研修

外科系志望も満足できる環境

みなさん、はじめまして。初期研修医2年目の八木隆太です。本投稿を記載している8月末は、本州ではまだまだ蒸し暑く夜も寝苦しい日々が続いていると思いますが、札幌では、夜は20℃を下回る日々で夏の終わりを肌身で感じています。

 さて、本日のブログの内容はタイトルにもあるとおり、将来外科系に進もうとしている方たちが気になる外科系の教育環境について、ご紹介させていただこうと思います。手稲渓仁会病院はみなさんもご存知のとおり、英語教育や総合内科が有名で、それらを目的に見学に来たりする方が多いと思います。他院の初期研修医がどこまでの外科訓練をしているかがわからないため比較はできませんが、当院でもやろうと思えば多くの外科系手技の経験を積むことができる環境です。

 まず、最初に外科系を目指す人が一番気になる手術です。手稲渓仁会病院外科の年間手術件数は1800件程度であり、当院の外科専門研修プログラムを見ても手術経験数は500例、執刀数は200例以上が見込まれるほど多くの手術が行われています。外科の基本的手技である縫合は、入職して間もないうちに外科医による縫合のレクチャーがあります。短い手術では器械出しを任せられ、手術器具の名前を覚えたり、手術の流れに合わせて器具を出したりすることで、チームとしての一体感を肌で味わうことができます。また、外科以外にも産婦人科や整形外科等、手術件数の多い科での研修が可能です。

 続いては手術室の外での手技です。CVやPICCカテーテルの挿入、胸腔・腹腔穿刺などの手技も実は多くあります。研修医室で黙々とカルテ業務をこなしているだけでは、機会を見逃す可能性が多いですが、当院には面倒見がよく、教育的な指導医が多いです。なので、自分から積極的にアピールすれば、内科系含めローテーションしている科で外科手技があるたびに呼んでもらえるようになります。

 最後になりますが、スキルシミュレーションセンターについてです。手稲駅から電車で13分とちょっと離れたところにありますが、ここでは腹腔鏡下手術のシミュレーションを含め、CVの練習や、各種手術器具の練習もさせていただけます。毎週木曜日の午前中は病院が契約しており自由に使うことができます。木曜日は基本的に外科の手術が少ないため、外科ローテーション中は行かせてもらうことができます。また、ナイトフロートや救急科ローテーション中も、木曜日の午前中が空いていれば使うことができます。

 当院は英語教育と総合内科に注目が集まりがちですが、外科系志望のみなさんも安心して研修できる環境があります。外科系志望のみなさん、是非当院での研修を考えてみてはいかがでしょうか。

当院の学習環境

みなさん、こんにちは。初期研修医2年目の本間と申します。いつも当ブログをご覧いただきありがとうございます。

 読者の多くは当院での研修を考えている医学生の方だと思いますが、医学は学ぶ範囲がとてつもなく広く、日々勉強机に向かって悪戦苦闘しているかと思います。そして、(残念ながら?)それは医師になっても変わらず、特に研修医期間は毎日新たな学び、疑問が湧いてきます。そこで、せっかく執筆の機会をいただいたので、僭越ではありますが、私自身が普段どのように臨床疑問、いわゆるクリニカルクエスチョンと相対しているかをご紹介したいと思います。

 皆さんは、ラーニングピラミッドをご存知でしょうか。医学生が普段聞いている講義や、課題図書を読むことなどはパッシブラーニングと呼ばれ、実は学習定着率があまり高くありません。しかし、知識の下地を作るという点では不可欠です。ここで、初期研修医として一番有用なソースとなってくるのは、各学会から発行されているガイドラインやUpToDate、DynaMedなどの二次資料かと思います。当院での初期研修では英語教育に力をいれており、UpToDate、DynaMedを院外、院内問わず利用できる環境が用意されております。そして、あまり学生の皆さんには馴染みがないかもしれませんが、海外の医学書やジャーナルを読めるClinicalkeyというサービスとも契約しており、日頃から医学英語に慣れ親しむには良い環境が揃っていると思います。

 ここで個人的に気をつけている点としては、必ず学んだ内容をEvernoteなどのノートアプリに書き留めておく事です。これにより簡易的にアウトプットができ、必要時に自分が知りたい情報にすばやくスマホなどでアクセスできます。

