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当院の超音波検査室研修

皆さんこんにちは。いつも当ブログをご覧いただきありがとうございます。手稲渓仁会病院卒後3年目医師の増田です。本日は超音波検査室での研修について紹介させていただきます。

 研修医になると、夜間の救急外来や救急車対応の業務をすることが多いです。救急外来では、エコーが必要な場面が多くあります。例えば、外傷でのFAST(focused assessment with sonography for trauma)や、胆嚢炎の診断などです。また、最近では臨床医がベッドサイドで診療の一環として行う超音波検査は、POCUS (point-of-care ultrasound)と呼ばれています。当直帯は超音波検査士さんが不在のため、医師が直接検査を行い、評価しなければなりません。エコー診断に自信が持てない研修医も多いと思います。

 このような弱点を補強できる環境が当院にあります。私は初期研修医2年目の選択科で1ヶ月消化器内科を選択し研修しました。指導医数も多く、フレキシブルな研修ができる診療科であり、私の場合は空き時間がある度に超音波検査室に足を運び、超音波検査士さんにエコーの見方を教えてもらいました。胆管・胆嚢の評価の仕方や下肢静脈エコーなど、自分の苦手分野を中心にマンツーマンで御指導いただきました。優しくて指導熱心な検査士さんが多く、非常に恵まれた環境です。

 COVID-19が落ち着いてからになってしまいますが、もし体験してみたい学生さんがいたら是非見学にお越しください。北海道でお待ちしています!

病院説明会(Web配信)のご案内

当院は4月から医師としての第一歩を踏み出した新PGY1を迎え、初々しさが垣間見える日々が流れております。
 一方で、COVID-19による影響もあり、3月のオープンキャンパス/病院説明会、見学生/実習生受け入れも中止せざるをえず、当院に興味を抱かれてる皆様との交流の機会が減っていることを非常に残念に思います。そこで臨床研修部では、札幌に来ずとも当院のことを1人でも多くの方に知っていただけるよう、説明会を企画致しました。
 少しでも当院の研修について興味を持っていただける機会になれば嬉しく思います。皆様のご参加をお待ちしております!!

詳細/お申込みは こちら から

※1 事前登録が必要となります。前日5月16日(土)までに登録をお済ませください。
※2 参加にはZoomのアプリダウンロードが必要となります。
  事前にパソコン、スマホなどでダウンロードしたうえで、ご参加ください。

様々なプレゼンテーションのかたち 〜学会発表の経験を通して〜

こんにちは。PGY3(研修医3年目)の藤澤まりと申します。私は2年間の初期研修は修了しましたが、専攻医プログラムにはのらず、卒後3年目として残りました。実はこれも当院の特色の一つです。この一年は自分の周りたい科を自由に選び、将来目指す医師像に近づくためのモラトリアム期間のような使い方ができます。

 さて、札幌は本日ようやく桜の開花が報じられました。春の訪れを感じる手稲よりお届けします。

 当院の初期研修プログラムには、日常診療を通してプレゼンテーションを指導して頂く機会が多くあります。プレゼンテーションと一言で言っても、他科の先生へ行うコンサルトでのプレゼン、回診時に行う簡易プレゼン、新患に関するフルプレゼン、そして学会発表でのプレゼンと、TPOによって全く異なります。そこで、今回は学会発表でのプレゼンについて取り上げてみたいと思います。

 当院は、学会発表をすることを応援してくれる先生が本当に多く、私自身は初期研修中の2年間で、国内学会にて2回の口頭発表と、国際学会にて1回のポスター発表を行う機会を頂きました。学会の口頭発表は聴衆も多く、発表時間は厳密で、壇上では孤独で助けてくれる仲間はいません。ただ、発表まで時間があるので、準備にも時間をかけることができます。その点は、人によっては院内でのプレゼンより緊張しない方もいらっしゃるかもしれませんね。会場にもよりますが、私が経験したものは100人程度のホールで、参加者の多くが医師であり、発表の中には他の医療従事者や企業等を対象としたプレゼンもあります。

