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SGIM(米国総合内科学会)参加報告

初めまして、当院の元初期研修医、現麻酔科専攻医1年目の青山です。

最近はコロナが5類に移行し、国内学会も現地開催のものが増えてきているのではないでしょうか。

そんな中、私たちはアメリカで開催されたSGIM(米国総合内科学会 2023年5月10日~13日)に参加させていただきました。当院の歴代研修医が国際学会に参加し、楽しく良い経験になったとお話されていたのを聞いていたため、いつか参加してみたいと思っていました。

研修医2年目の総合内科ローテーション中に、血管内リンパ腫という珍しいリンパ腫を疑う症例を経験し、指導医の先生方からの応援もあり抄録を提出しました。演題が通ったとメールをいただいた時から参加を待ち望んでいました。また、同期と後輩研修医も演題が採択され、手稲渓仁会病院からは計3人の研修医が参加しました。

場所はロッキー山脈のあるコロラド州、デンバーです。あいにくの天気で曇りや雨も多かったですが、学会会場内からもきれいな景色を見ることができました。

学会はポスター発表と口頭発表の2種類があり、私たち3人ともポスター発表でした。

200枚以上のポスターが展示されるスペースの中で90分間展示して、興味を持って下さる先生とディスカッションする形式です。少しでもポスターを読んでいただける先生を引き留めたり、話しかけてみたり、さまざまな先生と交流し日本とアメリカの医療事情の違いをはじめ、興味深い議論をすることができました。

学会最終日はホールで朝食も提供され、以前当院にも来院されていたDr. Gehaの講演を聴くこともできました。講演前にもDr. Gehaや当院のモーニングレポートに出て頂いている米国内科医の先生方からも直接声をかけていただいて、渓仁会がいかに英語教育に恵まれた環境なのか改めて気づかされました。

また、日本人の先生にも数人お会いすることができ、中には今年度のマッチに応募するため興味のある施設の先生に声をかけたり、将来へ向けてのコネクション作りをしている先生もいました。

留学に興味のある先生も、そうでない先生もさまざまな楽しみ方ができる学会でした。将来的に国際学会への参加に興味のある学生さんも、是非当院に見学にいらして学会発表した先輩のお話を聞きに来て下さい。

学会の後に有給を利用してロサンゼルスで観光を楽しんだのはここだけの秘密です。

※ブログ編集部補足

今回の米国総合内科学会(2023 Society of General Internal Medicine Annual Meeting)では、3名の当院研修医が発表しました。発表演題は以下のとおりです。

AbstractはJ GEN INTERN MED 38 (Suppl 2), 81–799 (2023).  こちら よりご覧下さい。

Mariko Aoyama, Tetsuya Hoshi, Kaito Nakamura, Kaihei Masuda, Keita Hibako, Megumi Sano, Yoshimoto Serizawa, Taku Shimizu, Satoshi Oota. A Lymphoma With no Mass; a 75 Year old Female Diagnosed With Diffuse Large B Cell Lymphoma.

Satoki Hatano, Kaihei Masuda, Keita Hibako, Mariko Shimazu, Megumi Sano, Koki Kikuchi, Kaito Nakamura, Kimi Kase, Tetsuya Hoshi. Drug Eruption of Acetaminophen With Undiagnosed Sjogren’s Syndrome.

Sumire Isomura, Kaihei Masuda, Keita Hibako, Mariko Shimazu, Megumi Sano, Tetsuya Hoshi. A Case of Dementia Patient With Malnutrition Secondary to Possible Institutional Neglect.

総合内科研修

医学生のみなさま、こんにちは。総合内科 医長の中村と申します。

今回は、当院の総合内科の診療内容や研修の特徴について紹介させていただきます。

・診療内容

総合内科は、将来進む専門分野を問わず、内科領域全般にわたる知識と技能を持った医師を育成する科として2001年に新設されました。現在、総合内科には、内科学をベースとして家庭医療やリウマチ・膠原病、循環器内科、血液内科、老年科など様々なバックグラウンドを持つ医師が在籍し、感染症やリウマチ・膠原病、内分泌疾患など幅広い疾患の診療を行っています。

感染症診療については、一般的な感染症のみならず、感染症科と密に連携して多臓器にまたがる感染症や膿瘍などの複雑なマネジメントを要する感染性疾患も診療しています。また、当院は高次機能病院であるため、非典型的な感染性心内膜炎やライム病、梅毒など稀な感染症もしばしば診療する機会に恵まれています。当院は道内ではいち早くマルチプレックスPCR(FilmArray)による核酸同定検査を導入し、感染症の早期診断や原因菌同定に大きな成果を挙げています。

