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特別レクチャーのご紹介 ~University Hospitals Cleveland Medical Center 津島隆太先生をお迎えして~

皆さま初めまして、研修医2年目の塚越と申します。
今回は、当院の初期研修プログラム卒業生でもあり、現在University Hospitals Cleveland Medical Centerの内科レジデント3年目として活躍されている津島隆太先生による、特別レクチャーの模様をシェアさせていただきます。

津島先生は、当院で初期研修を修了されてから内科後期研修の傍らでアメリカのレジデンシーに向けて準備を進め、卒後4年目で見事にマッチされ、来年からは200倍の競争を勝ち抜いて、同施設での循環器内科フェローに進まれる予定でいらっしゃいます。先生がアメリカでのレジンデンシーを志望された動機や、臨床留学に向けた制度の理解や具体的な準備について、ユーモアを交えながら教えていただきました。20年以上にわたり幅広い視野を持った研修医を輩出している当院では、これまでの研修修了生との連携や長年蓄積されたキャリアパスのノウハウがあると再認識しました。また、レクチャーの中で最も印象的だったことは、先生が初期研修を終えてから、循環器内科での多忙な後期研修の合間を縫って1年間でECFMGを取得されたということでした。やはりどんな成功の影にも、必ず努力があります。その苦労を一切強調することのない謙虚さも含めて、多くを学ばせていただきました。

しかし、そんな中でも光があります。IMG(外国医学部出身者)は米国内のエクスターンでさえ、コネクションがない限り難しいご時世に、当院では新しい臨床留学プログラムが発足しているのです。その名も”Salmons Coming Back Program(別名:UHCMC International Scholarship Program)”です。実は津島先生はその一期生として渡米されており、それを足掛かりとしてアメリカで高い評価受け、その先を切り開いていらっしゃるのです。

このプログラムを利用すれば、日本の初期研修マッチングから米国のアカデミックな内科レジデンシープログラム、およびその先の専門教育までをひとつながりで描くことができます。米国臨床留学の一つの道として、極めて魅力的ではないでしょうか。日本にとっても、津島先生のような方が将来的に臨床や教育に携わってくださることは非常に有益だと思います!私も米国での外科レジデンシーに向けて準備しているので、ゆくゆくは他の分野にも広がってくれればより素晴らしいと感じます。

長くなってしまいましたが、最後に記念写真を添えて終わりとさせていただきます。今回の津島隆太先生の講演は、3月21日(土曜)朝9−10時にWeb講演会でもお話いただく予定です。後日、本ブログでもご案内しますので、ご希望の方は是非ご参加ください。そして、もし何か興味がありましたら、気軽に見学に来ていただければと思います。手稲渓仁会病院にはその答えが必ずあるはずです。

添付文章
”Salmons Coming Back Program(別名:UHCMC International Scholarship Program)”について

現在での条件としては以下の通りです。*条件に関しては随時変更があり得ます。
・ECFMG certificate 取得者
・院内選考通過者
・院内選考通過後にCase Western Reserve University(CWRU)内科でエクスターン(4週間)を行い、面接を含め、高評価を受けること。
・その後、マッチングを経てCWRUに正式採用。
・他条件(勤務時間・ローテーション内容等)は他一般レジデントと全く同じ。
・レジデンシー修了後は米国内科専門医を取得でき、フェローシップへの応募以降も同条件。
・専門研修を含む米国での全研修を終了後、手稲渓仁会病院で5年間の勤務義務あり。

南カリフォルニア大学 外科助教授 松島一英先生によるWeb講演会のご案内

皆様、こんにちは。
 Web講演会第6弾は、外傷外科についてSouthern California大学の松島一英先生にお願いしました。
 せっかくの機会ですので、ご興味のある方は2月22日土曜日朝8時から、是非ご参加ください。また、周りに興味がありそうな方がいらっしゃいましたら、積極的にお誘いいただきたいと考えております。参加希望される方は、事前登録が必要ですので、こちらからお願いします。もちろん無料です。

外科 今村

PDF版はこちらから

家庭医療クリニックでの外来研修

皆さんこんにちは。
冬になり、手稲も12月から雪がはじめました。例年、歩道の雪が深い時には10cmを超える時もあり、通勤中靴の中に雪が入ってげんなりしたり、滑って転んだりと雪には悩まされることも多かったのですが、今シーズンは暖冬と雪不足で、スキー場や雪まつりなど、北海道各地のイベント関係者が頭を悩ませています。