 口頭発表は制限時間との戦いです。いかに自分の伝えたいことをわかりやすく、簡潔に、聞き手の印象に残るように話をできるかを常に意識する必要があります。私にとって最初の学会発表は1年目の冬。症例は5月に受け持った患者さんで、秋に「まとめて、学会に出してみないか」と指導医より電話をもらったのがきっかけでした。初期研修医中に学会発表を経験したいと思っていたため嬉しかったのですが、自分としては新規性に気づけていないまま準備に入ってしまいました。振り返るとここが反省点で、その後に苦労することとなりました。

 学会発表は抄録を作成し学会に投稿するところから始まり、抄録が採択されたらスライド作成に取り掛かります。しかし、期間が十分にあったにも関わらず中々準備が進みません。その理由は、自分の中で何を伝えたいかが全く決まっておらず、漠然と文献を調べたり、スライドを作成していたからでした。そんな私の中の“もやもや”に気づき、指導医が声をかけてくれました。「藤澤は、そもそもこの発表で何を伝えたいの?」に対し、自分がどういった矛盾を感じていて、こんなことから気乗りしないという思いを吐露しました。そこから私の中の“もやもや”は一気に解消され、無事にスライド作成が進み、自信を持って本番で発表ができました。本来であれば学会発表を決断する前に自分で追求すべき点を、私は指導医の手を借りて行いました。これが、私にとって初めての学会発表の経験でした。

 こんな風にたくさんの方々に助けられながら、研修医の学会発表は出来上がっていきます。どうですか?皆さんも学会発表やってみたいな、とお感じになったでしょうか。相談できる指導医の層の厚さとそれぞれの指導力が当院での初期研修の自慢ポイントと私は思います。

 COVID-19の影響で当院への病院見学が2月25日より停止となっており、私たち初期研修医も残念な気持ちでいっぱいですが、ブログを通じて少しでも手稲渓仁会病院の雰囲気を味わって頂きたいと思います。見学が再度可能となった時には、みなさんをお待ちしています。

オンライン外科勉強会のお知らせ

英語と外科に興味がある医学生を対象に、2019年1月より毎週火曜日21時から22時まで、オンライン勉強会を開催しています。医学生ならどなたでも参加可能です。テキストはSpringer社の『Surgery-A Case Based Clinical Review』を用いて毎週1章ずつ進みます。英語の症例問題を事前学習し、勉強会の時にみんな集まって学んだ知識を確認します。会自体は主に日本語で行っています。自由参加なので、学業やアルバイトなど他のことで忙しい時はそちらを優先してください。堅苦しくない楽しい会を目指しています。私も、一緒に勉強することで多少でも皆様のお役に立てればと思っています。

ご参加希望の方は、今村清隆(imamura-ki@keijinkai.or.jp)まで

オンライン外科勉強会のご案内:
–【視点】全国の医学生が英語で学ぶオンライン外科勉強会
(医学書院 週刊医学界新聞 第3329号 2019年7月8日号)
–【対談】地域発、外科医の教育戦略
(医学書院 週刊医学界新聞 第3346号 2019年11月11日号)

*なお、外科後期研修医向けには、米国外科専門医試験の問題集を使ったオンライン勉強会を毎週土曜日朝7:30から1時間で開催中です。そちらもよかったら情報をシェアして下さい。希望ある方は、ご連絡いただければ参加方法をお伝えします。

WEBINAR VOL.8:Web講演会のお知らせ

みなさま、こんにちは。いつもWeb講演会にたくさんのご参加をいただきありがとうございます。

 5月16日(土)9:00~、当院の初期研修卒業生の坪谷透先生のWeb講演会を開催します。研究留学や社会医学に関心がある方は是非ご参加ください。もちろん無料です。たくさんのご参加をお待ちしています。

参加申し込みはこちらからお願いいたします。

外科 今村

2019年度の臨床研修修了式

こんにちは。TKHレジデントブログチーム事務局の南木と申します。いつも臨床研修部ブログをご覧いただきありがとうございます。ブログを立ち上げて半年が経ち、嬉しいことに閲覧数も着実に伸びて参りました。引き続き、2020年度もどうぞ宜しくお願いいたします。