リウマチ・膠原病診療については、当科にはリウマチ学会の指導医1名、専門医2名が在籍しており、専門性の高い医療を提供しています。関節リウマチやリウマチ性多発筋痛症、脊椎関節炎といった関節疾患については、関節エコーを積極的に活用し、生物学的製剤や分子標的治療薬を用いた治療を行っています。SLEや皮膚筋炎、血管炎などの膠原病については、常に最新の知見を取り入れ、最善の医療を提供できるよう努めています。

その他、糖尿病や甲状腺疾患といった内分泌・代謝疾患や電解質異常など、当院の各専門診療科では対応できない疾患の診療も当科が担っています。

一方、超高齢社会を迎えた我が国では、高齢者医療のニーズが高まっています。高齢の患者さんは複数の疾患を併せ持ち、Multimorbidityとも言われるようにその病態やマネジメントはしばしば大変複雑なものになります。当科では高齢の患者さんも多いため、医学的・社会的複雑性に配慮してバランスの取れた診療を行うよう心がけています。

・研修の特徴

1.英語でのグローバルな臨床教育

当科では、業務提携を結んでいる米国テキサス大学より指導医を招聘し、日々のカンファレンスを英語で行っています。カンファレンスでは研修医・専攻医が英語でcase presentationを行い、その内容をもとにディスカッションを行うことで、双方向性の英語臨床教育を実現しています。また、米国流の臨床的アプローチやコミュニケーション、指導方式に触れることで、臨床医としての視野が広がり若手医師の成長に繋がっています。

米国人医師との病棟回診の様子

2.万全の指導体制

上述のように当科にはさまざまなバックグラウンドをもった医師が在籍しており、幅広い疾患に対応可能です。研修医―専攻医―指導医の屋根瓦体制を基本とし、常に指導医が病棟業務に従事する体制を構築していますので、いつでも上級医に相談できる体制が整っています。きめ細かい指導のもと、安心して病棟診療にあたる事ができます。

3.学術活動

当科には学術的にも貴重な症例が多く、近年は若手医師の学会発表・論文執筆の支援にも力を入れています。昨年は10演題、今年はこれまでに9演題の学会発表を行いました。海外学会にチャレンジする若手医師も多く、2022年はスペインで開催されたEuropean Congress of Internal Medicineに、2023年はアメリカで開催されたSociety of General Internal Medicine Annual Meetingに参加し症例報告を行いました。

このように、総合内科では幅広い疾患を診療しつつ、感染症やリウマチ・膠原病領域に関しては専門性の高い医療を提供しています。他に類を見ない英語での臨床教育を実現し、国内では唯一無二の総合内科といえます。いつの日か、皆様と一緒に働けることを楽しみにしております。

総合内科 中村海人

第5回家庭医療クリニック 学生・研修医向け勉強会のお知らせ

こんにちは、手稲家庭医療クリニックの専攻医小橋川と申します。
手稲家庭医療クリニック(愛称 かりんぱ)では、定期的に学生・研修医向けの勉強会を行っています。
第5回のテーマは「臨床推論+家庭医療tips」です。実際のかりんぱの外来であった症例を通して、鑑別の考え方に加えて家庭医的な視点の両方をみんなで学んでみましょう!
開催概要は以下のとおりです。

■日時 2023年7月26日 (水) 20:00~20:30(30分予定)
■対象 医療系学生 初期臨床研修医
■場所 Zoomによるオンライン開催 申込者には自動返信でURLをお送りします。
■申し込みは こちら から

こんまり先生インタビュー

みなさま、こんにちは!今回はわれわれ初期研修医をサポートして下さっている先生を紹介したいと思います。

ーーこんまり先生、本日はよろしくお願いします。

こんまり よろしくお願いします。

ーーまずは自己紹介をお願いします。

こんまり こんにちは。島津真理子改めこんまりです。現在は手稲渓仁会病院でさまざまな業務に関わっています。

ーー具体的にはどんなことをされているのですか?