ところで皆さん、実習や研修などで診る病棟の患者さんが退院後どうなっているか、気になったことはありませんか?また、commonな糖尿病などの生活習慣病と向き合うことに興味はありませんか?当院における現行の初期研修プログラムでは、初期研修修了後に総合診療科専攻を希望する研修医という条件で、当院に併設された家庭医療クリニックにて長期フォローの患者さんの定期外来(週1回、半日)を1年間担当することができます。

手稲家庭医療クリニックでは、当院にて肺炎や脳梗塞などの急性疾患で入院加療を行った患者さんの退院後のフォロー、腫瘍疑いや肝機能異常など健康診断で異常を指摘された方の精査や、高血圧や糖尿病など生活習慣病のフォローなどが主な業務となります。

当院退院後の患者さんのフォロー外来では、治癒までの経過を長期的に診ることができ、検査や薬剤導入などを外来からみて入院中にしておきたいことなども学べ、普段の病棟業務に活かすことができます。急性期総合病院の病棟研修では経験できない疾患や病態を学ぶことができるので、とても勉強になります。患者さんも普段は仕事やご自身の生活があり、その合間をぬって受診にいらしているので、日常生活や趣味などの話も挟みながらご本人と対話をし、その方に合った医療を提供していくことにやりがいを感じます。しかし、長期渡航が控えていて副作用が怖いからと新規薬剤の導入を見送ったり、脂質異常症の薬物導入の基準にはかかっているものの本人が運動療法だけで治したいと頑張って改善に至ったりなど、ガイドライン通りにいかないことも多々あります。

1年を通し、決まった患者さんを継続的に担当する外来研修ができるのも、当院の研修の特色ですので、少しでも興味がある方は家庭医療科の見学にもいらしてみてください。

研修会開催(2月1日、2月2日)のご案内

新年明けましておめでとうございます。
本年も定期的にブログを更新していきますので、どうぞよろしくお願いいたします!

早速、今回は研修会開催のご案内です。
1. 2月1日(土)11:00~12:00「BEING A RESIDENT IN THE U.S. 前編」
皆様こんにちは。外科の今村です。
昨年より開始したWeb講演会企画の第5弾は、当院で研修した橋本知直先生です。米国で家庭医療科レジデントを行うまでの道のりや、現況など”リアルな”お話を米国からLiveで講演していただく予定です。どこからでもWeb上で参加できます。少しでも興味がある方は奮ってご登録ください。参加は無料です。対象として研修医や医学生を中心に考えていますが、医師であればどなたでも参加可能です!参加方法はポスターをご参照ください。なお、本講演の続編を3月21日(土)に計画していますので、そちらもどうぞよろしくお願いいたします。

2月1日の事前登録はこちらから

2. 2月2日(日)9:00〜17:30「多職種で語る、私と医療とマネジメントと」
皆様こんにちは。研修医1年次 森岡と申します。
私たち医療に従事する者は、目の前の患者さんをはじめ、先輩、院内スタッフの方々、そして患者さんのご家族からも、臨床現場において日々たくさんのことを学ばせて頂いております。しかしながら、臨床の現場から離れた場所において、多角的な視点で医療を考える機会はあまり多くはありません。つきましては、この度臨床医のご経験の後にハーバードビジネススクールをご卒業された山本雄士先生を当院にお招きし、勉強会を開催する運びとなりました。詳細につきましては、ポスターをご参照ください。是非多数のご参加をお願い申し上げます。

2月2日の参加申し込みはこちらから

地域医療研修のご紹介

初めまして。研修医2年目の都甲(とごう)と申します。ご存知の方も多いと思いますが、現行の臨床研修制度における地域医療の到達目標は、『患者が営む日常生活や居住する地域の特性に即した医療について理解し、実践する』であり、へき地・離島診療所、中小病院などで地域医療として1ヶ月以上の研修を行うことが必要とされております。私も11月に地域医療研修として、倶知安(くっちゃん)町にあります倶知安厚生病院で研修を行ったばかりですので、簡単に紹介いたします。

