レクチャー

モーニングレポートについて

初めまして!初期研修医2年目の原田大輝(ひろき)と申します。

当院臨床研修部では、毎朝7:30から勉強会を行っています。私たちはモーニングレポート(略してモーレポ)と呼んでおり、大きく分けて日本語と英語のモーレポがあります。

7月のスケジュール

日本語のモーレポでは、当院上級医による救急対応や感染症のレクチャー、研修医による症例発表が行われます。英語のモーレポでは提携を結んでいるテキサス大学の医師によるレクチャーや症例検討会、米国Neurologistによる神経内科のシリーズレクチャー、そして診断学に特化している米国医師に当院で診た興味深い症例を提示し、診断に至るまでの考え方を教えていただきつつ、診断も行ってもらうといった内容で行っています。

今回は、研修医からぜひ話を聞きたいとの声が上がり、当院初期研修OBである塚越隼爾先生にお願いし、特別にレクチャーをしていただきました。塚越先生は当院で初期研修を含め約4年間当院で勤務され、現在はテキサス大学で血管外科のレジデントをされています。

写真右:塚越先生

その特別レクチャーでは、超難関といわれる米国外科レジデントにどのようにマッチされたのか、米国で医療をして感じたこと、米国へ行かれる前後で感じたギャップなどを話していただきました。アメリカでは文化の違いがあったり、治安が悪い地域もあったりと大変なことも多いそうですが、血管外科レジデントとして非常に充実した日々を過ごしていらっしゃるとのことでした。

私自身含めて、将来的に米国で臨床を行いたいと考えている研修医達にとって、今回のレクチャーは非常に大きな刺激となったのではないかと思います。私も、塚越先生のようになれるように頑張ろうとあらためて感じた朝でした。

当院のモーレポは、今回の塚越先生のレクチャーのように「早起きは大変だけど是非聞きたい!」と思うようなレクチャーになるよう、皆で相談しテーマを決めたうえで講演をお願いしています。また、当院は選択期間の多さや、研修や勉強会の内容も自分達で変えていけるような点が、初期研修のプログラムとして非常に魅力的だと思っています。

どの季節も北海道には魅力がたくさんあるので、それも併せて是非一度見学にお越しください!お待ちしています!

当院の外科教育について

みなさま、はじめまして。研修医2年目の諏佐悠多と申します。今回は当院手稲渓仁会病院における外科(腹部外科)教育についてご紹介します。

まず初めに、当院における外科ローテーションについて説明したいと思います。現行のカリキュラムでは腹部外科は必修科となっており、1年次に1か月ローテーションすることになっております。研修内容としては手術・病棟当番がメインになります。手術は外科研修の中心で週に5件前後の手術に入ることになります。手術が割り当てられていない日は病棟当番として主に術後の管理を学びます。2年次で選択科として腹部外科を選択した場合には、指導医の丁寧な指導のもと、腹腔鏡の胆嚢摘出・虫垂切除を経験することができます。

腹腔鏡手術に興味のある研修医には、ラパスタ(LapaSta)というドライボックスの練習機を一人一台貸出可能です。練習動画を指導医も入っているLINEグループに投稿することで、フィードバックを得ることもできます。

毎週木曜日には、回診が終わり次第病院の最寄り駅から数駅はなれた所に位置するシミュレーションセンターに行くことができます。そこでは、初期研修医に必要とされるあらゆる手技の練習が可能となっており、特に結紮、真皮埋没縫合、中心静脈(CV)穿刺の練習をする先生が多いです。

年に3回、外科医による縫合・結紮講習会が開催されます。5/19に第1回がおこなわれ、オープンの結紮・縫合、ラパロの運針・結紮に加え、豚の食道を用いた腸管吻合の練習をしました。

内科・家庭医療を志望して当院に興味を持ってくれる学生の方が多い印象ですが、実は手稲渓仁会病院は外科のハイボリュームセンターでもあります。胆膵領域では国内有数の施設であり、食道手術も盛んにおこなわれています。外科志望の学生の方もぜひ見学にお越しください。

8月、テキサス大学から教育担当米国人指導医の来日が決まりました!