こんまり テキサス大学との連携業務、もう少し具体的に言うと、テキサスから来られる先生の来日目標に合わせた滞在スケジュールを調整したり、研修医と交流しやすい環境作りをしたりしています。

ーー昨年から毎月テキサス大学の先生が1ヶ月ずついらっしゃっていますね。私も英語での症例プレゼンなどでお世話になりました。あと、札幌市内のレストランで食事をしたり、英語でお話しする機会を多く持てました。

こんまり 他には研修医の国際学会での発表をお手伝いしています。演題提出から学会発表までの流れを切れ目なくサポートします。今年5月には3名が米国内科学会(SGIM)で発表しました!あとは建設的な振り返りや、EBMの活用など、実臨床で使えるけど特定の科に依らない技術をモーニングレポートなどで指導しています。

ーーアメリカの学会で発表できるのはとても貴重な経験ですよね。ディスカッションは大変ですが、一度経験すると大きな自信になるでしょうね。

こんまり そのほか、英語に限らず、初期研修医の相談には何でも乗っています!

ーーそういえば、この前は、見学に来てくれた学生さんとお話しされていましたね。どんな話をされていたんですか?

こんまり 働き始めると学生の時とは考え方や物の見方が変わってきますよね。自分の経験も踏まえて学生さんの助けになるような話をできたらいいなと思っています。

ーーこんまり先生は英語をよく話されていますけど、海外に長く滞在されていたんですか?

こんまり 生まれは東京ですが、6歳の時に父の仕事の都合でニューヨークに引っ越しました。その後、タイにもしばらく住んでいたことがあって。大学は慶応義塾大学の医学部に進学しました。初期研修は手稲渓仁会病院で修了して、後期研修は手稲家庭医療クリニックで開始しました。その後、体調を崩した事もあって2年近く休職した後に、今の仕事に復職しました。

ーーそうだったんですね。僕らは2022年の4月に手稲渓仁会病院に入ったので元気なこんまり先生しか知らないですが、そんなことがあったんですね。いろいろな経験をされてきたこんまり先生から学生の方々に伝えたいことはどんなことですか?

こんまり 学生は、24時間365日常に学生ですが、働き始めるとよほどでない限り「職業人である自分」と「そうでない自分」のオンオフが発生します。医師であり給与が発生する時と、そうでない時の両方を大事にできる土壌を学生のうちから築いていくことをお勧めします。

ーーはい。

こんまり 具体的には、「医師にならなかったとしても大事にしたいこと」を見つけてください。時にはそれを軸にして道を決めることもあるかもしれません。詳しくは見学に来た際に直接聞いてくださいね。

ーー手稲渓仁会病院での初期研修についても教えてください。

こんまり 特徴を挙げるとすると、看護師さんやリハビリスタッフ、ソーシャルワーカーさんなどあらゆる職種の方が研修医に慣れています。研修医のできること、できないことを把握されていて、チームの一員として気持ちよく働くことができます。

ーー確かにみなさん優しいですよね。病棟で困っているといつも助けてくれる。

こんまり あとは立地ですが、病院がJRの駅とスーパーと役所に近いです。札幌に来て7年間、車なしで過ごしています。

ーー札幌や新千歳空港へのアクセスはとても良いですよね。病院から駅まで徒歩5分以内。

こんまり それと、医師、特に研修医はいろんなバックグラウンドの人がいて、多少海外で育ったとか、医学部に入る前に特殊な仕事をしていたくらいでは目立ちません。社会人としての振る舞いさえ適切であれば、日頃の同調圧力も殆どなく過ごしやすいです。

ーー僕も以前は営業の仕事をしていて、再受験で医学部に入りましたが、そういう経歴はここでは全然気にされない。研修以外に余計な気遣いが不要なのでとても居心地はいいです。

ーーこんまり先生、本日はありがとうございました。

こんまり ありがとうございました。

6/26(月)オンラインセミナーのご案内

医学生のみなさまへ

こんにちは。手稲渓仁会病院臨床研修部事務局です。
このたび、今年度第1回のオンラインセミナーを行う運びとなりましたのでご案内させていただきます。

今回の第1部は、University of California San Franciscoの内科助教授である
Dr. Rabih Gehaによるケースカンファレンスです!

Dr. GehaはThe Clinical Problem Solversという全米の医学生や若手医師に
大人気の臨床推論教育チームの一員です。
当院の初期研修医に対してモーニングレポート(注:初期研修医向けに平日の朝行っている勉強会)の一環としてケースカンファレンスを行って下さっています。

Dr. Gehaはご自身がアメリカ出身でないこともあり、多様なバックグラウンドに対する理解が深く、英語が第一言語でない人に対する配慮も欠かしません。
英語に自信がなくても、最後には「参加して良かった」と思っていただけるはずです。

今回は、そんなDr. Gehaのモーニングレポートに参加できる貴重なチャンスです!
ビデオoff, マイクoffでの参加も大丈夫ですので、当院の研修医が受けている英語臨床教育をぜひ体験してみてください!

