研修

ナースプラクティショナーがいる生活 Part.2

はじめまして、手稲渓仁会病院初期研修医2年目の金谷和哉です。
みなさんはナースプラクティショナー(NP)という言葉を耳にしたことはありますか?もしはじめて聞いたという方は、普段このブログを読みこんでいませんね?(笑)。読んでいない方は、今年7月21日の池田先生のブログ記事で触れられているので、そちらもぜひご参照ください。

当院総合内科ではNPを活用しており、全国的に見ても非常に先進的な研修病院です。本格的にNPが医師チームに加わり、患者診療にあたるようになったのは今年の7月から。今後、ますます磨きがかかっていくことでしょう。今回、NPがチームにいるメリットを具体例を交えながら、研修医目線でさらにお伝えします!

先日、重度認知症を背景とし、慢性的な便秘から尿閉に至った80代女性患者さんを受け持ちました。医学的には外来でもフォロー可能な状態でしたが、ご家族は介護疲れで疲弊していたことから入院を選びました。下剤の使用で排便が得られ、自尿も認められるようになり尿閉も解除したため、入院後1週以内にはいつでも退院できる状態まで改善しました。しかし、そのあとに退院先を自宅にするのか長期療養型病院にするのか、長期療養としてはどの病院が最適かなど、社会的な調整に時間を要し、最終的には1カ月間の入院が必要でした。その間、医学的な介入はほぼ不要な状態であっても、さまざまな調整で時間を取られてしまうことがあります。そういった慢性期の管理・調整を引き受けてくださるのがNPです。実際今回のケースも、入院期間の2/3程度はNPに担当いただくことができたおかげで、私は手の空いた時間を使って他の迅速な対応を求められる患者さんの診療に専念することができました。

他にも、誤嚥性肺炎治療後で転院待ちとなった患者さんや、菌血症に至った尿路感染症で全身状態が安定し規定の日数の抗生剤加療を続ける患者さんなど、急性期の管理が落ち着いた患者様をたくさん引き受けていただくことによって、われわれ研修医は新規の入院患者さんを担当することができ、より効率的にたくさんの症例を経験することができるようになりました。病態によっては、NPへ担当を引き継いだ患者さんが急変し、再び医療的な介入が求められた際に、元の主治医が再度担当することもあります。NPへ引き継いだ後に困ることがないように、普段からしっかり管理しておくことも主治医の腕の見せどころですね。

上述のケースはほんの一例であり、実臨床で働いた経験のない医学生のみなさんには少しイメージの付きにくい話だったかもしれません。NPのおかげで、研修がより充実したものとなる環境が整いつつあるのを実感しております。これから見学に来られる医学生は、ぜひNPにも着目してみてください。

ドクターヘリのOJT

はじめまして。2年目の江原と申します。今回はドクターヘリOJTについてご紹介したいと思います。
 
 OJTとはOn the Job Trainingの略であり、つまりドクターヘリ実地研修のことです。当院は道央ドクターヘリ基地病院であり、道内最初にドクターヘリ正式運航を開始した老舗でもあります。救急科ローテーション中には希望すればOJTを行うことが可能であり、今回はその様子をお伝えできればと思います。 
 
 朝フライトスーツに着替え、8時15分からブリーフィング を行います。ブリーフィング では、医師、看護師、機長、整備士、コントロールセンターと医療機材、無線、天候などをチェックし、情報を共有します。天候や日照時間は、運航範囲にも影響します。また、出動した後の機材トラブルは致命的になるため、入念にチェックを行います。

 朝のブリーフィングが終わると、出動要請がかかるまで待機します。ERの混み具合にもよりますが、基本的にフライトに当たる医師はERや病棟業務には従事せず、要請があればすぐ出動できるよう待機します。要請がかかると医師、看護師はヘリポートへ全力疾走し、数分以内に離陸します。そのため患者情報、現地の救急隊の活動状況などは上空ではじめてわかることになり、限られた情報だけを頼りに着陸後に行う処置、搬送などの流れを考えながら機内で準備を進めなければなりません。

 現場に着陸すると救急隊と合流し、迅速に患者さんの状態把握と必要な処置を行い、搬送先を決定します。ドクターヘリの機内は狭く、必要な処置は離陸前に現場で済ませておく必要があります。搬送中はエンジンやプロペラの騒音で患者さんの声が一切聞こえないため、患者さんとモニターから目を離すことができません。また、院内と違って限られた機材しかなく、日照時間との兼ね合いなどから現場での活動時間も限られている場合が多いため、診察や処置より搬送が優先される場面も少なくありません。搬送先は、患者さんの重症度や搬送時間、ベッドの空きなどから総合的に判断します。搬送先に到着次第直ちに申し送りを行い、終了後すぐに帰院して次の要請を待ちます。1日多くて4、5回出動することもあります。運航時間は日没に合わせ夏季は18時、冬季は16時に終了となります。運航が終了するとその日の活動について振り返りを行い、改善点を共有します。

