研修

救急科での研修について

皆様初めまして、研修医2年目の佐々塚と申します。
 暖冬と思われた今シーズンもその期待を裏切り、3月になった現在でも、深々と雪が降り積もっていることがあります。本州出身の私にとって北海道の寒さは想像を絶するもので、当初は通勤の足取りを重くさせていましたが、人は順応する生き物であり、2年目の今となっては四季の表情豊かな北海道の魅力に取り憑かれてしまいました。皆様も、是非一度冬の北海道へいらして下さい。

 さて、皆様は初期研修先の病院を選ぶ際に、救急研修が強い・弱いといったことをよく耳にしないでしょうか?当院の初期研修プログラムでは将来の志望科に関わらず、ジェネラルに診ることを目標とした幅広いスーパーローテーション研修が特徴的です。山鹿先生のブログにもありましたが、その中でも初期研修医として避けては通れない救急科での研修について、再び共有させて頂きます。

 手稲渓仁会病院は人口約200万人が暮らす札幌市に存在し、救命救急センターでは初期から三次まで内因・外因・疾病の種類などに関わらず様々な救急病態に対応しています。救急診療に携わる期間としては救急ローテーション3ヶ月とNF(ナイトフロート)3ヶ月の合わせて6ヶ月と初期研修2年間の4分の1を占め、1000例近くの救急症例を経験します。救急ローテーションは日勤帯(8:00~20:00)、夜勤帯(20:00~翌朝8:00)までの2交代制であり、on-offのしっかりした研修を送ることができるのも魅力の1つです。診療体制としては、救急専門医・救急科専攻医・初期研修医の1チームで診療にあたり、初期研修医がファーストで診療を行い、救急科専攻医にプレゼンし、さらにその上で救急科専門医に指導を仰ぐという“屋根瓦研修”が徹底されております。これにより、チームの一員である責任感が培われ、また安心して救急医療を学ぶことができたと感じています。

 また、某救急ドラマ・映画が一世を風靡しましたが、当救命救急センターは北海道のドクターヘリの基地病院として、手稲区内外からの救急患者対応も行なっています。初期研修医であっても熱意と事前の学習が必須ではありますが、On the Job(OJT)研修としてドクターヘリに同乗し、プレホスピタルの最前線を学ぶことができます。私が地域実習で脳卒中疑いの患者さんを当院に搬送する際、ドクターヘリから降りて来られた先生の姿は非常に格好よく、脳裏に焼き付いて忘れることができません。

 是非、当院を見学する機会がございましたら救急科研修の雰囲気を感じてみて下さい!

ナイトフロート(NF) walk-in のご紹介

雪が少なめの冬を過ごしている手稲からこんにちは。初期研修医の山鹿です。
例年に比べ暖冬と言われていますが、やっぱり北海道の冬は厳しいです。そんな寒さにも負けず、手稲渓仁会の研修医は今日も元気に過ごしています。

 今回は、1、2年目で経験する「ナイトフロートwalk-in」についてご紹介します。ナイトフロート(以下NF)とは、研修医の研修期間において、2週間から1カ月程度の一定期間を夜間の当直業務のみとする、アメリカで始まった制度です。当院では、2017年に導入になり、初期研修期間の2年間のうち、1カ月を1単位として年に2回、NFを経験します。NFは、研修医1年目・2年目・3年目以上(専攻医含む)の3~4人から構成されたチームで1ヶ月間、夜間救急外来対応を行うローテーションです。1ヶ月を2チーム制で担当し、Aチームは夜間救急外来を、Bチームは夜間内科病棟を担当し、2週間で交代します。今回は、主に夜間救急外来(walk-in)について伝えします。 