また、第2部ではブレイクアウトルームに分かれていただき、現役研修医とのトークセッションを予定しています。
少人数制ですので、当院に興味のある方、リアルな研修医の声をもっと聞いてみたいという方、この機会にぜひご参加をいただければ幸いです。

2023年度 第1回 医学生のためのオンラインセミナー
◆日 時:2023年6月26日(月)18:30〜20:00 on zoom
◆対 象:医学部5年生、6年生
◆申し込み締切:6月21日(水)
◆定 員:30名(定員となり次第、締め切らせていただきます)

お申込み・詳細はこちら↓
https://forms.office.com/r/f02KAj9Q6y

どうぞ宜しくお願いいたします。

 

米国臨床留学マッチング・増田先生インタビューその4

こんにちは!今回でテキサス大学ガルベストン校(University of Texas Medical Branch)内科レジデンシープログラム(Internal Medicine Residency)にマッチされた増田先生のインタビューは最終回です。どうぞ!

ーー英語はどのように勉強されたんですか?増田先生は帰国子女というわけでもないですよね。

増田 その通りで、もともと海外で住んだ経験がなく、英語に対して苦手意識がありました。そのため、4年目のときに米軍基地病院(U.S. Air Force 374th Medical Group, Yokota AB)で1年間、Japanese Physician fellow として研修を行いました。米軍基地での1年間でTOEFL iBTの点数が10点以上アップしました。ほかにも、日々オンライン英会話に取り組んだり、海外ドラマでリスニングのトレーニングをしたりしています。

ーー長期間にわたって同じ目標を追い続けるのは大変なことだと思います。モチベーションはどのように維持していたんですか?

増田 短期的な目標と長期的な目標を常に意識することですね。あとは、お手本となるロールモデルを探したり、同じ目標をもつ人と連絡をとったりすることも大事だと思います。

ーーテキサス大学でのレジデンシープログラムにはどのようなことを期待していますか?

増田 日本で内科専攻医のトレーニングを開始していないため、米国でも内科全般のトレーニングに引き続き励みたいと思います。大学病院(University-based program)であるため複雑な病態にも遭遇したり、また、Texas Department of Criminal Justiceという囚人が入院している病院のローテーションを通じて、社会的な問題に触れたりすることもできると思います。テキサス大学のプログラムはリサーチにも力を入れており、臨床研究にも取り組みたいと思います。

ーーレジデンシープログラム修了後の進路はもう考えていますか?

増田 Internal Medicine Residency を終えた後は、Infectious Diseases Fellowshipに進みたいと考えています。

ーー最後に、日本中のアメリカマッチングを目指す医学生・研修医に一言お願いします!

増田 諦めないこと。あとは、情報を多方面から収集して、多角的に判断・対処することが大事です。

ーー本日はありがとうございました。米国でのご活躍を期待しております!たまに手稲渓仁会病院に帰って来て、お話を聞かせて下さい!

増田 ありがとうございました!

今月は、手稲渓仁会病院総合内科から増田先生のインタビューを4回に渡ってお届けしました。手稲渓仁会病院では、初期研修中に頻繁に英語に触れられる機会があります。現在はテキサス大学から1ヶ月交代でレジデントの先生が来てくださり、英語教育や米国マッチングなどの相談に乗ってもらうこともできます。手稲渓仁会病院で研修を行った後、海外で医師として働いている先輩もたくさんいらっしゃるので、将来米国に限らず英国やオーストラリアなど、海外で臨床医として働いてみたい方は一度見学に来てみて下さい!

米国臨床留学マッチング・増田先生インタビューその3

こんにちは!今回も引き続き、テキサス大学ガルベストン校(University of Texas Medical Branch)内科レジデンシープログラム(Internal Medicine Residency)にマッチされた増田先生のインタビューです。どうぞ!

ーー米国への臨床留学となるとUSMLEの各ステップの合格が必須となりますが、どのようなタイミングで合格されましたか?

