私たちは無意識のうちに取り巻く環境の変化を感じ取り、認識し、判断をし、また記憶としてとどめ、適切な動作により対応しています。これらの一連の動きは脳・脊髄・末梢神経および筋の巧緻なネットワークにより成り立っています。このネットワークのどこかに炎症や変性などの病的プロセスが生じ、そのために体を動かしたり、感じたりする事や、考えたり覚えたりすることがうまくできなくなったときの病態を診断・治療を受け持つ内科の重要な領域が神経内科です。
症状としては手足のしびれやめまい、ふらつき、筋力低下、筋のツッパリ、歩きにくい、しゃべりにくい、むせ、ものが二重にみえる、ひきつけ、頭痛、勝手に手足や体が動く、ものわすれ、意識障害など多彩です。
まず、全身の状態を把握し、病気が神経内科領域の病気であるかを見極めることが大切です。その上で、たとえばしびれや麻痺の原因が骨や関節の病気であれば整形外科に、脳・脊髄の障害による場合で手術などが必要なときは脳神経外科に、精神的、心因的な原因があれば精神科にご紹介します。また、見たり聞いたりすることの障害は眼科や耳鼻科の病気の場合もありますが、これら関連領域の情報を総括し、病態の原因、病巣診断を的確に行い、看護、リハビリテーション、栄養管理も含めた治療計画を立て、病初期から終末期に至るまで、病期に応じた切れ目のない診療を行うのが神経内科医の重要な役割です。
神経内科総合医療センターの特徴
- 症状の発症から外来での詳細な神経学的診察、各種検査による診断、入院治療、退院後の継続的なフォローアップや在宅療養支援などを動員し、患者さん・ご家族をお支えします。
- 医師・看護師をはじめリハセラピスト、薬剤師、検査技師、MSWも含めた事務職といった専門職がチームとして連携しながら患者さん、ご家族により良い療養生活をお送りいただけるよう、日々研鑽に励んでいます。
なお、総合医療センターとして当院に特徴的と思われる診療内容を以下に列記します。
1.嚥下機能の低下→嚥下性肺炎の予防・治療
嚥下機能(VF,VE)の事前評価と対策・リハ
口腔機能の評価、歯科的対応
嚥下性肺炎の治療
2.転倒骨折、フレイルの予防
歩容改善にリハ、在宅調整
骨密度の評価(DEXA)、積極的治療
3.認知症の対策
治療可能な認知症の検出、NPH、甲状腺疾患を見逃さない
MRIによる無症候性脳梗塞の検出、脳血管障害性認知症の早期発見、治療
病型の分類(RI検査と高次機能検査の充実)と対応する薬剤治療、リハ
睡眠時無呼吸の検索とその対応
せん妄に対する対応 抗精神病薬、ベンゾジアゼピンは極力避ける
早朝高血圧、夜間の降圧薬、眠剤過多による低血圧の検出、ふらつき、転倒予防
4.栄養管理の重要性
食形態の工夫 栄養補助剤の効率的使用