みなさま、こんにちは。臨床研修部事務局です。とても嬉しいニュースをお届けします。

コロナの感染拡大以降、当院は教育担当外国人指導医の来日が叶わない状況が続き、英語での医学教育をオンラインで実施していましたが、ようやく入・出国条件が緩和され、今年5月米国テキサス大学(UTMB)よりDr.Farr(Assistant Professor/Associate Program Director)が来日されました。目的は当院での調印式です。調印式には当法人の田中理事長、成田副理事長、当院古田院長、栗本副院長、プログラム責任者の星医師(総合内科部長)が出席されました。5月2日、当院は正式にUTMBとの協定を結び、相互に指導医・研修医の派遣を行う教育支援が可能となりました。また、今年採用試験を受ける医学生の方の2023年度プログラムからは、P G Y2の選択期間の1ヶ月を利用し、UTMBでの研修が可能となるのです。

調印式

そして……

ついに今回、UTMBの米国人指導医の来日が決定しました!

今後、UTMBよりさまざまな診療分野の指導医が交代でいらっしゃる予定ですが、UTMB側のご配慮により、お一人目の派遣は日本の医療機関で勤務経験のある、日本語が話せる米国人医師とのこと。そのお心遣いにも感謝です。

当院では8月8日(月)からの受け入れに向け、現在入国手続き等の準備中です。

また、Dr.Farr来日時の研修医との様子は近日本Blogで公開予定。どうぞお楽しみに!

JMECC(内科救急・ICLS講習会)を受講しました。

みなさん、こんにちは。PGY2の松本です。今回は、2021年11月21日にJMECCを受講いたしましたのでご紹介いたします。

JMECCとは、Japanese Medical Emergency Course(日本内科学会認定内科救急・ICLS講習会)のことです。これは、内科医が心肺停止時のみならず緊急処置を要する急病患者に対応できるように、日本救急医学会のICLSと日本内科学会独自の内科救急プログラムを合わせた講習会です。内科専門研修プログラムの基幹施設で実施される救急講習会でもあることから、今回は札幌医科大学よりJMECCディレクターとインストラクターの先生方をお招きして、下記のプログラムで行われました。

ご覧のとおり、朝から夕方まで実技を中心とした講習をみっちりと受けてきました。午前中はBLSの復習からはじまり、救急対応に必要な基本的なスキル(気道確保や心電図診断、除細動器の使用)の確認を行います。

そして、そ,れらのスキルを基本として心筋梗塞や敗血症性ショックなどの複数のシナリオを用い、心停止時や急変時の対応を学んでいきます。

講習会の最後には筆記試験が行われ、一定の点数を上回れば合格となり、合格証書が授与されます。

JMECCのシナリオでは、急病患者に対応する際、リーダー役の人が周囲のスタッフに細かく指示を出し、それに基づいて周りの人たちが行動するというパターンを繰り返します。逆に言うと、的確な指示がなければ周りの人たちは自発的には動いてくれません。すべての指示を出すことの難しさを痛感するとともに、当院での日常診療においては多くの人たちに支えられながら医療を提供しているということを改めて実感し、「チーム医療」の重要性を再認識することができました。

私は来年度から循環器内科医を目指し、当院の内科専門研修プログラムで後期研修を行う予定です。そのため急病患者に対応する機会は多く、まだまだ学ばなければならないことはたくさんあります。その中で今回このような内科救急を学ぶ機会をいただき、大変感謝しております。

ICLSやACLSなど、医学生でも受講可能なプログラムが複数あります。自分自身を振り返ると、研修医になる前に受講していれば(特に救急科ローテーション中に)、もっとスムーズな診療ができたのではないかと多少後悔しております。コロナ禍で規制が厳しくなっておりますが、みなさん機会があれば受講してみてはいかがでしょうか。

PGY2 松本

モーニングレポート以外の医学教育

初めまして、手稲渓仁会病院初期研修医2年目の齋藤です。当院の研修プログラムの特徴といえば、先日浅井先生が紹介してくれた平日朝のモーニングレポートですが、それ以外にも平日夕方や週末などにさまざまな形でレクチャーやワークショップが開催されています。今回はそれらについていくつか紹介していきたいと思います。

1.感染症コンサルタント青木眞先生による感染症レクチャー
当院では年間を通して、米国感染症内科専門医であり、「レジデントのための感染症診療マニュアル」の著者である青木眞先生による感染症のレクチャーを受けることができます。過去には当院にお招きして症例検討会等も行っておりましたが、コロナの影響から昨年度からはZoom形式での感染症レクチャーをしていただいています。感染症診療の原則から始まり、各種抗菌薬・抗真菌薬などの内容を米国感染症内科研修時代の経験も交えながら、明快かつユーモアあふれるレクチャーを受けることができ、研修医だけではなく、専攻医や指導医、薬剤師の方なども多く参加する大人気の講演となっています。