 当院では、救急車を使わずに夜間救急を受診される患者さんに対応しています。その初期診療を担うのがNF walk-inチームです。患者さんは受付でそれぞれ外科・内科・小児科の問診票を症状に合わせて記載します。その問診票と受診歴を電子カルテ上で確認し、診察開始です。診察室に呼び入れる瞬間は何度経験しても緊張感で一杯です。夜間に受診される患者さんの主訴は様々です。その症状から緊急的な介入が必要か否かを判断します。「この症状の鑑別は?」「必要な検査は?」「処方する薬は?」など、様々な情報が頭の中をグルグルと駆け巡ります。一度自分でまとめた情報を指導医にコンサルし、一緒に方針を決めていきます。指導医は診察室の後ろで待機してくださっていて、適切な方向に導いてくださる心強い存在です。さらに、当院では各診療科の先生が夜間待機をしてくださっているので、必要な場合には専門科の先生にもご相談します。初期対応した患者さんが緊急手術になる事もあります。1ヶ月間を通して、内科疾患だけではなく、外科疾患や小児(1歳以上)の初期診療も対応するので、幅広い救急症例を経験できる貴重な機会です。

 また、平日の救急外来対応は午後5時からなので、日中は自己啓発の時間として使うことができます。夜間の勤務に負担にならない範囲で、普段経験できない薬剤部・エコー検査・栄養部といった、他職種の業務について学べる機会もあります。もちろん、目標にむけて自己学習に励む事も可能なので、時間の使い方は十人十色です。

 さて、今回は NF walk-inについて簡単にご紹介させていただきました。是非、見学にお越しください。北海道でお待ちしています。

選択研修の紹介~腫瘍内科での研修~

こんにちは!初期研修医2年目の大東です。今回は、私の志望科で内科系の選択科の一つもある「腫瘍内科」の研修を紹介したいと思います。

 「腫瘍内科」という科を皆さんはご存じでしょうか?最近はドラマで腫瘍内科医が紹介されるなど、少しずつ馴染みの有る診療科になりつつあります。腫瘍内科医とは、「がん治療の4つの柱である外科治療、抗がん剤治療、放射線治療、緩和ケアの中でも抗がん剤治療を主軸に外科医や放射線科医、緩和ケア医と協力しながら、患者さんと相談してがん治療を進めていく」医師となります。全国にいる28万人いる医師のうち、腫瘍内科専門医は約1300人であり比較的まれな診療科です。
 手稲渓仁会病院の腫瘍内科は、現在3名の医師で診療をしています。甲状腺がん、乳がん、胃がん、大腸がん、膵がんなど多臓器にわたる抗がん剤治療を行っています。初期研修医としては、上級医の外来を見学していく中で化学療法の勉強をしたり、他科とのカンファレンスに参加をしたり、入院患者さんの初期対応や管理を勉強しております。入院になる患者さんとしては、化学療法の導入のためであったり、副作用があり症状コントロールが難しくなったり、病勢進行のため食事摂取困難となり自宅での生活が難しくなった方などがいます。
 近年のがん薬物療法では、免疫チェックポイント阻害薬が様々ながんに使われるようになってきており、特殊な副作用で内科医としての管理が更に求められるようになっています。遺伝子パネル検査といって、遺伝子変異を調べ、それに効果がある薬を発見できる可能性がある検査などが保険適応になり、腫瘍内科医の仕事も多岐にわたるようになっています。最新の治療は毎年Up dateされており、海外の学会では、標準治療が変わる瞬間を目の当たりにする機会も腫瘍内科の研修ではあります。私は7月に腫瘍内科をローテーションした際、バルセロナで開かれた国際学会に連れて行って頂き、大腸癌のBRAF変異型の標準治療が変わる瞬間を見て「こうやって治療が変わるのか」とすごく感動しました。

腫瘍内科医は人数も少なく、すべての病院にいるわけではありません。患者さんのニーズに合わせて抗がん剤の種類を変更したり、抗がん剤をしないことを相談したり、人生の最期に立ち会ったりと、オーダーメイドで人間くさい診療科です。腫瘍内科に興味を持った方、是非手稲渓仁会の腫瘍内科を見に来て勉強しに来てください。

中国語診療を経験して ~倶知安厚生病院での地域医療研修~

 みなさん、こんにちは。初期研修医2年目の木村です。私は、現在倶知安厚生病院に地域医療研修に来ています。倶知安厚生病院での研修についての説明は以前のブログで紹介がありましたが 、今回は同院での冬期の研修についてご紹介したいと思います。