 倶知安町は、北海道虻田郡にあります総人口15,132人の町であり、世界的なスキーリゾートで有名なニセコと隣接していることから、国外から多くの観光客が訪れる国際色豊かな町です。町の一般的なスーパーを訪れると、南半球やアジア圏からの観光客と思われる方々が買い物をしており、まるで外国に来たかのような錯覚を抱きます。当然、医療面も国際色豊かで、ハイシーズンになると救急外来は外国人の方のスキー・スノーボード外傷で溢れ、その時期の研修医はひっぱりだこのようです。残念ながら、私が訪れた時期はまだスキー場がオープンしていないこともあり、外国人患者さんの診療機会は少なめでしたが、日本語で診療するのと異なり、診察に際しての声かけや病状説明が不足するなど、母国語以外で診療することの難しさを実感し、非常に良い経験をさせていただきました。
 また、普段は急性期の治療内容を学ぶことに精一杯で、患者さんがどのように元の生活に戻っていくかイメージが湧きにくいのが正直なところでした。倶知安厚生病院では地域包括ケア病棟を備えており、急性期治療を終え、病状が安定した患者さんに対して在宅や介護施設への復帰支援に向けた医療を学ぶことができます。患者さんおよびご家族とのIC、他職種との退院支援カンファレンス、退院後の訪問診療などを通じて、患者さんやご家族の思い、そしてそれを支援する職員の方々の思いに触れ、地域の方々がまたそれまでの日常生活に戻れるよう医師として精進しなければならないと、思いを新たにしました。
 このように、本来の地域研修に加えて外国人診療の機会にも恵まれる点は、倶知安厚生病院および当院ならではと思います。ご興味のある学生さんがいらっしゃいましたら、ぜひ一度見学に当院へ足をお運びください。
 最後になりますが、寒さ厳しき折くれぐれもご自愛ください。

倶知安厚生病院から望む羊蹄山(富士山に似た姿から、蝦夷富士とも呼ばれています)

2019年度 手稲渓仁会病院(TKH)オープンキャンパス 日程決定!

【一次締め切り:2020年1月31日】

日本の北端で新しいことに挑戦し続ける病院がある。
そんな手稲渓仁会病院の魅力を知ってもらうため、今年度も医学生向けにオープンキャンパスを行います。昨年度、医学部2~5年生で50名を超える参加があったため、上記の通り締め切りを設けさせていただきました。研修医と一緒に、医療現場・身体診察・仲間作りしませんか?この春、その一歩を、当院オープンキャンパスで。

○対象者:医学生〜英語が苦手な方から日本語が苦手な方まで。学年問わず〜
○日 程:2020年3月7日(土) 12:30 開場 13:00 開始予定
○内 容:※変更の可能性もあります。
3月7日(土)
・院内ツアー(ドクヘリ見学も)
・身体診察ワークショップ
・モーニングレクチャー外科編体験
・研修医と話す座談会・質問会
・チーム対抗、医学生クイズ
 終わり次第、食事会予定
3月8日(日)選択(参加・不参加自由です)
・外科手技シミュレーションセンター見学
・札幌・小樽観光
・家庭医療クリニック(予定)

参加ご希望の方は、こちらから参加登録をお願いします。

ご意見・ご質問のある方は、以下にメールして下さい。
tkhoc2020@gmail.com

たくさんのご参加をお待ちしています!

TKH オープンキャンパス実行委員

The elective at Te Omanga Hospice, New Zealand

こんにちは。2年目初期研修医の志村と申します。
寺田先生の記事にもありましたように、当院では国内外を問わず他施設での院外研修が可能です。私はニュージーランドのホスピスで4日間の研修をさせていただきましたので簡単にご紹介します。

北島の都市、ウェリントンの郊外にTe Omanga Hospiceは位置しています。ニュージーランドでは、多くの方が自宅で最期の時間を過ごすことを望み、それを実現しています。Te Omanga Hospiceは、外来・入院・在宅での緩和ケアを行なっている施設で、年間320人の患者さんを看取っているそうです。

ベッドは8床あり、終の住処というよりも、一次的に症状コントロールを行うための病棟としての役割が大きいことが特徴です。ホスピスで亡くなる方もいらっしゃいますが、多くの患者さんが入院中に症状コントロールを行いながら、家族会議を重ね、準備を整えて自宅へ戻って行きます。

家族会議は、本人、家族、医師、看護師、ソーシャルワーカーで大きな輪を組み、現状や今後の方針について共有する場です。一度、マオリ族の腎不全患者さんの家族会議に参加させていただきました。まず皆で祈りを捧げるところから始まり、現在の症状や今後などについてじっくりと話し合った後、皆で肩を組んで歌を歌い会議を終えました。会議自体はシビアな内容も含まれ、途中家族が涙する様子もあったものの、最後には皆、笑顔で前向きな発言をする様子が多くみられていました。

愛する者との別れは辛く悲しいものです。しかし、時間が限られているからこそ、命はより輝き、大切な時間を過ごすことができるのではと感じました。ニュージーランドの雄大な自然に囲まれ、優しい時間が流れるホスピスで、私自身が豊かな時間を過ごすことが出来ました。