増田 USMLE Step1は大学6年生の12月、USMLE Step2CKは 初期研修2年目の1月に受験しました。USMLE Step3は4年目の3月にハワイで受験しました。いずれもUWorld やAmbossなどのQuestions bankを中心に勉強しました。Step1のときはFirst Aidを読み込みました。OETは4年目の夏に受験しました。Sample問題やOfficial OET Practice Book、OET Onlineを中心に勉強しました。なので、医学部6年生12月から4年目の3月という長い時間をかけて、ようやくすべてのUSMLEのStep(Step1-3, OET)に合格し、ECFMGを取得することができました。

ーーさらに、そこから米国病院とのマッチングまでにどのような準備が必要でしたか。

増田 ECFMG取得後は、Personal Statementなどの書類作成に取り組みはじめました。マッチングは卒後5年目の時に参加しました。マッチングの書類提出期限(Personal Statement, CVなど)は9月末だったのですが、8月頃から、応募するプログラム(VISAは発行してくれるのか、推薦状は何通必要なのか、なども含め)についての各々のプログラムのウェブサイトで下調べを開始しました。10月頃よりインタビューの招待メールが届き始めました。オンライン英会話で、英語での面接の練習を9~10月ごろより本格的に開始しました。面接シーズンは11月初旬~2月半ばまで長期に渡り、計20回弱の面接を受けました。

ーー米国マッチングで大変だったことは何ですか?

増田 大変なことばかりでした。USMLEの試験を突破しECFMGを取得するまでも一苦労でしたが、そこからのマッチング参加への準備も大変でした。用意する書類(Personal Statement, Curriculum Vitae, Medical Student Perfor-mance Evaluation、Supplemental ERASなど)が多く、書類準備だけでも1日が終わってしまうこともありました。また、私が参加した年は、面接はオンライン(ZoomやTeamsなど)で行われましたが、アメリカとの時差があり、面接は日本時間の深夜(例:深夜12時30分から4時半まで、ハワイの場合は深夜2時から朝の9時まで)に行われました。日中は仕事をしていたので、体力的にもきついと感じたことが多々ありました。

ーー仕事と勉強のタイムマネジメントは大変ですよね。

増田 朝は早く起きてマッチングの書類準備や面接練習をし、仕事面では残業をせずに早く帰宅できるように、日中は仕事に集中するようにしていました。

ーーマッチングについての情報収集はどうやっていたんですか?

増田 最近はSNSも発達しており、Facebook やTwitter,Discord, Google spread sheet などを活用しました。また、日本人の医師の友達とも情報交換をしたりしました。

(次回に続く)

道プレ!に参加します!

医学生のみなさま、こんにちは。臨床研修部事務局です。

当院臨床研修部は、5月14日(日)に開催される「道プレ!~北海道の臨床研修病院合同プレゼンテーション2023~」に参加予定です。

研修医、専攻医(外科)、事務局がみなさまをお待ちしております。
ぜひブースにお立ち寄りください!

日時:2023/5/14(日)10:00~15:00
会場:札幌パークホテル地下2階 パークプラザ「25番ブースへ!!」
詳細・お申し込みは こちらから

米国臨床留学マッチング・増田先生インタビューその2

みなさま、こんにちは!今回は前回に引き続きテキサス大学ガルベストン校(University of Texas Medical Branch)内科レジデンシープログラム(Internal Medicine Residency)にマッチされた増田先生のインタビューです。続きをどうぞ!

ーー初期研修で手稲渓仁会病院を選んだ理由は何だったんでしょうか?

増田 外国人医師による指導をはじめとして、医学英語教育に力を入れていたことに魅力を感じたことや、同じ志を持つ同期や先輩・後輩に出会えると感じたからです。

ーー実際初期研修を行ってみていかがでしたか?

増田 初期研修中は忙しく、資格についてはなんとかスキマ時間を見つけながらUSMLE Step2 CKに合格するのが精一杯でした。一方で、私が初期研修を行っている間にも多くの先生がレジデンシープログラムにマッチしていきました。結果として、私の1-5年目の間に10人の先輩・同期・後輩が米国・カナダ・英国での臨床留学を実現されました。

ーーかなりの人数ですよね。

増田 それに加え、宮田真先生(現:SSM Health Cardinal Glennon Children’s Hospital 小児外科)や中嶋優子先生(現:Emory University 救急科/国境なき医師団会長)など、米国で活躍されている先生方が手稲に来てくださったりして、多くの刺激をもらいました。

ーー手稲渓仁会病院の研修内容についてはどうでしたか?