 冬の倶知安での研修の特徴といえば、外国人診療が挙げられます。救急外来に救急車で運ばれてくる方を診療することもあれば、総合診療科の外来に歩いて来られる方の診療を担当することもあります。また、主治医として入院管理を任されることもありました。倶知安厚生病院へ訪れる外国人はオーストラリア人が多い印象でしたが、香港や台湾を含めた中国系の方の数も多く、英語のみならず中国語での診療を求められる場面もありました。私は中国語が話せるのが特技であり、中国語診療を求めて倶知安を研修先に選びました。やはりニセコのパウダースノーを目当てにやって来たスキーやスノーボードの観光客が多いため、上下肢の骨折や捻挫などの整形外科的な疾患が一番多かったのですが、風邪や腹痛などのcommonな疾患で来る方も多くいました。

 日本人と外国人を比較すると、英語圏の患者さんは疑問点をそのままにしない方が多く、気になったことをすべて質問していた印象でした。私も頑張って英語で回答しましたが、時にはうまく伝わらずに通訳の方(冬季は深夜帯を除いて院内に常勤されています)を呼ぶこともあり、とても無力感を感じました。

 また、中国語圏の患者さんの診療において困難に感じたのは、中国医学の薬を内服している場合です。インターネットで調べても中薬に関する情報は中国語のものが多く、その情報も中国医学をある程度理解していないと難しい内容であり、どんな薬なのか調べるのに時間を要しました。はじめは外国人というだけでこちらが気構えてしまい、過不足なく情報を集めることだけに注力していましたが、慣れてくると私の心に余裕ができ、相手の状況を考えて話せるようになりました。

 冬の倶知安での研修は、前述したように整形外科疾患が多く、希望すれば夕方の救急外来に多く入ることもできるので整形外科志望の方にもオススメです。もちろん、研修の間のオフを利用してスキーやスノーボードを楽しみたい方にもぴったりです。どんな理由であれ、それを叶えてくれる環境が倶知安にはあります。

BSLがちょっと楽しくなる医学のお勉強

初期研修医2年目の末吉利成と申します。ICUをローテーションした際に勉強した、酸素療法のデバイスについてシェアします。

 皆さんは、BSLで患者さんの鼻に管がついていたり、口にマスクがつけられている姿やその横に大きな装置が設置されているのを見たことがあるのではないでしょうか。何だろうと思ったことはありませんか。

 今回は、酸素療法のデバイスについて少しお話しします。

 酸素投与のデバイスには、ざっくり分けて2つのカテゴリーがあります。低流量システム、高流量システム2つです。

 低流量システムは、鼻カニューラ、マスク、オキシマスク™、リザーバーマスクがあります。高流量システムには、High flow nasal cannulaとインスピロンマスク™があります。これら2つは、名前の通り流量が違うのですが、低流量システムか高流量システムかは、分時換気量がある値を超えるか否かで分けられます。具体的には、人の1回換気量を500mLとし吸気時間を1秒とすると、30L/分となるため、これを境に上記の区分けとなります。

 それでは、なぜ分時換気量で分けるかというと、分時換気量以下の流量で酸素を流すと投与している酸素のみならず周りの空気も吸ってしまうのです。そうなると、投与されている酸素○L /分のほかに周囲の空気が混ざってしまい正確に何リットルが吸入されているのかわかりません。つまり、酸素○L/分で流しても個々人でFiO2が変動してしまいます。そこで出てきたのが高流量システムです。高流量システムは分時換気量より多い量を流すことで周囲の空気が混ざることを防ぎ設定した量の酸素を投与することができます。つまり、FiO2を設定することが出来ます。それなら、すべて高流量でよいのではとお思いの方もいらっしゃるかと思いますが、低流量システムは高流量システムと比べると安全で容易に使用でき、簡便であることから好まれることがあります。加湿が不十分な高流量システムは気道乾燥による害を及ぼすので、加湿のための回路構成ならびに使用中の水分供給などの手間が、高流量システムの一部として重要になります。

 ICUでは患者さんを1日に3人前後受け持ち、全身管理を行います。その際、By systemという臓器別に問題を挙げていき介入するという方法で患者さんを把握、治療するのですが、全て把握しきるのは大変です。ですが、ICUを担当する指導医の先生方が、こちらが感謝してもしきれないほど、研修医の特性や、弱点をみながらしっかり熱心に指導して下さるので、非常に充実した1ヶ月を過ごすことが出来ました。この場をお借りしてお礼申しあげます。

 おいでよ、手稲渓仁会病院ICU!