 例年3月、2年間の初期研修修了を祝し、札幌市内中心部のホテルで盛大に行っている臨床研修修了式典と祝賀会。多くの参加者の中で、2年間の研修やさまざまな思い出を振り返り、未来に向かって羽ばたく研修医それぞれの言葉、そして研修を支えてきた指導医から研修医一人ひとりに贈られるメッセージ等、とても盛りだくさんの内容です。見送る1年生も、来年そこに立つ自身をイメージして、この1年間研修に励んで来られたと思います。
 新型コロナウィルスの動向が気になりながらも、臨床研修部事務局は今年もホテルの方と打ち合わせをし、準備を行っていました。そうした中、2月中旬にはじめて地元北海道札幌市から感染者が出て、その後道内の感染者数がどんどん増えていきました。2月28日には、ついに1日の感染者数の報告が2桁となり、北海道知事より緊急事態宣言が発出されました。これを受け、関係者で協議を行った結果、私たちは医療従事者としてホテルでの開催を断念し、院内で修了生のみが参加する修了証授与式を執り行うことといたしました。今回は、3月14日(土)に開催した院内での臨床研修修了式についてご報告いたします。

会場は100名収容の当院の会議室。全員制服でマスクを着用し集合。

 参加ができなかった研修医1年生と指導医の先生方には、臨床研修委員会コアメンバーの外科 今村清隆先生がzoomでオンライン中継。

はじめに、院長の成田吉明先生よりご挨拶。

 次に、17名の修了生に修了証書の授与。

そして、Resident Award 発表&証書授与
「Outstanding Intern」に選ばれたのはチーフレジデントの中溝晃規先生。プレゼンターの臨床研修部部長の星哲哉先生と固い握手。

 「Best Teaching Resident」のお一人に選ばれたのは、同じくチーフレジデントの寺田悠里子先生。

 そしてもう一人、1年生から河村翔平先生が選ばれました。
 後日、証書が授与されました。

 出席が叶わなかったDr.Cammackからは、zoomを介して2年間がんばった研修医全員にあたたかいメッセージが届けられました。

 閉会のご挨拶は、渓仁会グループ理事長の田中繁道先生。この後、当グループ内に発信される理事長メッセージの中で、コロナウィルスの影響で、盛大な会で送り出してあげられなかったことが大変残念であったと、思いがつづられていました。

 最後に全員で記念撮影。

 いつものドレスコードの集合写真もよかったのですが、白衣での撮影は修了式らしく、来年も行えたらと思いました。

 2月から、私たち職員全員はコロナウィルスから患者さんと病院を守るため、日常業務に加えてさまざま対策に当たっていました。式典中止の決定から2週間、準備もままならず小さな修了式となってしまいましたが、2年生の先生たちは「式自体もなくなるのでは?」と思っていらしたようで、このような会でも開催できたことをとても喜んでくれていました。帰り際、「開催してくれてありがとうございました。逆に院内でできてよかったです!」との言葉をかけていただき(涙)、私たちにとっても忘れられない修了式になりました。ホテルのお弁当を片手に、笑顔で会場を後にする卒業生を見送った事務局でした。

Thanks for all residents. Good luck.

救急科での研修について

皆様初めまして、研修医2年目の佐々塚と申します。
 暖冬と思われた今シーズンもその期待を裏切り、3月になった現在でも、深々と雪が降り積もっていることがあります。本州出身の私にとって北海道の寒さは想像を絶するもので、当初は通勤の足取りを重くさせていましたが、人は順応する生き物であり、2年目の今となっては四季の表情豊かな北海道の魅力に取り憑かれてしまいました。皆様も、是非一度冬の北海道へいらして下さい。

 さて、皆様は初期研修先の病院を選ぶ際に、救急研修が強い・弱いといったことをよく耳にしないでしょうか?当院の初期研修プログラムでは将来の志望科に関わらず、ジェネラルに診ることを目標とした幅広いスーパーローテーション研修が特徴的です。山鹿先生のブログにもありましたが、その中でも初期研修医として避けては通れない救急科での研修について、再び共有させて頂きます。

 手稲渓仁会病院は人口約200万人が暮らす札幌市に存在し、救命救急センターでは初期から三次まで内因・外因・疾病の種類などに関わらず様々な救急病態に対応しています。救急診療に携わる期間としては救急ローテーション3ヶ月とNF(ナイトフロート)3ヶ月の合わせて6ヶ月と初期研修2年間の4分の1を占め、1000例近くの救急症例を経験します。救急ローテーションは日勤帯(8:00~20:00)、夜勤帯(20:00~翌朝8:00)までの2交代制であり、on-offのしっかりした研修を送ることができるのも魅力の1つです。診療体制としては、救急専門医・救急科専攻医・初期研修医の1チームで診療にあたり、初期研修医がファーストで診療を行い、救急科専攻医にプレゼンし、さらにその上で救急科専門医に指導を仰ぐという“屋根瓦研修”が徹底されております。これにより、チームの一員である責任感が培われ、また安心して救急医療を学ぶことができたと感じています。

