手稲渓仁会病院救急科の小野寺俊幸と申します。
当院の救急科の特徴を簡単にお話します。
札幌市の3次救急医療体制を担う救命救急センターは5つあり、そのうちの1つが当院となります。札幌を中心とした道央圏のドクターヘリ基地病院でもあり、令和2年救命救急センターの評価において、北海道で唯一のS評価を得た救命センターです。
対外的な評価はさておき、救急科研修の実際はどのようなものでしょうか。
当院の救急科研修は救急車で搬送されてくる患者さんの外来診療がメインになります。救急外来Walk inについてはNight floatが主に担当しますので、今回は割愛させていただきます。
統計的には、2020年1-12月で約5900件の救急搬送数、その中で三次救急は415件、当院へ搬送されたドクターヘリは227件、平均して1日24時間で約16.2件の救急搬送、約1.1件の三次救急、約0.6件のドクターヘリ搬送を経験することになります。その中の全てを担当するわけではありませんが、軽症〜重症まで幅広く経験し診療を実践することが救急科研修の目的です。
多発外傷症例や、他の病院では経験することができない重症症例や他の病院では対応できず転院搬送となる症例を経験する機会がたくさんあり、重症対応ではチーム診療の一端を担うことになります。やる気と診療経験のある研修医であれば、重症症例マネジメントを任されることもあります。軽症〜中等症症例のほとんどは研修医主導で初療にあたります。症例ごとに必ず救急科スタッフと確認・ディスカッションして、方針を決めながら診療を行います。
救急外来の混雑具合にもよりますが、空き時間をみて症例ごとのフィードバックを行うようにしています。正直なところ外来診療で手一杯になっていることが多く、なかなか教育まで手が回る時間がないこともありますが、研修医からの疑問・質問が積極的にある場合は、我々も積極的に時間を作って教育を行うように努めています。
また、研修医を対象としたMorning reportでも、救急科からは「ERでの外傷診療」や「中毒」、「熱傷」、「凍傷」、「低体温」などの講義を行ったりしています。
その他には、以前の研修医ブログでもあったOff the job training(実際はOn the jobとなることが多いですが)としてドクターヘリやラピッドレスポンスカー同乗による病院前診療を行う機会があります。
PGY2以上で積極的に病院前診療を希望する研修医が対象になります。
救急科研修に限らず、色んな分野での積極性を持って研修を行うことでたくさんのことを学んでほしいと思います。
以上、当院での救急科研修のご紹介でした。