家庭医療クリニックでの外来研修

皆さんこんにちは。
冬になり、手稲も12月から雪がはじめました。例年、歩道の雪が深い時には10cmを超える時もあり、通勤中靴の中に雪が入ってげんなりしたり、滑って転んだりと雪には悩まされることも多かったのですが、今シーズンは暖冬と雪不足で、スキー場や雪まつりなど、北海道各地のイベント関係者が頭を悩ませています。

ところで皆さん、実習や研修などで診る病棟の患者さんが退院後どうなっているか、気になったことはありませんか?また、commonな糖尿病などの生活習慣病と向き合うことに興味はありませんか?当院における現行の初期研修プログラムでは、初期研修修了後に総合診療科専攻を希望する研修医という条件で、当院に併設された家庭医療クリニックにて長期フォローの患者さんの定期外来(週1回、半日)を1年間担当することができます。

手稲家庭医療クリニックでは、当院にて肺炎や脳梗塞などの急性疾患で入院加療を行った患者さんの退院後のフォロー、腫瘍疑いや肝機能異常など健康診断で異常を指摘された方の精査や、高血圧や糖尿病など生活習慣病のフォローなどが主な業務となります。

当院退院後の患者さんのフォロー外来では、治癒までの経過を長期的に診ることができ、検査や薬剤導入などを外来からみて入院中にしておきたいことなども学べ、普段の病棟業務に活かすことができます。急性期総合病院の病棟研修では経験できない疾患や病態を学ぶことができるので、とても勉強になります。患者さんも普段は仕事やご自身の生活があり、その合間をぬって受診にいらしているので、日常生活や趣味などの話も挟みながらご本人と対話をし、その方に合った医療を提供していくことにやりがいを感じます。しかし、長期渡航が控えていて副作用が怖いからと新規薬剤の導入を見送ったり、脂質異常症の薬物導入の基準にはかかっているものの本人が運動療法だけで治したいと頑張って改善に至ったりなど、ガイドライン通りにいかないことも多々あります。

1年を通し、決まった患者さんを継続的に担当する外来研修ができるのも、当院の研修の特色ですので、少しでも興味がある方は家庭医療科の見学にもいらしてみてください。

地域医療研修のご紹介

初めまして。研修医2年目の都甲(とごう)と申します。ご存知の方も多いと思いますが、現行の臨床研修制度における地域医療の到達目標は、『患者が営む日常生活や居住する地域の特性に即した医療について理解し、実践する』であり、へき地・離島診療所、中小病院などで地域医療として1ヶ月以上の研修を行うことが必要とされております。私も11月に地域医療研修として、倶知安(くっちゃん)町にあります倶知安厚生病院で研修を行ったばかりですので、簡単に紹介いたします。

 倶知安町は、北海道虻田郡にあります総人口15,132人の町であり、世界的なスキーリゾートで有名なニセコと隣接していることから、国外から多くの観光客が訪れる国際色豊かな町です。町の一般的なスーパーを訪れると、南半球やアジア圏からの観光客と思われる方々が買い物をしており、まるで外国に来たかのような錯覚を抱きます。当然、医療面も国際色豊かで、ハイシーズンになると救急外来は外国人の方のスキー・スノーボード外傷で溢れ、その時期の研修医はひっぱりだこのようです。残念ながら、私が訪れた時期はまだスキー場がオープンしていないこともあり、外国人患者さんの診療機会は少なめでしたが、日本語で診療するのと異なり、診察に際しての声かけや病状説明が不足するなど、母国語以外で診療することの難しさを実感し、非常に良い経験をさせていただきました。
 また、普段は急性期の治療内容を学ぶことに精一杯で、患者さんがどのように元の生活に戻っていくかイメージが湧きにくいのが正直なところでした。倶知安厚生病院では地域包括ケア病棟を備えており、急性期治療を終え、病状が安定した患者さんに対して在宅や介護施設への復帰支援に向けた医療を学ぶことができます。患者さんおよびご家族とのIC、他職種との退院支援カンファレンス、退院後の訪問診療などを通じて、患者さんやご家族の思い、そしてそれを支援する職員の方々の思いに触れ、地域の方々がまたそれまでの日常生活に戻れるよう医師として精進しなければならないと、思いを新たにしました。
 このように、本来の地域研修に加えて外国人診療の機会にも恵まれる点は、倶知安厚生病院および当院ならではと思います。ご興味のある学生さんがいらっしゃいましたら、ぜひ一度見学に当院へ足をお運びください。
 最後になりますが、寒さ厳しき折くれぐれもご自愛ください。