増田 米国でのレジデンシープログラムは比較的忙しく、それに備えて日本にいるうちに内科救急を中心とする臨床力を身に付けたいと望んでいました。その点で手稲渓仁会病院での研修はプラスになったかなと思います。初期研修中の総合内科、循環器内科、ナイトフロート (病棟管理・新入院対応)はとても大変で、毎日、”あと何日で終わるかな”とカウントダウンばかりしていました。二度とやりたくないと思っていましたが、当時の苦労は振り返ればプラスになったかな、と感じております。

ーー初期研修では先生も苦労されていたのですね。

増田 当時の3年目の先輩から屋根瓦式で多くのことを学び、また、“総合内科のカンファレンスで指導医からの多くのフィードバックを通じてプレゼンテーションスキルも磨くことができました。

ーー確かに総合内科のカンファレンスでは新たな観点に気づかされることは多かったです。

増田 3年目も、引き続き手稲渓仁会病院で研修しました。3年目だった当時、とくに総合内科は“超過渡期”で指導医不足の時期があり、日中の内科病棟に私以外の医師が初期研修医の先生しかいない、という日もありました。大変なこともありましたが、病棟チームリーダー的なポジションをやらせていただき、責任をもって診療にあたったり、後輩指導に携わったりした経験のおかげで、内科診療に自信を持てるようになりました。

ーー手稲渓仁会病院での初期研修3年目を選択されて、臨床留学にはプラスになりましたか?

増田 初期研修3年目はフレキシブルに研修ができ、時間も取りやすかったため、当院の指導医の先生と臨床研究にも取り組みました。研究業績はまだまだですが、マッチングの面接の際も自分の研究に興味を持ってくれる米国人医師もおり、やってよかったなと思えました。私の場合英語が堪能ではないため、米国で生き残るにはその分臨床能力で補うのが大切だと実感しています。まだ米国での仕事は開始していませんが、手稲渓仁会病院での臨床経験が今後、米国での診療にも活きることを信じています。

(次回に続く)

米国臨床留学マッチング・増田先生インタビューその1

みなさん、こんにちは!
今回は、今年度テキサス大学ガルベストン校(University of Texas Medical Branch)での内科レジデンシープログラム(Internal Medicine Residency)にマッチされた手稲渓仁会病院総合内科 増田先生にお話を伺いました。当ブログの読者には、米国でのレジデンシープログラムでの研修を考えておられる方も多いと思います。マッチまでの道のりについて、とても参考になるお話を聞くことができましたので、今月から4週にわたってお届けします。それではどうぞ!

ーーこんにちは!まずは米国でのレジデンシープログラムマッチおめでとうございます!

増田 ありがとうございます!

ーーまずは先生の経歴について教えてください。

増田 2018年3月に北海道大学医学科を卒業して、初期研修は手稲渓仁会病院で行いました。手稲渓仁会病院では初期研修2年修了後に初期研修3年目に進むこともできるのですが、こちらを選択し、3年目も手稲渓仁会病院で研修を行いました。4年目には横田基地の米空軍病院の日本医師フェローシッププログラムに進みました。5年目(2022年)は再び手稲渓仁会病院に戻り、総合内科に所属していました。

ーーということは卒後5年間のうち4年を手稲渓仁会病院で過ごされたんですね。臨床留学を考え始めた時期やきっかけは何だったのでしょうか?

増田 幼い頃、自動車関係の仕事をしていた父親が頻繁に海外出張に行っていたことで刺激を受け、もともと海外で働くことには興味をもっていました。また、幼いころからスター・ウォーズにハマっており、アメリカへの憧れもありました。

ーースター・ウォーズ!いいですよね!

増田 それで大学2年生の時に、先輩がUSMLEのStep1に合格したとの報告を受けて、米国への臨床留学という道があることを知り、大学4年生くらいのときからUSMLEの問題集(First Aid Q&A for the USMLE Step 1)を解き始めました。その後、オンラインクエスチョンバンク(UWなど)を購入して本格的に勉強に取り組み始めたのは5年生の冬からでした。

ー米国で臨床医学をやりたいと考えるようになったのはなせですか?

増田 大学生の頃、臨床講義や実習が始まるにつれて、臓器横断的なアプローチができ、かつ頭脳を使う内科のおもしろさに気づきました。さらに、米国でInternal Medicine Residency/Geriatrics Fellowship/ Infectious Diseases Fel-lowship を経て、当時市立札幌病院の感染症内科で勤務されていた児玉文宏先生(現:新潟県長岡赤十字病院 総合診療科部長)をはじめとする、感染症内科の先生方との出逢いが大きかったですね。臨床感染症学の奥深さに気づき、研修システムが発達している米国でInfectious Diseasesを学びたいと思うようになりました。

(次回に続く)