 そして、何より学習効果が高いとされているのは他人に実際に教育すること、いわゆるアクティブラーニングです。当院では、毎朝7:30よりモーニングレポート(M R)が開催されています。M Rでは、指導医からのレクチャーのみではなく、初期研修医が各科で経験した症例や教科書の内容を発表する機会が設けられています。私は、実際に昨年1年間で4回程発表する機会がありました。確かに、スライドなどを作成するのに多くの時間はかかりますが、そうすることによって経験した疾患について同期の誰よりも詳しくなり、学会発表に向けての良い準備にもなります。また、その分、朝1時間ほど早起きしなければなりませんが、研修医なりたての頃は皆、まず何から学び始めれば良いかも分からない中、この機会が日々の学習の一助になると思います。

 ここまで簡単ではありますが、当院の研修環境で、どのように日々、実臨床を学んでいるかをご紹介させていただきました。少しでも参考になりましたでしょうか。もちろん、今回紹介させていただいた内容は最適解ではありません。十人十色であり、向き不向きもあります。私が記させていただいた内容が、当院での初期研修を考えている読者の皆さんの参考になりましたら幸いです。

 最後になりましたが、長文、乱文失礼しました。読んでいただき、ありがとうございます。

手稲渓仁会病院の初期研修といえば…

札幌にも夏がやってきました。本州では毎年のように猛暑の記録が更新されている印象がありますが、札幌はまだまだ過ごしやすい気候が続いているように感じます。一度北海道で夏を経験してしまうと、うだるような蒸し暑さの本州には戻ることができないのではないでしょうか。今年札幌在住8年目、研修医2年目の深澤美智子です。

 今日は表題にもあるように、「当院の初期研修といえば」についてお話しようと思います。私もそうでしたが、当院に見学で来院されたことがある方は、当院の初期研修に様々な特徴を感じたことでしょう。正直、特徴を挙げ続けたらきりがありません(笑)。このため、実際に初期研修の1年間を終えてみて、新たに気づいたことについてお話します。それは研修医が自ら研修を作り上げ、後輩に引き継いでいるという文化です。『屋根瓦式の教育』とは聞くことがありましたが、実際に初期研修を始めてみると、一言では語れない文化の厚みを感じました。

 Morning Report(通称:モーレポ)もその代表かと思います。今年度は私と同期の2名でモーレポ係を担当しています。モーレポは、毎朝7:30より始まる1時間程のlectureです。曜日によっても内容が異なり、月曜日は英語での症例プレゼンが中心、火曜日はサージカルlectureといって外科的な知識に関するプレゼン、その他の曜日は各診療科の先生方のご協力を頂いて、初期研修において知っておかなければならない知識のご指導を頂いております。特に強調すべき点としては、研修医がプレゼンできる場を定期的に用意しており、皆が怖がらず挑戦できる機会になっていることかと思います。ダメ出しをされる場所ではなく、自分のプレゼンスキルを磨く練習の場所、というのがコンセプトです。学会等で多くの人前でいきなりプレゼンをするのは誰しも緊張する場面かと思いますが、当院ではローテーション科を始め、モーレポでも練習する場が日常的にあります。これは今後どの領域に進んだとしても(別の職業に転向しても!?)、生かされる技術の獲得につながると考えます。参加型レクチャーも多く、研修医の活発な意見交換により成り立っているとも言えます。このようなモーレポは研修医がマネジメントをし、自らを高め合おうとする姿勢をもって取り組んできたことで、現在まで続いてきました。軌跡を考えると素晴らしい文化であることを感じます。

 また、もともと初期研修が3年間のプログラムであったこともあり、2年間の初期研修後もPGY3(医師3年目)として当院で働かれる先輩方がいます。この先輩方の影響は非常に大きく、ここで研修を頑張れば彼らのようになれるんだ、頑張らねばと士気が高まると共に、本当にあんな偉大な存在になれるのだろうかと不安も高まります(笑)。当院の総合内科やNF(ナイトフロート)では、PGY3以上の当院初期研修出身の先生をリーダーとして、チームで診療にあたることが多く、その際には丁寧で親身なご指導をしてくださいます。先輩方の指導は学年も近く、そして同じ研修をやりきった経験もあるため非常に心にぐっときます。具体的な医学知識のみならず、人となりを教えていただいている気がします。1年間だけではあるものの、自分や同期の成長を見ると先輩方からの教育があってのものだと痛感しています。このように代々先輩が後輩を指導し育てるという文化が残っているからこそ、初期研修では人が集まるのかもしれません。