倶知安厚生病院から望む羊蹄山(富士山に似た姿から、蝦夷富士とも呼ばれています)

The elective at Te Omanga Hospice, New Zealand

こんにちは。2年目初期研修医の志村と申します。
寺田先生の記事にもありましたように、当院では国内外を問わず他施設での院外研修が可能です。私はニュージーランドのホスピスで4日間の研修をさせていただきましたので簡単にご紹介します。

北島の都市、ウェリントンの郊外にTe Omanga Hospiceは位置しています。ニュージーランドでは、多くの方が自宅で最期の時間を過ごすことを望み、それを実現しています。Te Omanga Hospiceは、外来・入院・在宅での緩和ケアを行なっている施設で、年間320人の患者さんを看取っているそうです。

ベッドは8床あり、終の住処というよりも、一次的に症状コントロールを行うための病棟としての役割が大きいことが特徴です。ホスピスで亡くなる方もいらっしゃいますが、多くの患者さんが入院中に症状コントロールを行いながら、家族会議を重ね、準備を整えて自宅へ戻って行きます。

家族会議は、本人、家族、医師、看護師、ソーシャルワーカーで大きな輪を組み、現状や今後の方針について共有する場です。一度、マオリ族の腎不全患者さんの家族会議に参加させていただきました。まず皆で祈りを捧げるところから始まり、現在の症状や今後などについてじっくりと話し合った後、皆で肩を組んで歌を歌い会議を終えました。会議自体はシビアな内容も含まれ、途中家族が涙する様子もあったものの、最後には皆、笑顔で前向きな発言をする様子が多くみられていました。

愛する者との別れは辛く悲しいものです。しかし、時間が限られているからこそ、命はより輝き、大切な時間を過ごすことができるのではと感じました。ニュージーランドの雄大な自然に囲まれ、優しい時間が流れるホスピスで、私自身が豊かな時間を過ごすことが出来ました。

日常とは全く異なる環境に飛び込み、新たな気づきを得られることが院外研修の醍醐味ではないでしょうか。院外研修を行うにあたり、お世話になった皆様にこの場をお借りして心より感謝申し上げます。

Te Omanga Hospice, located in Lower Hutt, in the North Island of New Zealand provides inpatient, outpatient, and home-based palliative care. Thanks to the doctors and medical staff at both TKH and Te Omanga Hospice, I had the opportunity to visit there on an elective.
  Te Omanga Hospice has eight beds for patients who need acute symptom control or for terminal care but these days, many patients prefer to spend as much time, and ideally the end of their life in their own home.
 Family meetings play a vital role to achieve good quality of life for patients with terminal illness. I attended one of these family meetings for a Maori patient – it started with a Karakia, a prayer in the patient’s native language. After the prayer, we discussed the present situation, the patient’s goals and likely future prospects. We discussed what was needed for him, what could be provided and then set goals together. At the end of the meeting, we sang a song putting our arms around each other’s shoulders.
 Being separated from a loved one is never easy. However, they remind us of how precious life is. They teach us to live as if each moment is a gift. Dying is a normal process. Death is necessary for our life to be meaningful. The days I spent at Te Omanga Hospice were some of the most peaceful and serene of my life and made me realize the essential things in life.