2.Lonny Ashworth先生の人工呼吸器ワークショップ
Lonny Ashworth先生は米国Boise State University Department of Respiratory Careの教授で、毎年日本各地で人工呼吸器ワークショップを行っている先生です。こちらもコロナの影響で昨年度からZoom開催となりましたが、研修医1年目向けのBasicと2年目向けのIntermediateのワークショップが各2日ずつ行われました。人工呼吸器のモードや設定方法など、人工呼吸器にまだ触れたことのない研修医にも分かりやすい内容で、今年も秋以降の開催が予定されています。

3.臨床研究の教育講演会
外部から講師の方をお招きして①医療統計の基礎、②EZRを使った統計解析演習、③伝わる抄録の書き方をテーマに講演会・グループワークを行っています。教科書を読んでも解決しない疑問がある、自身の診療を振り返って明日からの診療のエビデンスにしたい、科学的な手法を身につけて学会発表や論文掲載を目指したい、そんな研修医に対して当院では臨床研究を経験することで学ぶ機会が提供されています。

その他、過去にはカルフォルニア大学サンフランシスコ校内科学教授のローレンス・ティアニー先生をお招きして症例検討会も行っており、このコロナ禍の中ではありますが医学教育の機会が減ってしまわないようにさまざまな企画を開催しています。誠に残念ながら先日見学生の受け入れを一旦中止することとなりましたが、少しでも興味を持ってくださった学生の皆様、見学の受け入れが再開となった際にぜひ一度当院にいらしてください。

臨床研修部
齋藤 匠

朝活で成長できる病院

初めまして、手稲渓仁会病院初期研修医2年目の浅井と申します。本日は、当院研修プログラムの特徴であるモーニングレポート(以下MR)について話していこうと思います。

当院初期研修医は平日の朝7:30から8:20までMRという時間が設けられており、各科や先輩の先生方がレクチャーしてくださったり、海外にいらっしゃる先生が英語で症例検討会をしてくださったりします。また、年に1人あたり最低2回、自分の経験症例を発表する機会があります。

レクチャーの内容は、例えば胸痛の鑑別と診断アプローチであったり、けいれんの救急対応であったり、ステロイドの使い方であったりとさまざまです。内容が実用的で、仕事の出来に直結します。また、働き始めてから座学の機会が減ったというのもあり、非常にありがたいです。

私は一回聞いただけでは結構忘れてしまいがちですが、MR後はアプリの専用チャンネルで資料を共有していて、「これMRでやったけどなんだっけ?」っとなった時にも、すぐ読み返すことができます。なんと便利!

初期研修医による経験症例の発表は、お互いの勉強になります。立場が一緒なので目線が合っていて、思考過程で共感できるところが多く、自分が知りたいと思ったことを発表者が調べてくれていたりするからです。

私も先日症例発表をさせていただいたのですが、発表までの過程がとても勉強になりましたし、同時に普段いかに自分が適当に勉強しているか分かりました(笑)。

MRは、基本的に1年目向けの内容で1年目の参加が必須とされていて、症例検討会や英語のレクチャーに関しては2年目も参加が必須となっています。

朝は回診やカンファレンスの準備で忙しいため、正直面倒だなと思う日もあり、MRが急遽休みになった日は「明日はゆっくり寝られるぞ」と喜んだりもしますが、こういう日々の積み重ねが大事だと思っております。

今日も1日頑張って行きましょう(^O^)

臨床研修部
浅井 佑介

医学教育について

新年明けましておめでとうございます。研修医2年目の足立です。今回は、医学教育について少しお話いたします。

研修医が日々研鑽を積み医者として成長していくためには、よりよい教育の場、そして医学教育を意識しながら指導して下さる上級医の存在が不可欠であると感じています。

医学生のうちは必ず先生、講師がいるため、教えてもらえることが当然になっていましたが、実際の臨床現場ではそうではないことも多々あります。病院によっては、患者、指導医不足などで思う様に学ぶことができないこともあり、自分の理想とのギャップに悩む方もいるかもしれません。