日常とは全く異なる環境に飛び込み、新たな気づきを得られることが院外研修の醍醐味ではないでしょうか。院外研修を行うにあたり、お世話になった皆様にこの場をお借りして心より感謝申し上げます。

Te Omanga Hospice, located in Lower Hutt, in the North Island of New Zealand provides inpatient, outpatient, and home-based palliative care. Thanks to the doctors and medical staff at both TKH and Te Omanga Hospice, I had the opportunity to visit there on an elective.
  Te Omanga Hospice has eight beds for patients who need acute symptom control or for terminal care but these days, many patients prefer to spend as much time, and ideally the end of their life in their own home.
 Family meetings play a vital role to achieve good quality of life for patients with terminal illness. I attended one of these family meetings for a Maori patient – it started with a Karakia, a prayer in the patient’s native language. After the prayer, we discussed the present situation, the patient’s goals and likely future prospects. We discussed what was needed for him, what could be provided and then set goals together. At the end of the meeting, we sang a song putting our arms around each other’s shoulders.
 Being separated from a loved one is never easy. However, they remind us of how precious life is. They teach us to live as if each moment is a gift. Dying is a normal process. Death is necessary for our life to be meaningful. The days I spent at Te Omanga Hospice were some of the most peaceful and serene of my life and made me realize the essential things in life.

産婦人科研修のご紹介

こんにちは!研修医2年の鈴木凜と申します。
手稲では11月中旬から雪が降り始め、地面は凍り、芯まで冷える寒さになってきました。去年転倒した反省を活かして気をつけて歩いていましたが、今年も早速派手に大こけしました。冬シーズンに見学予定の学生の方は、ぜひ滑りにくい靴でいらしてください。

それでは今回は、産婦人科研修について紹介したいと思います。
産婦人科は今までは選択枠でしたが、2020年度から必修枠となるので、次期1年目からは全員が研修することになります。
そこで、当院の産婦人科研修を3ポイントで紹介したいと思います。

①手術件数が豊富
数字でいうとピンとこないかもしれませんが、2018年(1~12月)の産婦人科総手術件数は1,656件、その中で腹腔鏡手術の比率が高く、1,016件行われています。これは全国でトップ3に入る件数だそうです。そのため、ほぼ毎日研修医は何かしらの手術に入っています。上級医の十分な指導の下、マニピュレーターという子宮を動かす器械の操作から始まり、研修医の能力に応じて手術手技の指導を受ける機会もあります。外科系を考えている人にとっては充実した日々になるかと思います。

②指導医が豊富
当院は手術件数が多いこともあり、多くのスタッフがいます。最近では専攻医の先生も増えてきており、若手からベテランの先生まで幅広くいらっしゃいます。
基本的に、研修医はローテート中に一人の指導医について病棟や外来などの業務にも関わらせていただきます。指導医以外の先生方も、新しい患者さんが来た時に研修医を呼んでくださり、みな優しく気さくに話しかけてもくださるので、相談もしやすく大変恵まれた環境です。

③休みがしっかりある
産婦人科では土日が完全オフです。しっかり休んでもよし、遊んでもよし、産婦人科に興味があって経験を積みたければ出勤してもよし。フレキシブルだけどしっかり学べるのが当院産婦人科の特徴と思います。

ということで大まかに産婦人科の紹介をしましたが、とにもかくにも出産は感動します。必修科になった産婦人科で是非たくさんのことを学んでください!

初の海外学会参加とアメリカの病院見学

こんにちは。手稲渓仁会病院研修医2年目の寺田と申します。
当院では院外研修の機会があり、研修医1年目に5日間、2年目に10日間が付与されていて、興味がある病院の研修や学会への参加が可能です。今回、私は院外研修の期間を利用して1週間ワシントンに行き、2日間ジョンズホプキンズ病院の救急と内科の見学と、4日間のSociety of General Internal Medicine (SGIM)の学会へ参加し、内科症例のポスター発表をしたため、現地の様子を報告します。ジョンズホプキンズ病院への見学は、一度研修医の視点でアメリカの研修を見てみたかったことと日本では見られない症例に興味があったことから、上級医に相談して当院にも教育に来て頂いたジョンズホプキンズの内科医師に紹介してもらい、実現しました。渡航にあたっては、病院から渡航費及び学会費用の補助を頂きました。