 OJTは、bystanderではなくチームの一員として活動しなければならないため、非常に緊張感があります。また、医学的観点だけでなく、搬送も含めた総合的な状況判断能力がフライトドクターには必要であると感じ、非常に勉強になりました。当院では初期研修期間中にプレホスピタルの最前線を学ぶことができますので、特に救急医療に興味のある方は、見学の受け入れが再開となった際にぜひ一度当院にいらしてください。

当院総合内科研修について

みなさん、はじめまして。手稲渓仁会初期研修医2年目の平塚と申します。今回は当院総合内科での研修について紹介したいと思います。

総合内科研修は当院初期研修プログラムの目玉とも言える内容で、2ヶ月間の研修中に病棟管理の基本を学びます。最初は、病院のシステム面についてたくさん学ぶ必要があります。例えば、電子カルテの使い方や、検査や処方オーダー、病棟指示、他科コンサルトなどです。というのも、チームの一員として、大学ではほとんど教わることがなかった事務的な仕事をまずはできるようになる必要があるからです。そして、医学の勉強も並行して行います。大学で十分に勉強しても、具体的な治療方法、たとえば薬や輸液の細かな用量・用法まで学ぶ機会が少ないのではないかと思います。

総合内科で担当する患者さんの多くは高齢者で、重症の場合は栄養や水分、電解質等の全身管理を要します。総合内科では、指導医による監督の下、研修医2年目から専攻医があらゆる面でサポートする、いわゆる“屋根瓦式の教育体制“を取っています。当然、2年目からは担当患者を持ちながら、自らが1年目のときに学んだものを1年目研修医に教える立場となります。これが知識のアウトプットの良い機会となると共に、自身も研修医1年目の担当症例を経験できるため、まさに一石二鳥といえます。

また、総合内科のカバーする疾患範囲は非常に広く、感染症や糖代謝異常、内分泌疾患、自己免疫性疾患、神経内科疾患など多岐にわたります。しかし、初診時にはどの疾患であるか不明なため、問診や診察から鑑別診断を立て、それに沿った検査を行い診断に近づいていきます。この点が非常に難しいと共に、総合内科のとても面白い部分だと思います。診断を自ら下し治療を開始するのは、患者さんが重症であればあるほど勇気がいるものです。そういった経験を丁寧な指導のもと積むことで、医師として一回り大きくなることができると考えます。総合内科の先生は非常に寛容で、最初から否定したりせず、我々の治療方針を大きな間違えがない限り、できるだけ尊重してくれます。そのため自分で考えて診療する力が身につき、成功体験を積むことで徐々に診療能力に自信を持てるようになります。そして、自信が持てると日々の研修がより楽しくなります。

当院総合内科で充実した研修生活を送りませんか? 皆様が来られるのを心からお持ちしております。

平塚祐真

心不全患者の治療をするのは…

医師だけではありません。
現代は心不全パンデミックと言われ、心不全患者が年々増加しています。もはや心不全は医師が薬を処方して良くなる病気ではなくなりました。むしろ食事療法、薬物療法、運動療法を患者さんが自己管理しながら継続していくことがカギとなります。理解ではなく、実践をどうするか。これが重要なのです。これに対して、当院の循環器内科では毎週「心不全カンファレンス」を行っております。このカンファレンスでは医師以外にも、看護師、管理栄養士、理学療法士、薬剤師、医療ソーシャルワーカー(MSW)が集まり、入院患者の治療や退院後の生活などに関して話し合っております。今回はそんなお話です。