産婦人科研修のご紹介

こんにちは!研修医2年の鈴木凜と申します。
手稲では11月中旬から雪が降り始め、地面は凍り、芯まで冷える寒さになってきました。去年転倒した反省を活かして気をつけて歩いていましたが、今年も早速派手に大こけしました。冬シーズンに見学予定の学生の方は、ぜひ滑りにくい靴でいらしてください。

それでは今回は、産婦人科研修について紹介したいと思います。
産婦人科は今までは選択枠でしたが、2020年度から必修枠となるので、次期1年目からは全員が研修することになります。
そこで、当院の産婦人科研修を3ポイントで紹介したいと思います。

①手術件数が豊富
数字でいうとピンとこないかもしれませんが、2018年(1~12月)の産婦人科総手術件数は1,656件、その中で腹腔鏡手術の比率が高く、1,016件行われています。これは全国でトップ3に入る件数だそうです。そのため、ほぼ毎日研修医は何かしらの手術に入っています。上級医の十分な指導の下、マニピュレーターという子宮を動かす器械の操作から始まり、研修医の能力に応じて手術手技の指導を受ける機会もあります。外科系を考えている人にとっては充実した日々になるかと思います。

②指導医が豊富
当院は手術件数が多いこともあり、多くのスタッフがいます。最近では専攻医の先生も増えてきており、若手からベテランの先生まで幅広くいらっしゃいます。
基本的に、研修医はローテート中に一人の指導医について病棟や外来などの業務にも関わらせていただきます。指導医以外の先生方も、新しい患者さんが来た時に研修医を呼んでくださり、みな優しく気さくに話しかけてもくださるので、相談もしやすく大変恵まれた環境です。

③休みがしっかりある
産婦人科では土日が完全オフです。しっかり休んでもよし、遊んでもよし、産婦人科に興味があって経験を積みたければ出勤してもよし。フレキシブルだけどしっかり学べるのが当院産婦人科の特徴と思います。

ということで大まかに産婦人科の紹介をしましたが、とにもかくにも出産は感動します。必修科になった産婦人科で是非たくさんのことを学んでください!

整形外科ローテーションの紹介 整形外科における身体所見

「身体所見」は視診・聴診・打診・触診と教科書には書いてあります。これは基本ですが、科によってその中で明かに比重が異なります。整形外科はやはり、触診です。具体的にどうやって診察するのかという質問を研修医からたびたび受けます。整形外科は当院では選択科目であり、全員に教えるということはできないので、今回は整形外科における身体所見の基本について、少し話をします。私自身、教科書ではなく、医者になってから整形外科領域の身体所見を学び、自分の中で体系化しています。

基本は「視診・Range of Motion (ROM)・圧痛・(スペシャルテスト)」

視診:発赤、腫脹、変形、創部の観察など見た目の異常です。
ROM:膝など関節の訴えがあればその関節のROM、下腿や上腕などであればその隣接関節のROMを診察します。表現の仕方ですが、屈曲しよう(させよう)としてその限界の角度を測定し、自動屈曲(他動屈曲)〇〇度のように標記し、必ずその逆も標記します。膝や肘なら伸屈曲のみで十分ですが、股関節や肩関節は内外転、伸屈曲、内外旋など多岐にわたります。運動時痛があれば、そのときにわかります。自動運動と他動運動で大きな違いがあれば、それも重要です。

圧痛:「触診」のなかでもっとも重要な項目です。筋肉が痛いのか、骨が痛いのか。細かく押します。骨折の診断において骨に痛みがあるのかは非常に重要です。触診なので熱感などもここで診察します。
(スペシャルテスト):Speed、Empty can、マックマレー、トンプソンなど聞いたことがあるテストは多くあると思います。四肢すべて集めると軽く100は超えるのではないでしょうか。ただ、これは研修医には正直不可能と思っています。非常に微細な所見をみて陽性か陰性か判断するため、経験がかなり必要となります。整形外科をローテーションした研修医にはスペシャルテストがいかに難しいかを肌で感じることができると思います。

私は研修医に視診・ROM・圧痛をカルテに明記できれば合格と常々いっています。スペシャルテストはそれこそ、専門(指導医)に任せれば良いのです。とはいえ、圧痛やROMも経験を要します。残念ながら、四肢の異常を患者さんが訴えても、何を診察すればわからずに身体所見に「疼痛」だけが記載されているカルテも見受けられます。そうやって思考を停止させず、最初は上手くできなくても「視て、触る」をやりつづけることです。そのいう小さな経験を積み重ねることが正確な診断への近道だと思っています。

整形外科 相澤