 また、某救急ドラマ・映画が一世を風靡しましたが、当救命救急センターは北海道のドクターヘリの基地病院として、手稲区内外からの救急患者対応も行なっています。初期研修医であっても熱意と事前の学習が必須ではありますが、On the Job(OJT)研修としてドクターヘリに同乗し、プレホスピタルの最前線を学ぶことができます。私が地域実習で脳卒中疑いの患者さんを当院に搬送する際、ドクターヘリから降りて来られた先生の姿は非常に格好よく、脳裏に焼き付いて忘れることができません。

 是非、当院を見学する機会がございましたら救急科研修の雰囲気を感じてみて下さい!

ナイトフロート(NF) walk-in のご紹介

雪が少なめの冬を過ごしている手稲からこんにちは。初期研修医の山鹿です。
例年に比べ暖冬と言われていますが、やっぱり北海道の冬は厳しいです。そんな寒さにも負けず、手稲渓仁会の研修医は今日も元気に過ごしています。

 今回は、1、2年目で経験する「ナイトフロートwalk-in」についてご紹介します。ナイトフロート(以下NF)とは、研修医の研修期間において、2週間から1カ月程度の一定期間を夜間の当直業務のみとする、アメリカで始まった制度です。当院では、2017年に導入になり、初期研修期間の2年間のうち、1カ月を1単位として年に2回、NFを経験します。NFは、研修医1年目・2年目・3年目以上(専攻医含む)の3~4人から構成されたチームで1ヶ月間、夜間救急外来対応を行うローテーションです。1ヶ月を2チーム制で担当し、Aチームは夜間救急外来を、Bチームは夜間内科病棟を担当し、2週間で交代します。今回は、主に夜間救急外来(walk-in)について伝えします。 

 当院では、救急車を使わずに夜間救急を受診される患者さんに対応しています。その初期診療を担うのがNF walk-inチームです。患者さんは受付でそれぞれ外科・内科・小児科の問診票を症状に合わせて記載します。その問診票と受診歴を電子カルテ上で確認し、診察開始です。診察室に呼び入れる瞬間は何度経験しても緊張感で一杯です。夜間に受診される患者さんの主訴は様々です。その症状から緊急的な介入が必要か否かを判断します。「この症状の鑑別は?」「必要な検査は?」「処方する薬は?」など、様々な情報が頭の中をグルグルと駆け巡ります。一度自分でまとめた情報を指導医にコンサルし、一緒に方針を決めていきます。指導医は診察室の後ろで待機してくださっていて、適切な方向に導いてくださる心強い存在です。さらに、当院では各診療科の先生が夜間待機をしてくださっているので、必要な場合には専門科の先生にもご相談します。初期対応した患者さんが緊急手術になる事もあります。1ヶ月間を通して、内科疾患だけではなく、外科疾患や小児(1歳以上)の初期診療も対応するので、幅広い救急症例を経験できる貴重な機会です。

 また、平日の救急外来対応は午後5時からなので、日中は自己啓発の時間として使うことができます。夜間の勤務に負担にならない範囲で、普段経験できない薬剤部・エコー検査・栄養部といった、他職種の業務について学べる機会もあります。もちろん、目標にむけて自己学習に励む事も可能なので、時間の使い方は十人十色です。