看護師は、普段、患者さんの傍にいる時間が最も長いため、食事状況や病気に対する心理状態を把握し、それを共有したり傾聴することに長けています。また、MSWはそのご家族にあった社会福祉を提供するために、患者さんの置かれている社会的状況をきめ細かく丁寧に聞き、退院後に最大限の支援ができるようにコーディネートしていきます。そして、薬剤師は薬の効果や副作用の説明だけではなく、自宅での服薬状況を聞き、その人の生活習慣に合わせた薬剤処方を提案してくれます。例えば、合剤を使用したり朝1回の内服に変更したりと、アドヒアランス低下に繋がるのを少しでも減らす工夫をして下さいます。
理学療法士は、入院中に元のADL近くまでリハビリアップをしてくれることにも驚きますが、普段の運動習慣や家の周辺事情を考慮した運動の仕方や、運動する気が起きない時にも筋力を落とさないような工夫を提案し、入院中のリハビリに取り入れてくれます。管理栄養士は、患者さんの食の嗜好を聞き、そこからエネルギー量を減らさず塩分を減らすなどバランスの取れた食事の工夫を考えてくれます。間食を加えたり栄養補助食品を導入したりして、制限がある中でも食の楽しみを奪うことない知恵には感心させられます。

このような多職種による心不全カンファレンスの目的は、理想的な治療ではなく個々人にできそうな目標を患者さんと共有することにあります。各職種はその専門知識と技能を駆使し患者の状態を捉えるので毎回頭が下がります。また、患者さんが各職種に見せる顔も異なります。それらの情報をカンファレンスで共有し、患者さんを含め全員が同じ方向にむかって進んでいきます。これこそが医療の神髄と言えるのではないでしょうか。医師の仕事だけではなく、多職種の仕事ぶりに注目してみてはいかがでしょうか。

初期研修医2年目 波多野涼介

外科系志望も満足できる環境

みなさん、はじめまして。初期研修医2年目の八木隆太です。本投稿を記載している8月末は、本州ではまだまだ蒸し暑く夜も寝苦しい日々が続いていると思いますが、札幌では、夜は20℃を下回る日々で夏の終わりを肌身で感じています。

 さて、本日のブログの内容はタイトルにもあるとおり、将来外科系に進もうとしている方たちが気になる外科系の教育環境について、ご紹介させていただこうと思います。手稲渓仁会病院はみなさんもご存知のとおり、英語教育や総合内科が有名で、それらを目的に見学に来たりする方が多いと思います。他院の初期研修医がどこまでの外科訓練をしているかがわからないため比較はできませんが、当院でもやろうと思えば多くの外科系手技の経験を積むことができる環境です。

 まず、最初に外科系を目指す人が一番気になる手術です。手稲渓仁会病院外科の年間手術件数は1800件程度であり、当院の外科専門研修プログラムを見ても手術経験数は500例、執刀数は200例以上が見込まれるほど多くの手術が行われています。外科の基本的手技である縫合は、入職して間もないうちに外科医による縫合のレクチャーがあります。短い手術では器械出しを任せられ、手術器具の名前を覚えたり、手術の流れに合わせて器具を出したりすることで、チームとしての一体感を肌で味わうことができます。また、外科以外にも産婦人科や整形外科等、手術件数の多い科での研修が可能です。

 続いては手術室の外での手技です。CVやPICCカテーテルの挿入、胸腔・腹腔穿刺などの手技も実は多くあります。研修医室で黙々とカルテ業務をこなしているだけでは、機会を見逃す可能性が多いですが、当院には面倒見がよく、教育的な指導医が多いです。なので、自分から積極的にアピールすれば、内科系含めローテーションしている科で外科手技があるたびに呼んでもらえるようになります。

 最後になりますが、スキルシミュレーションセンターについてです。手稲駅から電車で13分とちょっと離れたところにありますが、ここでは腹腔鏡下手術のシミュレーションを含め、CVの練習や、各種手術器具の練習もさせていただけます。毎週木曜日の午前中は病院が契約しており自由に使うことができます。木曜日は基本的に外科の手術が少ないため、外科ローテーション中は行かせてもらうことができます。また、ナイトフロートや救急科ローテーション中も、木曜日の午前中が空いていれば使うことができます。

 当院は英語教育と総合内科に注目が集まりがちですが、外科系志望のみなさんも安心して研修できる環境があります。外科系志望のみなさん、是非当院での研修を考えてみてはいかがでしょうか。

当院の学習環境

みなさん、こんにちは。初期研修医2年目の本間と申します。いつも当ブログをご覧いただきありがとうございます。

 読者の多くは当院での研修を考えている医学生の方だと思いますが、医学は学ぶ範囲がとてつもなく広く、日々勉強机に向かって悪戦苦闘しているかと思います。そして、(残念ながら?)それは医師になっても変わらず、特に研修医期間は毎日新たな学び、疑問が湧いてきます。そこで、せっかく執筆の機会をいただいたので、僭越ではありますが、私自身が普段どのように臨床疑問、いわゆるクリニカルクエスチョンと相対しているかをご紹介したいと思います。

