The elective at Te Omanga Hospice, New Zealand

こんにちは。2年目初期研修医の志村と申します。
寺田先生の記事にもありましたように、当院では国内外を問わず他施設での院外研修が可能です。私はニュージーランドのホスピスで4日間の研修をさせていただきましたので簡単にご紹介します。

北島の都市、ウェリントンの郊外にTe Omanga Hospiceは位置しています。ニュージーランドでは、多くの方が自宅で最期の時間を過ごすことを望み、それを実現しています。Te Omanga Hospiceは、外来・入院・在宅での緩和ケアを行なっている施設で、年間320人の患者さんを看取っているそうです。

ベッドは8床あり、終の住処というよりも、一次的に症状コントロールを行うための病棟としての役割が大きいことが特徴です。ホスピスで亡くなる方もいらっしゃいますが、多くの患者さんが入院中に症状コントロールを行いながら、家族会議を重ね、準備を整えて自宅へ戻って行きます。

家族会議は、本人、家族、医師、看護師、ソーシャルワーカーで大きな輪を組み、現状や今後の方針について共有する場です。一度、マオリ族の腎不全患者さんの家族会議に参加させていただきました。まず皆で祈りを捧げるところから始まり、現在の症状や今後などについてじっくりと話し合った後、皆で肩を組んで歌を歌い会議を終えました。会議自体はシビアな内容も含まれ、途中家族が涙する様子もあったものの、最後には皆、笑顔で前向きな発言をする様子が多くみられていました。

愛する者との別れは辛く悲しいものです。しかし、時間が限られているからこそ、命はより輝き、大切な時間を過ごすことができるのではと感じました。ニュージーランドの雄大な自然に囲まれ、優しい時間が流れるホスピスで、私自身が豊かな時間を過ごすことが出来ました。

日常とは全く異なる環境に飛び込み、新たな気づきを得られることが院外研修の醍醐味ではないでしょうか。院外研修を行うにあたり、お世話になった皆様にこの場をお借りして心より感謝申し上げます。

Te Omanga Hospice, located in Lower Hutt, in the North Island of New Zealand provides inpatient, outpatient, and home-based palliative care. Thanks to the doctors and medical staff at both TKH and Te Omanga Hospice, I had the opportunity to visit there on an elective.
  Te Omanga Hospice has eight beds for patients who need acute symptom control or for terminal care but these days, many patients prefer to spend as much time, and ideally the end of their life in their own home.
 Family meetings play a vital role to achieve good quality of life for patients with terminal illness. I attended one of these family meetings for a Maori patient – it started with a Karakia, a prayer in the patient’s native language. After the prayer, we discussed the present situation, the patient’s goals and likely future prospects. We discussed what was needed for him, what could be provided and then set goals together. At the end of the meeting, we sang a song putting our arms around each other’s shoulders.
 Being separated from a loved one is never easy. However, they remind us of how precious life is. They teach us to live as if each moment is a gift. Dying is a normal process. Death is necessary for our life to be meaningful. The days I spent at Te Omanga Hospice were some of the most peaceful and serene of my life and made me realize the essential things in life.

産婦人科研修のご紹介

こんにちは!研修医2年の鈴木凜と申します。
手稲では11月中旬から雪が降り始め、地面は凍り、芯まで冷える寒さになってきました。去年転倒した反省を活かして気をつけて歩いていましたが、今年も早速派手に大こけしました。冬シーズンに見学予定の学生の方は、ぜひ滑りにくい靴でいらしてください。

それでは今回は、産婦人科研修について紹介したいと思います。
産婦人科は今までは選択枠でしたが、2020年度から必修枠となるので、次期1年目からは全員が研修することになります。
そこで、当院の産婦人科研修を3ポイントで紹介したいと思います。

①手術件数が豊富
数字でいうとピンとこないかもしれませんが、2018年(1~12月)の産婦人科総手術件数は1,656件、その中で腹腔鏡手術の比率が高く、1,016件行われています。これは全国でトップ3に入る件数だそうです。そのため、ほぼ毎日研修医は何かしらの手術に入っています。上級医の十分な指導の下、マニピュレーターという子宮を動かす器械の操作から始まり、研修医の能力に応じて手術手技の指導を受ける機会もあります。外科系を考えている人にとっては充実した日々になるかと思います。