 さて、今回は NF walk-inについて簡単にご紹介させていただきました。是非、見学にお越しください。北海道でお待ちしています。

選択研修の紹介~腫瘍内科での研修~

こんにちは!初期研修医2年目の大東です。今回は、私の志望科で内科系の選択科の一つもある「腫瘍内科」の研修を紹介したいと思います。

 「腫瘍内科」という科を皆さんはご存じでしょうか?最近はドラマで腫瘍内科医が紹介されるなど、少しずつ馴染みの有る診療科になりつつあります。腫瘍内科医とは、「がん治療の4つの柱である外科治療、抗がん剤治療、放射線治療、緩和ケアの中でも抗がん剤治療を主軸に外科医や放射線科医、緩和ケア医と協力しながら、患者さんと相談してがん治療を進めていく」医師となります。全国にいる28万人いる医師のうち、腫瘍内科専門医は約1300人であり比較的まれな診療科です。
 手稲渓仁会病院の腫瘍内科は、現在3名の医師で診療をしています。甲状腺がん、乳がん、胃がん、大腸がん、膵がんなど多臓器にわたる抗がん剤治療を行っています。初期研修医としては、上級医の外来を見学していく中で化学療法の勉強をしたり、他科とのカンファレンスに参加をしたり、入院患者さんの初期対応や管理を勉強しております。入院になる患者さんとしては、化学療法の導入のためであったり、副作用があり症状コントロールが難しくなったり、病勢進行のため食事摂取困難となり自宅での生活が難しくなった方などがいます。
 近年のがん薬物療法では、免疫チェックポイント阻害薬が様々ながんに使われるようになってきており、特殊な副作用で内科医としての管理が更に求められるようになっています。遺伝子パネル検査といって、遺伝子変異を調べ、それに効果がある薬を発見できる可能性がある検査などが保険適応になり、腫瘍内科医の仕事も多岐にわたるようになっています。最新の治療は毎年Up dateされており、海外の学会では、標準治療が変わる瞬間を目の当たりにする機会も腫瘍内科の研修ではあります。私は7月に腫瘍内科をローテーションした際、バルセロナで開かれた国際学会に連れて行って頂き、大腸癌のBRAF変異型の標準治療が変わる瞬間を見て「こうやって治療が変わるのか」とすごく感動しました。

腫瘍内科医は人数も少なく、すべての病院にいるわけではありません。患者さんのニーズに合わせて抗がん剤の種類を変更したり、抗がん剤をしないことを相談したり、人生の最期に立ち会ったりと、オーダーメイドで人間くさい診療科です。腫瘍内科に興味を持った方、是非手稲渓仁会の腫瘍内科を見に来て勉強しに来てください。

中国語診療を経験して ~倶知安厚生病院での地域医療研修~

 みなさん、こんにちは。初期研修医2年目の木村です。私は、現在倶知安厚生病院に地域医療研修に来ています。倶知安厚生病院での研修についての説明は以前のブログで紹介がありましたが 、今回は同院での冬期の研修についてご紹介したいと思います。

 冬の倶知安での研修の特徴といえば、外国人診療が挙げられます。救急外来に救急車で運ばれてくる方を診療することもあれば、総合診療科の外来に歩いて来られる方の診療を担当することもあります。また、主治医として入院管理を任されることもありました。倶知安厚生病院へ訪れる外国人はオーストラリア人が多い印象でしたが、香港や台湾を含めた中国系の方の数も多く、英語のみならず中国語での診療を求められる場面もありました。私は中国語が話せるのが特技であり、中国語診療を求めて倶知安を研修先に選びました。やはりニセコのパウダースノーを目当てにやって来たスキーやスノーボードの観光客が多いため、上下肢の骨折や捻挫などの整形外科的な疾患が一番多かったのですが、風邪や腹痛などのcommonな疾患で来る方も多くいました。

 日本人と外国人を比較すると、英語圏の患者さんは疑問点をそのままにしない方が多く、気になったことをすべて質問していた印象でした。私も頑張って英語で回答しましたが、時にはうまく伝わらずに通訳の方(冬季は深夜帯を除いて院内に常勤されています)を呼ぶこともあり、とても無力感を感じました。

 また、中国語圏の患者さんの診療において困難に感じたのは、中国医学の薬を内服している場合です。インターネットで調べても中薬に関する情報は中国語のものが多く、その情報も中国医学をある程度理解していないと難しい内容であり、どんな薬なのか調べるのに時間を要しました。はじめは外国人というだけでこちらが気構えてしまい、過不足なく情報を集めることだけに注力していましたが、慣れてくると私の心に余裕ができ、相手の状況を考えて話せるようになりました。

 冬の倶知安での研修は、前述したように整形外科疾患が多く、希望すれば夕方の救急外来に多く入ることもできるので整形外科志望の方にもオススメです。もちろん、研修の間のオフを利用してスキーやスノーボードを楽しみたい方にもぴったりです。どんな理由であれ、それを叶えてくれる環境が倶知安にはあります。