当院では、研修病院として医学教育を重要視しており、さまざまなプログラムで研修医が成長していけるよう、多くの工夫があります。

まず、当院の全体的な雰囲気です。長年研修病院として多くの研修医を育ててきた実績もあり、当院の各科の指導医は非常に熱心な先生が多くいらっしゃいます。どの科に行っても、非常にしっかりとした指導が受けられますし、当院で研修した後もそのまま勤務を続けている先生も多くいらっしゃり、より身近な存在として自身の経験も踏まえた上で指導を行ってくださいます。

さらに特徴的なのは、このブログでも何度か紹介されている総合内科研修です。ここでは、研修医ができるだけ多くを学べるよう、さまざまな工夫がされています。朝のカンファレンスで発表し、治療方針や今後の計画について議論を行い、回診時にはベッドサイドで身体所見や患者さんの状態などを一緒に見ながら指導を受け、初期研修医が学ぶべき患者診療の基礎を学べます。

これは、現在スーパーローテートで研修しているわれわれにとって非常に重要なことです。内科専攻の先生はもちろんのこと、外科系を目指している先生でも内科の基礎についてしっかり学べます。外科系志望の先生が内科を学べるのは初期研修が最後となる可能性が高いため、しっかりとした教育体制が整っている場で受けられれば、今後の医師人生の大きな財産となるはずです。

他には、毎朝モーニングレポートという勉強会を行っており、ここでは日常の疑問点や知らなかった点をいくつもの科の先生から講義形式で受けられ、知識を日々アップデートできます。さらに発表の機会も与えられているため、自分の知識を他者に伝えることで自分の中の理解も深まり、今後さらに重要となる大勢の前できちんと話す能力も鍛えられます。

また、当院ではDynaMedやUpToDateなどの二次文献へのアクセスを自由に行えます。初期研修医のうちから医学知識を英語で検索し、必要な文献を探すという能力を培うことで、英語力の向上にも役立ちます。

日進月歩の医学という世界において、日常診療でも完全な正解がない中で指導も行うのは非常に難しいと思いますが、目の前の患者に悩みながらも自分達を引っ張って下さる指導医を見て、自分もいつかカッコよく後輩を指導できる立場になりたいと思います。

このように、研修医の時からよりレベルの高い医学教育に触れ、実践していくことで今後の医師人生の糧になると思います。

外科系希望ですが、初期研修のこれらの魅力をもとに、当院を選んだ私の現時点での感想を交えて記載しました。学生の皆さまの参考になれば幸いです。

見学受け入れが再開となった際には、実際にどんな指導、教育をしているのか、そして研修医がどのように成長しているのかを見てください。心よりお待ちしております。

書籍のご案内

羊土社のレジデントノート12月号に、当院外科の今村清隆先生が『初期研修で会得しておきたい外科的素養』という特集を組まれました。11月10日発刊です。多くの著者の方にも御協力いただき、非常に良いものに出来上がったと伺っております。どうぞ宜しくお願いいたします!

特別レクチャーのご紹介 ~University Hospitals Cleveland Medical Center 津島隆太先生をお迎えして~

皆さま初めまして、研修医2年目の塚越と申します。
今回は、当院の初期研修プログラム卒業生でもあり、現在University Hospitals Cleveland Medical Centerの内科レジデント3年目として活躍されている津島隆太先生による、特別レクチャーの模様をシェアさせていただきます。

津島先生は、当院で初期研修を修了されてから内科後期研修の傍らでアメリカのレジデンシーに向けて準備を進め、卒後4年目で見事にマッチされ、来年からは200倍の競争を勝ち抜いて、同施設での循環器内科フェローに進まれる予定でいらっしゃいます。先生がアメリカでのレジンデンシーを志望された動機や、臨床留学に向けた制度の理解や具体的な準備について、ユーモアを交えながら教えていただきました。20年以上にわたり幅広い視野を持った研修医を輩出している当院では、これまでの研修修了生との連携や長年蓄積されたキャリアパスのノウハウがあると再認識しました。また、レクチャーの中で最も印象的だったことは、先生が初期研修を終えてから、循環器内科での多忙な後期研修の合間を縫って1年間でECFMGを取得されたということでした。やはりどんな成功の影にも、必ず努力があります。その苦労を一切強調することのない謙虚さも含めて、多くを学ばせていただきました。