 研修医が作り上げる、といえば病院説明会用に作成した動画をご覧になりましたか?多くの研修病院では専門業者に依頼するのが一般的ですが、当院ではなんと研修医が0から作成しております。様々な才能を持った只者ではない研修医が多く、彼らの協力があって当院の研修がより魅力的に作られている一面を感じることができるかと思います。まだ見ていない方は、ぜひレジナビサイトでご覧になってください。

 ぜひ、今後も多くの希望に満ちた方が当院初期研修にて仲間に加わることを願っています。お目にかかれる機会を楽しみにしております。

ナースプラクティショナーがいる生活

こんにちは、PGY2の池田雪太郎です。

 みなさんはナースプラクティショナーという職種をご存知でしょうか?
 ナースプラクティショナー(NP)とは、主にアメリカの病院で導入されている制度で、一般的な看護師の業務に加え、診察や治療なども一定レベルまでは許可されている、看護師と臨床医の中間のような職種です。当院でも現在このナース・プラクティショナー(仮称)制度を導入中で、6月に総合内科をローテートした際、NPの方と一緒に患者さんを診させていただきました。そこで、NPは今後チームの一員として、日本の医療の中核を成す職種になっていくだろうと確信しました。今回は「ナースプラクティショナーがいる生活」と題しまして、1ヶ月間ともに働いた感想をお伝えしたいと思います。

1. 診ているところがちがう
 当院の総合内科は主治医制ではなくチーム制なので、一人ひとりの患者さんをチームで診ていきます。昨年までは指導医、専攻医、研修医を1チームとして診ていたので、研修医が身体所見をとり、専攻医が方針決定をし、指導医がアドバイスするといういわゆる屋根瓦の診療を行ってきました。今年からは、ここにNPとして皮膚・排泄ケア認定看護師(WOCナース)のバックグラウンドを持つメンバーが入った形になります。
 私は、1ヶ月間 NPを含むチームで患者さんの診療にあたっておりましたが、ラウンドの際もNPの方は「この姿勢で寝ていると褥瘡ができる」や、「排便の回数が記録されていない」など、私が気づけなかったところに気づいてくださり、その情報が診療の方針を変えることが何度もありました。
 やはり視点の違いは大きいもので、極端に言えばチームの中に研修医が10人いるよりも、NPが1人いる方が効率的なのではとさえ感じるほどでした。

2.看護師の業務を治療に反映できる
 言わずもがな、医療は業務として行おうとすると教科書に書いてない意思決定の連続です。例えば抗菌薬のオーダーひとつとっても、教科書には1日4回投与としか書いておらず、0時/6時/12時/18時でいくのか、3時/9時/15時/21時でいくのか、実際の選択肢は無数にできてしまうのですね。
 ここでチーム内に看護師の視点を持ったメンバーがいると、看護師の業務を考慮して最適な投与のタイミングをすぐに聞け、「この病棟では他の患者さんとの兼ね合いもあるので0時始まりでいきましょう」といったように、投与時間を即座に決定することができました。このスピード感は、昨年には得られなかった感覚です。

3.病院内に強力なコネクションが得られる
 元々当院の看護師として長年第一線で働いていた方なので、私たちのチームには各病棟に後輩ナースたちがいる状態になりました。これにより、どの病棟で診療していてもそこで働いている看護師との連携がスムーズになり、また看護師の方からも私たちのチームへの相談が気軽にできるようになったことで、相方向性が飛躍的に高まりました。

 当院においてNPは現在試験段階であり、実際の治療はまだできませんが、7月からは本格的に稼働する予定です。今後、慢性期の患者さんのケアは診療と看護の視点を持ったNPが行い、研修医は、より急性期の患者さんの診療に専念できるようになることが予想されます。研修医が慢性期の患者さんの転院調整に追われてしまい、急性期をみる余裕がなくなってしまうという問題がある病院も多いかもしれませんが、NP制度の導入によって、この問題の解決の糸口を与えてくれるのではないかと心から期待しています。

消化器内科の研修、充実していますよ!