 皆さんは、ラーニングピラミッドをご存知でしょうか。医学生が普段聞いている講義や、課題図書を読むことなどはパッシブラーニングと呼ばれ、実は学習定着率があまり高くありません。しかし、知識の下地を作るという点では不可欠です。ここで、初期研修医として一番有用なソースとなってくるのは、各学会から発行されているガイドラインやUpToDate、DynaMedなどの二次資料かと思います。当院での初期研修では英語教育に力をいれており、UpToDate、DynaMedを院外、院内問わず利用できる環境が用意されております。そして、あまり学生の皆さんには馴染みがないかもしれませんが、海外の医学書やジャーナルを読めるClinicalkeyというサービスとも契約しており、日頃から医学英語に慣れ親しむには良い環境が揃っていると思います。

 ここで個人的に気をつけている点としては、必ず学んだ内容をEvernoteなどのノートアプリに書き留めておく事です。これにより簡易的にアウトプットができ、必要時に自分が知りたい情報にすばやくスマホなどでアクセスできます。

 そして、何より学習効果が高いとされているのは他人に実際に教育すること、いわゆるアクティブラーニングです。当院では、毎朝7:30よりモーニングレポート(M R)が開催されています。M Rでは、指導医からのレクチャーのみではなく、初期研修医が各科で経験した症例や教科書の内容を発表する機会が設けられています。私は、実際に昨年1年間で4回程発表する機会がありました。確かに、スライドなどを作成するのに多くの時間はかかりますが、そうすることによって経験した疾患について同期の誰よりも詳しくなり、学会発表に向けての良い準備にもなります。また、その分、朝1時間ほど早起きしなければなりませんが、研修医なりたての頃は皆、まず何から学び始めれば良いかも分からない中、この機会が日々の学習の一助になると思います。

 ここまで簡単ではありますが、当院の研修環境で、どのように日々、実臨床を学んでいるかをご紹介させていただきました。少しでも参考になりましたでしょうか。もちろん、今回紹介させていただいた内容は最適解ではありません。十人十色であり、向き不向きもあります。私が記させていただいた内容が、当院での初期研修を考えている読者の皆さんの参考になりましたら幸いです。

 最後になりましたが、長文、乱文失礼しました。読んでいただき、ありがとうございます。

手稲渓仁会病院の初期研修といえば…

札幌にも夏がやってきました。本州では毎年のように猛暑の記録が更新されている印象がありますが、札幌はまだまだ過ごしやすい気候が続いているように感じます。一度北海道で夏を経験してしまうと、うだるような蒸し暑さの本州には戻ることができないのではないでしょうか。今年札幌在住8年目、研修医2年目の深澤美智子です。

 今日は表題にもあるように、「当院の初期研修といえば」についてお話しようと思います。私もそうでしたが、当院に見学で来院されたことがある方は、当院の初期研修に様々な特徴を感じたことでしょう。正直、特徴を挙げ続けたらきりがありません(笑)。このため、実際に初期研修の1年間を終えてみて、新たに気づいたことについてお話します。それは研修医が自ら研修を作り上げ、後輩に引き継いでいるという文化です。『屋根瓦式の教育』とは聞くことがありましたが、実際に初期研修を始めてみると、一言では語れない文化の厚みを感じました。

 Morning Report(通称:モーレポ)もその代表かと思います。今年度は私と同期の2名でモーレポ係を担当しています。モーレポは、毎朝7:30より始まる1時間程のlectureです。曜日によっても内容が異なり、月曜日は英語での症例プレゼンが中心、火曜日はサージカルlectureといって外科的な知識に関するプレゼン、その他の曜日は各診療科の先生方のご協力を頂いて、初期研修において知っておかなければならない知識のご指導を頂いております。特に強調すべき点としては、研修医がプレゼンできる場を定期的に用意しており、皆が怖がらず挑戦できる機会になっていることかと思います。ダメ出しをされる場所ではなく、自分のプレゼンスキルを磨く練習の場所、というのがコンセプトです。学会等で多くの人前でいきなりプレゼンをするのは誰しも緊張する場面かと思いますが、当院ではローテーション科を始め、モーレポでも練習する場が日常的にあります。これは今後どの領域に進んだとしても(別の職業に転向しても!?)、生かされる技術の獲得につながると考えます。参加型レクチャーも多く、研修医の活発な意見交換により成り立っているとも言えます。このようなモーレポは研修医がマネジメントをし、自らを高め合おうとする姿勢をもって取り組んできたことで、現在まで続いてきました。軌跡を考えると素晴らしい文化であることを感じます。