②指導医が豊富
当院は手術件数が多いこともあり、多くのスタッフがいます。最近では専攻医の先生も増えてきており、若手からベテランの先生まで幅広くいらっしゃいます。
基本的に、研修医はローテート中に一人の指導医について病棟や外来などの業務にも関わらせていただきます。指導医以外の先生方も、新しい患者さんが来た時に研修医を呼んでくださり、みな優しく気さくに話しかけてもくださるので、相談もしやすく大変恵まれた環境です。

③休みがしっかりある
産婦人科では土日が完全オフです。しっかり休んでもよし、遊んでもよし、産婦人科に興味があって経験を積みたければ出勤してもよし。フレキシブルだけどしっかり学べるのが当院産婦人科の特徴と思います。

ということで大まかに産婦人科の紹介をしましたが、とにもかくにも出産は感動します。必修科になった産婦人科で是非たくさんのことを学んでください!

初の海外学会参加とアメリカの病院見学

こんにちは。手稲渓仁会病院研修医2年目の寺田と申します。
当院では院外研修の機会があり、研修医1年目に5日間、2年目に10日間が付与されていて、興味がある病院の研修や学会への参加が可能です。今回、私は院外研修の期間を利用して1週間ワシントンに行き、2日間ジョンズホプキンズ病院の救急と内科の見学と、4日間のSociety of General Internal Medicine (SGIM)の学会へ参加し、内科症例のポスター発表をしたため、現地の様子を報告します。ジョンズホプキンズ病院への見学は、一度研修医の視点でアメリカの研修を見てみたかったことと日本では見られない症例に興味があったことから、上級医に相談して当院にも教育に来て頂いたジョンズホプキンズの内科医師に紹介してもらい、実現しました。渡航にあたっては、病院から渡航費及び学会費用の補助を頂きました。

5月初めにワシントンに飛び、まずジョンズホプキンズ病院を見学しました。救急では2チーム制が取られており、RedとBlue teamと言われていました。Red teamは外傷チームです。1チームにつき指導医1-2人、研修医3人という体制で人手は豊富のようでした。アメリカでも有数の治安の悪い病院周辺から様々な患者さんが運ばれてくるようで、日本ではなかなか見られない銃創患者、薬物の大量服薬などは日常茶飯事のようでした。

内科見学は、チーフレジデントによる朝レクチャーから始まりました。内容としては、前日夜間に研修医チームが見た入院症例に関しての臨床推論を通しての振り返りという形式で行われ、主訴から考えられる疾患を挙げ、問診で何を聞くべきであったか、アセスメントは正しくできたのかを研修医と医学生で議論しながら進めていきます。その後、患者さんご本人のベッドサイドまで行き、身体診察(腹部の腎動脈雑音の取り方など)とエコー(肺と心臓)を行いました。内科のチームは複数あり、各チーム、指導医1人、シニアレジデント2人、研修医3人、医学部2年生1人というビッグチームでした。回診プレゼン、方針を決めるのは当院での内科研修と変わりありませんでしたが、医学生が業務をしていることと、各々パソコンがあるためその場で指示出しや処方、カルテ書きを行える点が異なり、興味深かったです。

SGIM学会当日は、アメリカの研修医に交じりながら通りがかった人にポスター発表をしました。周りの研修医とも仲良くなり、研修や進路のことなどをしゃべりました。レクチャーやセッションも豊富で、治療のアップデート的な内容のものから、どのように進路設計をするか、眠らせないレクチャーをするには!?などと多岐に渡っていました。実際に明日から実践できる内容が多くあり、海外学会に参加する意義を強く感じる機会となりました。

今回の院外研修を通して、研修医として日々忙しく医学を学んでいる中で、自分が経験した症例の発見を発表し、意見交換をすることを通して新たな疑問が生まれ、今後に生かせる知識が身につけるなど、重要なことを当たり前にできるようにしたいと思いました。これが実現した背景に病院のサポートや指導医、周りの研修医、事務の方の協力があり、感謝の思いで一杯です。