しかし、そんな中でも光があります。IMG(外国医学部出身者)は米国内のエクスターンでさえ、コネクションがない限り難しいご時世に、当院では新しい臨床留学プログラムが発足しているのです。その名も”Salmons Coming Back Program(別名:UHCMC International Scholarship Program)”です。実は津島先生はその一期生として渡米されており、それを足掛かりとしてアメリカで高い評価受け、その先を切り開いていらっしゃるのです。

このプログラムを利用すれば、日本の初期研修マッチングから米国のアカデミックな内科レジデンシープログラム、およびその先の専門教育までをひとつながりで描くことができます。米国臨床留学の一つの道として、極めて魅力的ではないでしょうか。日本にとっても、津島先生のような方が将来的に臨床や教育に携わってくださることは非常に有益だと思います!私も米国での外科レジデンシーに向けて準備しているので、ゆくゆくは他の分野にも広がってくれればより素晴らしいと感じます。

長くなってしまいましたが、最後に記念写真を添えて終わりとさせていただきます。今回の津島隆太先生の講演は、3月21日(土曜)朝9−10時にWeb講演会でもお話いただく予定です。後日、本ブログでもご案内しますので、ご希望の方は是非ご参加ください。そして、もし何か興味がありましたら、気軽に見学に来ていただければと思います。手稲渓仁会病院にはその答えが必ずあるはずです。

添付文章
”Salmons Coming Back Program(別名:UHCMC International Scholarship Program)”について

現在での条件としては以下の通りです。*条件に関しては随時変更があり得ます。
・ECFMG certificate 取得者
・院内選考通過者
・院内選考通過後にCase Western Reserve University(CWRU)内科でエクスターン(4週間)を行い、面接を含め、高評価を受けること。
・その後、マッチングを経てCWRUに正式採用。
・他条件(勤務時間・ローテーション内容等)は他一般レジデントと全く同じ。
・レジデンシー修了後は米国内科専門医を取得でき、フェローシップへの応募以降も同条件。
・専門研修を含む米国での全研修を終了後、手稲渓仁会病院で5年間の勤務義務あり。

研修医のためのレクチャー ”Morning report”

初めまして!研修医2年目の中溝と申します。
今回は、当院の教育プログラムの一つでもある”Morning report”について紹介します。
“Morning report”は平日の朝に開催されている研修医のためのレクチャーです。各種疾患への対応法や鑑別の練習に加えて、エコーのレクチャー、身体所見の取り方など内容は多岐に渡ります。時には研修医もレクチャーを行う側となり、人前でのspeech能力を向上させる貴重な機会にもなっています。この記事では、日々行われている”Morning report”の中から救急科の先生による「てんかん」のレクチャーについて一部お届けします。

そもそも「てんかん、てんかん発作、痙攣発作の違いを説明できるか」と最初に問われ、自信をもって説明できないなと思いました(汗) 。なんとなくわかっているつもりでしたが、言葉できちんと説明するとなると案外できないものですね。ということでまずは言葉のおさらい↓

・てんかん発作:神経細胞の異常で、過剰な電気的放電が同期して発生することにより突然現れる行動の変化
・痙攣発作:てんかん発作で全身または一部の筋肉が過剰な収縮を伴うもの
・てんかん:非誘発性にてんかん発作を繰り返す疾患

てんかん発作は筋肉の過剰な収縮、つまり”ガクガク”してなくてもいいわけですね。そこで覚えておくべき疾患がNCSEですね。 国家試験にはほぼ出ないんじゃないかと思いますが、臨床では遭遇します。NCSEはnonconvulsive status epilepticus(非痙攣性てんかん重積状態)のことであり、文字通りてんかん発作は発生しているのにガクガクしていない状態です。要は実際に痙攣していないからといって、てんかんじゃないとはいいきれないってことですね。

意識障害だけで搬送されてきたりするので、原因不明の意識障害の鑑別診断として頭に入れておきましょう。そして痙攣を見た時の薬剤の使用については、当院の救急外来ではジアゼパム10mg → 5-10分後持続しているならジアゼパムをもう10mg追加 → それでもだめならホストイン15mg/kgとなっています。もちろん常にABCの評価は必須です。詳しいことはガイドラインも参考にしてみてください。ありがたいことに日本神経学会が、てんかん診療ガイドライン2018をネット上で公開してくれています! ぜひ活用しましょう。

見学にきてくれた学生さんが5人も参加してくれて、当院の教育の一部を知ってもらえたと思います。見学、気軽に来てくださいね~。