”リアルな”お話を米国からLiveで講演していただく予定です。どこからでもWeb上で参加できます。少しでも興味がある方は奮ってご登録ください。参加は無料です。対象として研修医や医学生を中心に考えていますが、医師であればどなたでも参加可能です!参加方法はポスターをご参照ください。なお、本講演の続編を3月21日(土)に計画していますので、そちらもどうぞよろしくお願いいたします。

2月1日の事前登録はこちらから

2. 2月2日(日)9:00〜17:30「多職種で語る、私と医療とマネジメントと」
皆様こんにちは。研修医1年次 森岡と申します。
私たち医療に従事する者は、目の前の患者さんをはじめ、先輩、院内スタッフの方々、そして患者さんのご家族からも、臨床現場において日々たくさんのことを学ばせて頂いております。しかしながら、臨床の現場から離れた場所において、多角的な視点で医療を考える機会はあまり多くはありません。つきましては、この度臨床医のご経験の後にハーバードビジネススクールをご卒業された山本雄士先生を当院にお招きし、勉強会を開催する運びとなりました。詳細につきましては、ポスターをご参照ください。是非多数のご参加をお願い申し上げます。

2月2日の参加申し込みはこちらから

地域医療研修のご紹介

初めまして。研修医2年目の都甲(とごう)と申します。ご存知の方も多いと思いますが、現行の臨床研修制度における地域医療の到達目標は、『患者が営む日常生活や居住する地域の特性に即した医療について理解し、実践する』であり、へき地・離島診療所、中小病院などで地域医療として1ヶ月以上の研修を行うことが必要とされております。私も11月に地域医療研修として、倶知安(くっちゃん)町にあります倶知安厚生病院で研修を行ったばかりですので、簡単に紹介いたします。

 倶知安町は、北海道虻田郡にあります総人口15,132人の町であり、世界的なスキーリゾートで有名なニセコと隣接していることから、国外から多くの観光客が訪れる国際色豊かな町です。町の一般的なスーパーを訪れると、南半球やアジア圏からの観光客と思われる方々が買い物をしており、まるで外国に来たかのような錯覚を抱きます。当然、医療面も国際色豊かで、ハイシーズンになると救急外来は外国人の方のスキー・スノーボード外傷で溢れ、その時期の研修医はひっぱりだこのようです。残念ながら、私が訪れた時期はまだスキー場がオープンしていないこともあり、外国人患者さんの診療機会は少なめでしたが、日本語で診療するのと異なり、診察に際しての声かけや病状説明が不足するなど、母国語以外で診療することの難しさを実感し、非常に良い経験をさせていただきました。
 また、普段は急性期の治療内容を学ぶことに精一杯で、患者さんがどのように元の生活に戻っていくかイメージが湧きにくいのが正直なところでした。倶知安厚生病院では地域包括ケア病棟を備えており、急性期治療を終え、病状が安定した患者さんに対して在宅や介護施設への復帰支援に向けた医療を学ぶことができます。患者さんおよびご家族とのIC、他職種との退院支援カンファレンス、退院後の訪問診療などを通じて、患者さんやご家族の思い、そしてそれを支援する職員の方々の思いに触れ、地域の方々がまたそれまでの日常生活に戻れるよう医師として精進しなければならないと、思いを新たにしました。
 このように、本来の地域研修に加えて外国人診療の機会にも恵まれる点は、倶知安厚生病院および当院ならではと思います。ご興味のある学生さんがいらっしゃいましたら、ぜひ一度見学に当院へ足をお運びください。
 最後になりますが、寒さ厳しき折くれぐれもご自愛ください。

倶知安厚生病院から望む羊蹄山(富士山に似た姿から、蝦夷富士とも呼ばれています)