研修医のためのレクチャー ”Morning report”

初めまして!研修医2年目の中溝と申します。
今回は、当院の教育プログラムの一つでもある”Morning report”について紹介します。
“Morning report”は平日の朝に開催されている研修医のためのレクチャーです。各種疾患への対応法や鑑別の練習に加えて、エコーのレクチャー、身体所見の取り方など内容は多岐に渡ります。時には研修医もレクチャーを行う側となり、人前でのspeech能力を向上させる貴重な機会にもなっています。この記事では、日々行われている”Morning report”の中から救急科の先生による「てんかん」のレクチャーについて一部お届けします。

そもそも「てんかん、てんかん発作、痙攣発作の違いを説明できるか」と最初に問われ、自信をもって説明できないなと思いました(汗) 。なんとなくわかっているつもりでしたが、言葉できちんと説明するとなると案外できないものですね。ということでまずは言葉のおさらい↓

・てんかん発作:神経細胞の異常で、過剰な電気的放電が同期して発生することにより突然現れる行動の変化
・痙攣発作:てんかん発作で全身または一部の筋肉が過剰な収縮を伴うもの
・てんかん:非誘発性にてんかん発作を繰り返す疾患

てんかん発作は筋肉の過剰な収縮、つまり”ガクガク”してなくてもいいわけですね。そこで覚えておくべき疾患がNCSEですね。 国家試験にはほぼ出ないんじゃないかと思いますが、臨床では遭遇します。NCSEはnonconvulsive status epilepticus(非痙攣性てんかん重積状態)のことであり、文字通りてんかん発作は発生しているのにガクガクしていない状態です。要は実際に痙攣していないからといって、てんかんじゃないとはいいきれないってことですね。

意識障害だけで搬送されてきたりするので、原因不明の意識障害の鑑別診断として頭に入れておきましょう。そして痙攣を見た時の薬剤の使用については、当院の救急外来ではジアゼパム10mg → 5-10分後持続しているならジアゼパムをもう10mg追加 → それでもだめならホストイン15mg/kgとなっています。もちろん常にABCの評価は必須です。詳しいことはガイドラインも参考にしてみてください。ありがたいことに日本神経学会が、てんかん診療ガイドライン2018をネット上で公開してくれています! ぜひ活用しましょう。

見学にきてくれた学生さんが5人も参加してくれて、当院の教育の一部を知ってもらえたと思います。見学、気軽に来てくださいね~。

整形外科ローテーションの紹介 整形外科における身体所見

「身体所見」は視診・聴診・打診・触診と教科書には書いてあります。これは基本ですが、科によってその中で明かに比重が異なります。整形外科はやはり、触診です。具体的にどうやって診察するのかという質問を研修医からたびたび受けます。整形外科は当院では選択科目であり、全員に教えるということはできないので、今回は整形外科における身体所見の基本について、少し話をします。私自身、教科書ではなく、医者になってから整形外科領域の身体所見を学び、自分の中で体系化しています。

基本は「視診・Range of Motion (ROM)・圧痛・(スペシャルテスト)」

視診:発赤、腫脹、変形、創部の観察など見た目の異常です。
ROM:膝など関節の訴えがあればその関節のROM、下腿や上腕などであればその隣接関節のROMを診察します。表現の仕方ですが、屈曲しよう(させよう)としてその限界の角度を測定し、自動屈曲(他動屈曲)〇〇度のように標記し、必ずその逆も標記します。膝や肘なら伸屈曲のみで十分ですが、股関節や肩関節は内外転、伸屈曲、内外旋など多岐にわたります。運動時痛があれば、そのときにわかります。自動運動と他動運動で大きな違いがあれば、それも重要です。

圧痛:「触診」のなかでもっとも重要な項目です。筋肉が痛いのか、骨が痛いのか。細かく押します。骨折の診断において骨に痛みがあるのかは非常に重要です。触診なので熱感などもここで診察します。
(スペシャルテスト):Speed、Empty can、マックマレー、トンプソンなど聞いたことがあるテストは多くあると思います。四肢すべて集めると軽く100は超えるのではないでしょうか。ただ、これは研修医には正直不可能と思っています。非常に微細な所見をみて陽性か陰性か判断するため、経験がかなり必要となります。整形外科をローテーションした研修医にはスペシャルテストがいかに難しいかを肌で感じることができると思います。