こんにちは!
 札幌に来て1年半、今は夏なのに蒸し暑さは全く感じず汗ばむことなく、むしろ寒いくらいの気候の札幌を堪能しております。学生の頃は別の科を目指していたのですが、1ヶ月間ローテーションをし、消化器内科に進もうと方向転換している初期研修医2年目、小関真子です。本日は、消化器内科ローテーションと当院の素敵な内視鏡室を紹介します。

 消化器内科は初期研修では必須のローテーションではありませんが、多くの研修医が選択しています。なぜなら、研修医がとても歓迎され、指導医の先生方も熱心にご指導してくださるからです。当院の消化器内科は A:胆膵チーム、B:消化管チーム、C:肝臓チームの3つのチームに分かれています。研修医がローテーションする際は、どのチームを回りたいかを自分で決めることができ、そのチームの先生方と基本的には一緒に行動します。私はCチームの一員として研修しましたが、当院は道内の急性肝不全の患者さんがほぼ全例転院してくる病院であることもあり、1ヶ月間だけで、自己免疫性肝炎、EBウイルス肝炎、急性B型肝炎、非代償性肝硬変、肝細胞癌など、幅広く様々な疾患の患者さんを診ることができました。また、Cチームにいても、AとBの先生方と関わる機会は多く、EUS-FNAやERCPの介助を教えてもらえたり、腹水穿刺や肝生検をやらせてもらえたりと、満遍なく丁寧に手技の指導を受ける機会がたくさんありました。さらには、指導医の先生方のご厚意で、週に3-4回スライドを使ったレクチャーをしてくださり、消化器疾患について臨床を踏まえた勉強をすることができました。また、研修中に経験した症例を論文にすることを提案してくださったり、学会発表するためのサポートをしてくださったりと、アカデミックな面でも大変手厚いご指導を頂くことができます。

 当院は内視鏡室が5部屋、透視下内視鏡室が2部屋あり、設備も大変充実しています。件数が非常に多く、まず研修医は上部消化管内視鏡検査を始めから丁寧に教わります。

 

指導医とともに検査介助中の様子

 また、空き時間には上部消化管内視鏡検査の模型を使って練習ができます。機械の使い方など、看護師さんや他のコメディカルの方々も優しく教えてくださり、みな気さくに話しかけてもくださるので、相談もしやすく大変恵まれた環境です。

 是非、皆さん消化器内科をローテーションして、消化器疾患の見方を学んでください!

当院の超音波検査室研修

皆さんこんにちは。いつも当ブログをご覧いただきありがとうございます。手稲渓仁会病院卒後3年目医師の増田です。本日は超音波検査室での研修について紹介させていただきます。

 研修医になると、夜間の救急外来や救急車対応の業務をすることが多いです。救急外来では、エコーが必要な場面が多くあります。例えば、外傷でのFAST(focused assessment with sonography for trauma)や、胆嚢炎の診断などです。また、最近では臨床医がベッドサイドで診療の一環として行う超音波検査は、POCUS (point-of-care ultrasound)と呼ばれています。当直帯は超音波検査士さんが不在のため、医師が直接検査を行い、評価しなければなりません。エコー診断に自信が持てない研修医も多いと思います。

 このような弱点を補強できる環境が当院にあります。私は初期研修医2年目の選択科で1ヶ月消化器内科を選択し研修しました。指導医数も多く、フレキシブルな研修ができる診療科であり、私の場合は空き時間がある度に超音波検査室に足を運び、超音波検査士さんにエコーの見方を教えてもらいました。胆管・胆嚢の評価の仕方や下肢静脈エコーなど、自分の苦手分野を中心にマンツーマンで御指導いただきました。優しくて指導熱心な検査士さんが多く、非常に恵まれた環境です。

 COVID-19が落ち着いてからになってしまいますが、もし体験してみたい学生さんがいたら是非見学にお越しください。北海道でお待ちしています!

救急科での研修について

皆様初めまして、研修医2年目の佐々塚と申します。
 暖冬と思われた今シーズンもその期待を裏切り、3月になった現在でも、深々と雪が降り積もっていることがあります。本州出身の私にとって北海道の寒さは想像を絶するもので、当初は通勤の足取りを重くさせていましたが、人は順応する生き物であり、2年目の今となっては四季の表情豊かな北海道の魅力に取り憑かれてしまいました。皆様も、是非一度冬の北海道へいらして下さい。

 さて、皆様は初期研修先の病院を選ぶ際に、救急研修が強い・弱いといったことをよく耳にしないでしょうか?当院の初期研修プログラムでは将来の志望科に関わらず、ジェネラルに診ることを目標とした幅広いスーパーローテーション研修が特徴的です。山鹿先生のブログにもありましたが、その中でも初期研修医として避けては通れない救急科での研修について、再び共有させて頂きます。