 また、もともと初期研修が3年間のプログラムであったこともあり、2年間の初期研修後もPGY3(医師3年目)として当院で働かれる先輩方がいます。この先輩方の影響は非常に大きく、ここで研修を頑張れば彼らのようになれるんだ、頑張らねばと士気が高まると共に、本当にあんな偉大な存在になれるのだろうかと不安も高まります(笑)。当院の総合内科やNF(ナイトフロート)では、PGY3以上の当院初期研修出身の先生をリーダーとして、チームで診療にあたることが多く、その際には丁寧で親身なご指導をしてくださいます。先輩方の指導は学年も近く、そして同じ研修をやりきった経験もあるため非常に心にぐっときます。具体的な医学知識のみならず、人となりを教えていただいている気がします。1年間だけではあるものの、自分や同期の成長を見ると先輩方からの教育があってのものだと痛感しています。このように代々先輩が後輩を指導し育てるという文化が残っているからこそ、初期研修では人が集まるのかもしれません。

 研修医が作り上げる、といえば病院説明会用に作成した動画をご覧になりましたか?多くの研修病院では専門業者に依頼するのが一般的ですが、当院ではなんと研修医が0から作成しております。様々な才能を持った只者ではない研修医が多く、彼らの協力があって当院の研修がより魅力的に作られている一面を感じることができるかと思います。まだ見ていない方は、ぜひレジナビサイトでご覧になってください。

 ぜひ、今後も多くの希望に満ちた方が当院初期研修にて仲間に加わることを願っています。お目にかかれる機会を楽しみにしております。

ナースプラクティショナーがいる生活

こんにちは、PGY2の池田雪太郎です。

 みなさんはナースプラクティショナーという職種をご存知でしょうか?
 ナースプラクティショナー(NP)とは、主にアメリカの病院で導入されている制度で、一般的な看護師の業務に加え、診察や治療なども一定レベルまでは許可されている、看護師と臨床医の中間のような職種です。当院でも現在このナース・プラクティショナー(仮称)制度を導入中で、6月に総合内科をローテートした際、NPの方と一緒に患者さんを診させていただきました。そこで、NPは今後チームの一員として、日本の医療の中核を成す職種になっていくだろうと確信しました。今回は「ナースプラクティショナーがいる生活」と題しまして、1ヶ月間ともに働いた感想をお伝えしたいと思います。

1. 診ているところがちがう
 当院の総合内科は主治医制ではなくチーム制なので、一人ひとりの患者さんをチームで診ていきます。昨年までは指導医、専攻医、研修医を1チームとして診ていたので、研修医が身体所見をとり、専攻医が方針決定をし、指導医がアドバイスするといういわゆる屋根瓦の診療を行ってきました。今年からは、ここにNPとして皮膚・排泄ケア認定看護師(WOCナース)のバックグラウンドを持つメンバーが入った形になります。
 私は、1ヶ月間 NPを含むチームで患者さんの診療にあたっておりましたが、ラウンドの際もNPの方は「この姿勢で寝ていると褥瘡ができる」や、「排便の回数が記録されていない」など、私が気づけなかったところに気づいてくださり、その情報が診療の方針を変えることが何度もありました。
 やはり視点の違いは大きいもので、極端に言えばチームの中に研修医が10人いるよりも、NPが1人いる方が効率的なのではとさえ感じるほどでした。

2.看護師の業務を治療に反映できる
 言わずもがな、医療は業務として行おうとすると教科書に書いてない意思決定の連続です。例えば抗菌薬のオーダーひとつとっても、教科書には1日4回投与としか書いておらず、0時/6時/12時/18時でいくのか、3時/9時/15時/21時でいくのか、実際の選択肢は無数にできてしまうのですね。
 ここでチーム内に看護師の視点を持ったメンバーがいると、看護師の業務を考慮して最適な投与のタイミングをすぐに聞け、「この病棟では他の患者さんとの兼ね合いもあるので0時始まりでいきましょう」といったように、投与時間を即座に決定することができました。このスピード感は、昨年には得られなかった感覚です。

3.病院内に強力なコネクションが得られる
 元々当院の看護師として長年第一線で働いていた方なので、私たちのチームには各病棟に後輩ナースたちがいる状態になりました。これにより、どの病棟で診療していてもそこで働いている看護師との連携がスムーズになり、また看護師の方からも私たちのチームへの相談が気軽にできるようになったことで、相方向性が飛躍的に高まりました。

 当院においてNPは現在試験段階であり、実際の治療はまだできませんが、7月からは本格的に稼働する予定です。今後、慢性期の患者さんのケアは診療と看護の視点を持ったNPが行い、研修医は、より急性期の患者さんの診療に専念できるようになることが予想されます。研修医が慢性期の患者さんの転院調整に追われてしまい、急性期をみる余裕がなくなってしまうという問題がある病院も多いかもしれませんが、NP制度の導入によって、この問題の解決の糸口を与えてくれるのではないかと心から期待しています。

消化器内科の研修、充実していますよ!