私は研修医に視診・ROM・圧痛をカルテに明記できれば合格と常々いっています。スペシャルテストはそれこそ、専門(指導医)に任せれば良いのです。とはいえ、圧痛やROMも経験を要します。残念ながら、四肢の異常を患者さんが訴えても、何を診察すればわからずに身体所見に「疼痛」だけが記載されているカルテも見受けられます。そうやって思考を停止させず、最初は上手くできなくても「視て、触る」をやりつづけることです。そのいう小さな経験を積み重ねることが正確な診断への近道だと思っています。

整形外科 相澤

麻酔科ローテーションの紹介 脊髄くも膜下麻酔

麻酔科で恒例となっている脊髄くも膜下麻酔の研修について紹介します。

 脊髄くも膜下麻酔は、手技としては腰椎穿刺の延長上にあるものです。腰椎穿刺は初期研修の必修手技と国が定めています。これは髄膜炎の診療がプライマリーケアの一部として重要視されているためでしょう。
 当院の初期研修では1年目に1ヶ月必修として麻酔科をローテートしており、その中で脊髄くも膜下麻酔に積極的に取り組んでもらっています。この研修における特徴は、「課題に沿った自己学習」と「口頭試問による評価・補足」です。ただ手技に取り組むのではなく、きちんとした知識を身につけたうえで取り組んでほしい。そのために考えた方法です。
 講義でなく自己学習という形をとるのは、主体的に勉強することで知識がより良く定着すると考えたからです。口頭試問では1時間ほどかけて課題に対する回答・背景知識・思考過程を問います。不足があれば私が解説して補い、必要な知識を完成させます。麻酔科をローテートするのは毎月1-2名なので、こうしたきめ細かい方法が可能になります。
 実際の手技を行う段階においても研修医各自が熱心に取り組んでおり、自己学習が一層の積極性を生んでいるのではないか、と感じています。幸いなことに研修医からも、この研修スタイルに高い評価を得ています。

 研修医の自己学習の成果や思考過程を問う口頭試問では各研修医の個性にも接することができ、指導医の私にとって重要な時間になっています。今年も多くの研修医と接することを楽しみにしています。

麻酔科上級医

手稲渓仁会病院 臨床研修部

手稲渓仁会病院 臨床研修部ブログへようこそ<>医学生のみなさん、こんにちは!
手稲渓仁会病院 臨床研修部 Resident’s Blog Teamです。
この度当院では、研修医ブログを開設いたしました。
未来の研修医のみなさんを対象に、当院の教育活動などたくさんの情報を発信していきますので、是非サイトに遊びにいらしてください。
今後ともよろしくお願いいたします!

2019年9月
TKH Resident’s Blog Team

さて、早速講演会のご案内です。
英語教育を1つの特徴としている当院では、外科と英語に興味がある医学生を対象とした毎週のオンライン勉強会に加えて、海外での臨床に関心がある医学生および研修医を対象とした、海外で活躍している先生によるWeb講演会を2−3ヶ月に1度の頻度で開催しています。Web講演会の第三弾は当院OBで産婦人科医の竹中裕先生です。国境なき医師団やJICAでの活躍など興味深いお話が聞けると思います。9月28日土曜日、日本時刻朝8時から1時間、どこからでもWeb上で聴講できますので、奮ってご参加ください。もちろん無料です。参加には事前登録が必要ですので登録をお願いいたします。今回の講演は、研修医や医学生を主たる対象としていますが、医療関係以外の方も参加可能ですので、たくさんのご参加をお待ちしています!
ご不明な点がありましたら、遠慮なくお寄せください。
どうぞよろしくお願いいたします。 

外科 今村清隆

 
Zoom Video
Welcome! You are invited to join a meeting: 9月28日竹中裕先生講演会『産婦人科医 世界で働く』. After registering, you will receive a confirmation email about joining the meeting.
竹中先生の活動をWebでお話しいただきます。