 手稲渓仁会病院は人口約200万人が暮らす札幌市に存在し、救命救急センターでは初期から三次まで内因・外因・疾病の種類などに関わらず様々な救急病態に対応しています。救急診療に携わる期間としては救急ローテーション3ヶ月とNF(ナイトフロート)3ヶ月の合わせて6ヶ月と初期研修2年間の4分の1を占め、1000例近くの救急症例を経験します。救急ローテーションは日勤帯(8:00~20:00)、夜勤帯(20:00~翌朝8:00)までの2交代制であり、on-offのしっかりした研修を送ることができるのも魅力の1つです。診療体制としては、救急専門医・救急科専攻医・初期研修医の1チームで診療にあたり、初期研修医がファーストで診療を行い、救急科専攻医にプレゼンし、さらにその上で救急科専門医に指導を仰ぐという“屋根瓦研修”が徹底されております。これにより、チームの一員である責任感が培われ、また安心して救急医療を学ぶことができたと感じています。

 また、某救急ドラマ・映画が一世を風靡しましたが、当救命救急センターは北海道のドクターヘリの基地病院として、手稲区内外からの救急患者対応も行なっています。初期研修医であっても熱意と事前の学習が必須ではありますが、On the Job(OJT)研修としてドクターヘリに同乗し、プレホスピタルの最前線を学ぶことができます。私が地域実習で脳卒中疑いの患者さんを当院に搬送する際、ドクターヘリから降りて来られた先生の姿は非常に格好よく、脳裏に焼き付いて忘れることができません。

 是非、当院を見学する機会がございましたら救急科研修の雰囲気を感じてみて下さい!

ナイトフロート(NF) walk-in のご紹介

雪が少なめの冬を過ごしている手稲からこんにちは。初期研修医の山鹿です。
例年に比べ暖冬と言われていますが、やっぱり北海道の冬は厳しいです。そんな寒さにも負けず、手稲渓仁会の研修医は今日も元気に過ごしています。

 今回は、1、2年目で経験する「ナイトフロートwalk-in」についてご紹介します。ナイトフロート(以下NF)とは、研修医の研修期間において、2週間から1カ月程度の一定期間を夜間の当直業務のみとする、アメリカで始まった制度です。当院では、2017年に導入になり、初期研修期間の2年間のうち、1カ月を1単位として年に2回、NFを経験します。NFは、研修医1年目・2年目・3年目以上(専攻医含む)の3~4人から構成されたチームで1ヶ月間、夜間救急外来対応を行うローテーションです。1ヶ月を2チーム制で担当し、Aチームは夜間救急外来を、Bチームは夜間内科病棟を担当し、2週間で交代します。今回は、主に夜間救急外来(walk-in)について伝えします。 

 当院では、救急車を使わずに夜間救急を受診される患者さんに対応しています。その初期診療を担うのがNF walk-inチームです。患者さんは受付でそれぞれ外科・内科・小児科の問診票を症状に合わせて記載します。その問診票と受診歴を電子カルテ上で確認し、診察開始です。診察室に呼び入れる瞬間は何度経験しても緊張感で一杯です。夜間に受診される患者さんの主訴は様々です。その症状から緊急的な介入が必要か否かを判断します。「この症状の鑑別は?」「必要な検査は?」「処方する薬は?」など、様々な情報が頭の中をグルグルと駆け巡ります。一度自分でまとめた情報を指導医にコンサルし、一緒に方針を決めていきます。指導医は診察室の後ろで待機してくださっていて、適切な方向に導いてくださる心強い存在です。さらに、当院では各診療科の先生が夜間待機をしてくださっているので、必要な場合には専門科の先生にもご相談します。初期対応した患者さんが緊急手術になる事もあります。1ヶ月間を通して、内科疾患だけではなく、外科疾患や小児(1歳以上)の初期診療も対応するので、幅広い救急症例を経験できる貴重な機会です。

 また、平日の救急外来対応は午後5時からなので、日中は自己啓発の時間として使うことができます。夜間の勤務に負担にならない範囲で、普段経験できない薬剤部・エコー検査・栄養部といった、他職種の業務について学べる機会もあります。もちろん、目標にむけて自己学習に励む事も可能なので、時間の使い方は十人十色です。

