学会

様々なプレゼンテーションのかたち 〜学会発表の経験を通して〜

こんにちは。PGY3(研修医3年目)の藤澤まりと申します。私は2年間の初期研修は修了しましたが、専攻医プログラムにはのらず、卒後3年目として残りました。実はこれも当院の特色の一つです。この一年は自分の周りたい科を自由に選び、将来目指す医師像に近づくためのモラトリアム期間のような使い方ができます。

 さて、札幌は本日ようやく桜の開花が報じられました。春の訪れを感じる手稲よりお届けします。

 当院の初期研修プログラムには、日常診療を通してプレゼンテーションを指導して頂く機会が多くあります。プレゼンテーションと一言で言っても、他科の先生へ行うコンサルトでのプレゼン、回診時に行う簡易プレゼン、新患に関するフルプレゼン、そして学会発表でのプレゼンと、TPOによって全く異なります。そこで、今回は学会発表でのプレゼンについて取り上げてみたいと思います。

 当院は、学会発表をすることを応援してくれる先生が本当に多く、私自身は初期研修中の2年間で、国内学会にて2回の口頭発表と、国際学会にて1回のポスター発表を行う機会を頂きました。学会の口頭発表は聴衆も多く、発表時間は厳密で、壇上では孤独で助けてくれる仲間はいません。ただ、発表まで時間があるので、準備にも時間をかけることができます。その点は、人によっては院内でのプレゼンより緊張しない方もいらっしゃるかもしれませんね。会場にもよりますが、私が経験したものは100人程度のホールで、参加者の多くが医師であり、発表の中には他の医療従事者や企業等を対象としたプレゼンもあります。

 口頭発表は制限時間との戦いです。いかに自分の伝えたいことをわかりやすく、簡潔に、聞き手の印象に残るように話をできるかを常に意識する必要があります。私にとって最初の学会発表は1年目の冬。症例は5月に受け持った患者さんで、秋に「まとめて、学会に出してみないか」と指導医より電話をもらったのがきっかけでした。初期研修医中に学会発表を経験したいと思っていたため嬉しかったのですが、自分としては新規性に気づけていないまま準備に入ってしまいました。振り返るとここが反省点で、その後に苦労することとなりました。

 学会発表は抄録を作成し学会に投稿するところから始まり、抄録が採択されたらスライド作成に取り掛かります。しかし、期間が十分にあったにも関わらず中々準備が進みません。その理由は、自分の中で何を伝えたいかが全く決まっておらず、漠然と文献を調べたり、スライドを作成していたからでした。そんな私の中の“もやもや”に気づき、指導医が声をかけてくれました。「藤澤は、そもそもこの発表で何を伝えたいの?」に対し、自分がどういった矛盾を感じていて、こんなことから気乗りしないという思いを吐露しました。そこから私の中の“もやもや”は一気に解消され、無事にスライド作成が進み、自信を持って本番で発表ができました。本来であれば学会発表を決断する前に自分で追求すべき点を、私は指導医の手を借りて行いました。これが、私にとって初めての学会発表の経験でした。

 こんな風にたくさんの方々に助けられながら、研修医の学会発表は出来上がっていきます。どうですか?皆さんも学会発表やってみたいな、とお感じになったでしょうか。相談できる指導医の層の厚さとそれぞれの指導力が当院での初期研修の自慢ポイントと私は思います。

 COVID-19の影響で当院への病院見学が2月25日より停止となっており、私たち初期研修医も残念な気持ちでいっぱいですが、ブログを通じて少しでも手稲渓仁会病院の雰囲気を味わって頂きたいと思います。見学が再度可能となった時には、みなさんをお待ちしています。

初の海外学会参加とアメリカの病院見学

こんにちは。手稲渓仁会病院研修医2年目の寺田と申します。
当院では院外研修の機会があり、研修医1年目に5日間、2年目に10日間が付与されていて、興味がある病院の研修や学会への参加が可能です。今回、私は院外研修の期間を利用して1週間ワシントンに行き、2日間ジョンズホプキンズ病院の救急と内科の見学と、4日間のSociety of General Internal Medicine (SGIM)の学会へ参加し、内科症例のポスター発表をしたため、現地の様子を報告します。ジョンズホプキンズ病院への見学は、一度研修医の視点でアメリカの研修を見てみたかったことと日本では見られない症例に興味があったことから、上級医に相談して当院にも教育に来て頂いたジョンズホプキンズの内科医師に紹介してもらい、実現しました。渡航にあたっては、病院から渡航費及び学会費用の補助を頂きました。

5月初めにワシントンに飛び、まずジョンズホプキンズ病院を見学しました。救急では2チーム制が取られており、RedとBlue teamと言われていました。Red teamは外傷チームです。1チームにつき指導医1-2人、研修医3人という体制で人手は豊富のようでした。アメリカでも有数の治安の悪い病院周辺から様々な患者さんが運ばれてくるようで、日本ではなかなか見られない銃創患者、薬物の大量服薬などは日常茶飯事のようでした。

内科見学は、チーフレジデントによる朝レクチャーから始まりました。内容としては、前日夜間に研修医チームが見た入院症例に関しての臨床推論を通しての振り返りという形式で行われ、主訴から考えられる疾患を挙げ、問診で何を聞くべきであったか、アセスメントは正しくできたのかを研修医と医学生で議論しながら進めていきます。その後、患者さんご本人のベッドサイドまで行き、身体診察(腹部の腎動脈雑音の取り方など)とエコー(肺と心臓)を行いました。内科のチームは複数あり、各チーム、指導医1人、シニアレジデント2人、研修医3人、医学部2年生1人というビッグチームでした。回診プレゼン、方針を決めるのは当院での内科研修と変わりありませんでしたが、医学生が業務をしていることと、各々パソコンがあるためその場で指示出しや処方、カルテ書きを行える点が異なり、興味深かったです。

SGIM学会当日は、アメリカの研修医に交じりながら通りがかった人にポスター発表をしました。周りの研修医とも仲良くなり、研修や進路のことなどをしゃべりました。レクチャーやセッションも豊富で、治療のアップデート的な内容のものから、どのように進路設計をするか、眠らせないレクチャーをするには!?などと多岐に渡っていました。実際に明日から実践できる内容が多くあり、海外学会に参加する意義を強く感じる機会となりました。

今回の院外研修を通して、研修医として日々忙しく医学を学んでいる中で、自分が経験した症例の発見を発表し、意見交換をすることを通して新たな疑問が生まれ、今後に生かせる知識が身につけるなど、重要なことを当たり前にできるようにしたいと思いました。これが実現した背景に病院のサポートや指導医、周りの研修医、事務の方の協力があり、感謝の思いで一杯です。