5月初めにワシントンに飛び、まずジョンズホプキンズ病院を見学しました。救急では2チーム制が取られており、RedとBlue teamと言われていました。Red teamは外傷チームです。1チームにつき指導医1-2人、研修医3人という体制で人手は豊富のようでした。アメリカでも有数の治安の悪い病院周辺から様々な患者さんが運ばれてくるようで、日本ではなかなか見られない銃創患者、薬物の大量服薬などは日常茶飯事のようでした。

内科見学は、チーフレジデントによる朝レクチャーから始まりました。内容としては、前日夜間に研修医チームが見た入院症例に関しての臨床推論を通しての振り返りという形式で行われ、主訴から考えられる疾患を挙げ、問診で何を聞くべきであったか、アセスメントは正しくできたのかを研修医と医学生で議論しながら進めていきます。その後、患者さんご本人のベッドサイドまで行き、身体診察(腹部の腎動脈雑音の取り方など)とエコー(肺と心臓)を行いました。内科のチームは複数あり、各チーム、指導医1人、シニアレジデント2人、研修医3人、医学部2年生1人というビッグチームでした。回診プレゼン、方針を決めるのは当院での内科研修と変わりありませんでしたが、医学生が業務をしていることと、各々パソコンがあるためその場で指示出しや処方、カルテ書きを行える点が異なり、興味深かったです。

SGIM学会当日は、アメリカの研修医に交じりながら通りがかった人にポスター発表をしました。周りの研修医とも仲良くなり、研修や進路のことなどをしゃべりました。レクチャーやセッションも豊富で、治療のアップデート的な内容のものから、どのように進路設計をするか、眠らせないレクチャーをするには!?などと多岐に渡っていました。実際に明日から実践できる内容が多くあり、海外学会に参加する意義を強く感じる機会となりました。

今回の院外研修を通して、研修医として日々忙しく医学を学んでいる中で、自分が経験した症例の発見を発表し、意見交換をすることを通して新たな疑問が生まれ、今後に生かせる知識が身につけるなど、重要なことを当たり前にできるようにしたいと思いました。これが実現した背景に病院のサポートや指導医、周りの研修医、事務の方の協力があり、感謝の思いで一杯です。

研修医のためのレクチャー ”Morning report”

初めまして!研修医2年目の中溝と申します。
今回は、当院の教育プログラムの一つでもある”Morning report”について紹介します。
“Morning report”は平日の朝に開催されている研修医のためのレクチャーです。各種疾患への対応法や鑑別の練習に加えて、エコーのレクチャー、身体所見の取り方など内容は多岐に渡ります。時には研修医もレクチャーを行う側となり、人前でのspeech能力を向上させる貴重な機会にもなっています。この記事では、日々行われている”Morning report”の中から救急科の先生による「てんかん」のレクチャーについて一部お届けします。

そもそも「てんかん、てんかん発作、痙攣発作の違いを説明できるか」と最初に問われ、自信をもって説明できないなと思いました(汗) 。なんとなくわかっているつもりでしたが、言葉できちんと説明するとなると案外できないものですね。ということでまずは言葉のおさらい↓

・てんかん発作:神経細胞の異常で、過剰な電気的放電が同期して発生することにより突然現れる行動の変化
・痙攣発作:てんかん発作で全身または一部の筋肉が過剰な収縮を伴うもの
・てんかん:非誘発性にてんかん発作を繰り返す疾患

てんかん発作は筋肉の過剰な収縮、つまり”ガクガク”してなくてもいいわけですね。そこで覚えておくべき疾患がNCSEですね。 国家試験にはほぼ出ないんじゃないかと思いますが、臨床では遭遇します。NCSEはnonconvulsive status epilepticus(非痙攣性てんかん重積状態)のことであり、文字通りてんかん発作は発生しているのにガクガクしていない状態です。要は実際に痙攣していないからといって、てんかんじゃないとはいいきれないってことですね。

意識障害だけで搬送されてきたりするので、原因不明の意識障害の鑑別診断として頭に入れておきましょう。そして痙攣を見た時の薬剤の使用については、当院の救急外来ではジアゼパム10mg → 5-10分後持続しているならジアゼパムをもう10mg追加 → それでもだめならホストイン15mg/kgとなっています。もちろん常にABCの評価は必須です。詳しいことはガイドラインも参考にしてみてください。ありがたいことに日本神経学会が、てんかん診療ガイドライン2018をネット上で公開してくれています! ぜひ活用しましょう。

見学にきてくれた学生さんが5人も参加してくれて、当院の教育の一部を知ってもらえたと思います。見学、気軽に来てくださいね~。