こんにちは!
 札幌に来て1年半、今は夏なのに蒸し暑さは全く感じず汗ばむことなく、むしろ寒いくらいの気候の札幌を堪能しております。学生の頃は別の科を目指していたのですが、1ヶ月間ローテーションをし、消化器内科に進もうと方向転換している初期研修医2年目、小関真子です。本日は、消化器内科ローテーションと当院の素敵な内視鏡室を紹介します。

 消化器内科は初期研修では必須のローテーションではありませんが、多くの研修医が選択しています。なぜなら、研修医がとても歓迎され、指導医の先生方も熱心にご指導してくださるからです。当院の消化器内科は A:胆膵チーム、B:消化管チーム、C:肝臓チームの3つのチームに分かれています。研修医がローテーションする際は、どのチームを回りたいかを自分で決めることができ、そのチームの先生方と基本的には一緒に行動します。私はCチームの一員として研修しましたが、当院は道内の急性肝不全の患者さんがほぼ全例転院してくる病院であることもあり、1ヶ月間だけで、自己免疫性肝炎、EBウイルス肝炎、急性B型肝炎、非代償性肝硬変、肝細胞癌など、幅広く様々な疾患の患者さんを診ることができました。また、Cチームにいても、AとBの先生方と関わる機会は多く、EUS-FNAやERCPの介助を教えてもらえたり、腹水穿刺や肝生検をやらせてもらえたりと、満遍なく丁寧に手技の指導を受ける機会がたくさんありました。さらには、指導医の先生方のご厚意で、週に3-4回スライドを使ったレクチャーをしてくださり、消化器疾患について臨床を踏まえた勉強をすることができました。また、研修中に経験した症例を論文にすることを提案してくださったり、学会発表するためのサポートをしてくださったりと、アカデミックな面でも大変手厚いご指導を頂くことができます。

 当院は内視鏡室が5部屋、透視下内視鏡室が2部屋あり、設備も大変充実しています。件数が非常に多く、まず研修医は上部消化管内視鏡検査を始めから丁寧に教わります。

 

指導医とともに検査介助中の様子

 また、空き時間には上部消化管内視鏡検査の模型を使って練習ができます。機械の使い方など、看護師さんや他のコメディカルの方々も優しく教えてくださり、みな気さくに話しかけてもくださるので、相談もしやすく大変恵まれた環境です。

 是非、皆さん消化器内科をローテーションして、消化器疾患の見方を学んでください!

当院の超音波検査室研修

皆さんこんにちは。いつも当ブログをご覧いただきありがとうございます。手稲渓仁会病院卒後3年目医師の増田です。本日は超音波検査室での研修について紹介させていただきます。

 研修医になると、夜間の救急外来や救急車対応の業務をすることが多いです。救急外来では、エコーが必要な場面が多くあります。例えば、外傷でのFAST(focused assessment with sonography for trauma)や、胆嚢炎の診断などです。また、最近では臨床医がベッドサイドで診療の一環として行う超音波検査は、POCUS (point-of-care ultrasound)と呼ばれています。当直帯は超音波検査士さんが不在のため、医師が直接検査を行い、評価しなければなりません。エコー診断に自信が持てない研修医も多いと思います。

 このような弱点を補強できる環境が当院にあります。私は初期研修医2年目の選択科で1ヶ月消化器内科を選択し研修しました。指導医数も多く、フレキシブルな研修ができる診療科であり、私の場合は空き時間がある度に超音波検査室に足を運び、超音波検査士さんにエコーの見方を教えてもらいました。胆管・胆嚢の評価の仕方や下肢静脈エコーなど、自分の苦手分野を中心にマンツーマンで御指導いただきました。優しくて指導熱心な検査士さんが多く、非常に恵まれた環境です。

 COVID-19が落ち着いてからになってしまいますが、もし体験してみたい学生さんがいたら是非見学にお越しください。北海道でお待ちしています!