 さて、今回は NF walk-inについて簡単にご紹介させていただきました。是非、見学にお越しください。北海道でお待ちしています。

選択研修の紹介~腫瘍内科での研修~

こんにちは!初期研修医2年目の大東です。今回は、私の志望科で内科系の選択科の一つもある「腫瘍内科」の研修を紹介したいと思います。

 「腫瘍内科」という科を皆さんはご存じでしょうか?最近はドラマで腫瘍内科医が紹介されるなど、少しずつ馴染みの有る診療科になりつつあります。腫瘍内科医とは、「がん治療の4つの柱である外科治療、抗がん剤治療、放射線治療、緩和ケアの中でも抗がん剤治療を主軸に外科医や放射線科医、緩和ケア医と協力しながら、患者さんと相談してがん治療を進めていく」医師となります。全国にいる28万人いる医師のうち、腫瘍内科専門医は約1300人であり比較的まれな診療科です。
 手稲渓仁会病院の腫瘍内科は、現在3名の医師で診療をしています。甲状腺がん、乳がん、胃がん、大腸がん、膵がんなど多臓器にわたる抗がん剤治療を行っています。初期研修医としては、上級医の外来を見学していく中で化学療法の勉強をしたり、他科とのカンファレンスに参加をしたり、入院患者さんの初期対応や管理を勉強しております。入院になる患者さんとしては、化学療法の導入のためであったり、副作用があり症状コントロールが難しくなったり、病勢進行のため食事摂取困難となり自宅での生活が難しくなった方などがいます。
 近年のがん薬物療法では、免疫チェックポイント阻害薬が様々ながんに使われるようになってきており、特殊な副作用で内科医としての管理が更に求められるようになっています。遺伝子パネル検査といって、遺伝子変異を調べ、それに効果がある薬を発見できる可能性がある検査などが保険適応になり、腫瘍内科医の仕事も多岐にわたるようになっています。最新の治療は毎年Up dateされており、海外の学会では、標準治療が変わる瞬間を目の当たりにする機会も腫瘍内科の研修ではあります。私は7月に腫瘍内科をローテーションした際、バルセロナで開かれた国際学会に連れて行って頂き、大腸癌のBRAF変異型の標準治療が変わる瞬間を見て「こうやって治療が変わるのか」とすごく感動しました。

腫瘍内科医は人数も少なく、すべての病院にいるわけではありません。患者さんのニーズに合わせて抗がん剤の種類を変更したり、抗がん剤をしないことを相談したり、人生の最期に立ち会ったりと、オーダーメイドで人間くさい診療科です。腫瘍内科に興味を持った方、是非手稲渓仁会の腫瘍内科を見に来て勉強しに来てください。

中国語診療を経験して ~倶知安厚生病院での地域医療研修~

 みなさん、こんにちは。初期研修医2年目の木村です。私は、現在倶知安厚生病院に地域医療研修に来ています。倶知安厚生病院での研修についての説明は以前のブログで紹介がありましたが 、今回は同院での冬期の研修についてご紹介したいと思います。

 冬の倶知安での研修の特徴といえば、外国人診療が挙げられます。救急外来に救急車で運ばれてくる方を診療することもあれば、総合診療科の外来に歩いて来られる方の診療を担当することもあります。また、主治医として入院管理を任されることもありました。倶知安厚生病院へ訪れる外国人はオーストラリア人が多い印象でしたが、香港や台湾を含めた中国系の方の数も多く、英語のみならず中国語での診療を求められる場面もありました。私は中国語が話せるのが特技であり、中国語診療を求めて倶知安を研修先に選びました。やはりニセコのパウダースノーを目当てにやって来たスキーやスノーボードの観光客が多いため、上下肢の骨折や捻挫などの整形外科的な疾患が一番多かったのですが、風邪や腹痛などのcommonな疾患で来る方も多くいました。

 日本人と外国人を比較すると、英語圏の患者さんは疑問点をそのままにしない方が多く、気になったことをすべて質問していた印象でした。私も頑張って英語で回答しましたが、時にはうまく伝わらずに通訳の方(冬季は深夜帯を除いて院内に常勤されています)を呼ぶこともあり、とても無力感を感じました。

 また、中国語圏の患者さんの診療において困難に感じたのは、中国医学の薬を内服している場合です。インターネットで調べても中薬に関する情報は中国語のものが多く、その情報も中国医学をある程度理解していないと難しい内容であり、どんな薬なのか調べるのに時間を要しました。はじめは外国人というだけでこちらが気構えてしまい、過不足なく情報を集めることだけに注力していましたが、慣れてくると私の心に余裕ができ、相手の状況を考えて話せるようになりました。

 冬の倶知安での研修は、前述したように整形外科疾患が多く、希望すれば夕方の救急外来に多く入ることもできるので整形外科志望の方にもオススメです。もちろん、研修の間のオフを利用してスキーやスノーボードを楽しみたい方にもぴったりです。どんな理由であれ、それを叶えてくれる環境が倶知安にはあります。