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七夕:月の舟が天の川を渡る

2022.05.19

令和4年(2022年)4月に西円山病院のホームページがリニューアルされました。過去のブログの内容は、そのまま引き継いでいます。以前の仕様では、動画を使用するにはYOUTUBEを用いる必要がありました。そのため試みてなかったのですが、このリニューアルによって外部にリンクせずに動画を使うことが出来るようになりました。

 

2019/08/30の記事「暦のこと(1)」の中で「七夕」に触れ、「月の舟が天の川を渡る」ことを説明しました。この部分は動画があると分かり易いので、そこを書き直しました。全体像は過去記事を参照してください。

 

令和元年(2019年)には暦上の面白い月(month)がありました。8月1日が「旧暦7月1日」に相当したのです。旧暦と新暦で「1日から始まる日付」が一致したということです。めったにないことですが、このようなことは今年(2022年)は3回もあります。2月1日が「旧暦の1月1日」、4月1日が「旧暦の3月1日」、5月1日が「旧暦の4月1日」です。旧暦では月の形が暦そのものを示しました。旧暦の1日目は必ず新月から始まります。新月とは「見えない月」です。存在するのですが、太陽が真後ろに位置するために地球から見ると全てが影側になるからです。夜空には星だけしかなくて真っ暗です。月の周期は29.53日なので、初日が旧暦と一致する月(month)が大の月(31日ある)の場合は新月が2回あります。この新月の時とは逆に、15日目の満月は明るい夜です。盆踊りは旧暦7月15日の明るい夜に行われました。

 

内地(本州のこと)では七夕は7月7日(新暦)ですが、北海道では8月7日(新暦)です。すでに書いたように令和元年(2019年)の8月7日は「旧暦7月7日」に相当しました。北海道の令和元年は、旧暦の七夕と新暦(現在)の七夕が一致していたわけです。旧暦7月の「上弦の月」は、深夜に西に沈む時(月没)に右下の半分が見えます。七夕の月(moon)は「上弦の月」の少し前です。

 

七夕の話は遣唐使によって伝わったそうですが、最初から今の内容だったとは限らないようです。月(moon)と天の川の逸話については日本で加わったのかもしれません。「月のこよみ2019」によると、月(moon)にまつわる話として、旧暦7月7日に見える月を「水面に浮かぶ舟」に見立てたようです。七夕の日に、年に一度だけ天の川の西岸に住む織姫(機織りの名手)が、東岸に住む彦星(牛使い)に会いに行きます。織姫とは天の川の西側にある琴座のベガ(織姫星)で、彦星とは天の川の東側にある鷲座のアルタイル(牽牛星)です。この2つと白鳥座のデネブを結ぶのが「夏の大三角」です。夏の空に輝いています。

 

月(moon)の通り道は決まっていて白道(はくどう)と言います。太陽の通り道は黄道(こうどう)です。月(moon)は旧暦7月7日の形から翌日頃に「上弦の月」となり、さらに形を変えながら約1週間かけて「天の川」を西から東へ横切ります。その際、ベガ(織姫星)とアルタイル(牽牛星)の近くを通ります。このことで、織姫を乗せた月の舟は彦星の住む東岸に向かうのです。

 

映画「ティファニーで朝食を」の挿入曲である「ムーンリバー」は「七夕の歌」ではありませんが、まさしく七夕の頃はムーン(月)の舟がリバー(天の川)を渡ることになります。昔は娯楽が少ないでしょうし、このような天体ショーに感動していたのだと思われます。

 

私の手元に「STELLAR WINDOW」という天体シミュレーションのアプリケーションがあります。このアプリケーションでは特定の日時の天体をシミュレートすることができ、また地球上のどこからでも観測する設定ができます。そこで愛媛県松山市から見える月の位置を調べてみました。時刻は21時で固定しました。次に示す動画は2019年8月7日(旧暦7月7日)から8月14日(旧暦7月14日)までの1週間を示します。「夏の大三角」は細線で示しました。この時期に月(moon)が天の川を横切る様子が分かります。このアプリケーションでは月の形までは示してくれないので、月を合成しました。まさしく月の舟が天の川を渡ります。8月7日(旧暦7月7日)の月(moon)は上弦の月(半月)の少し前です。これが次第に形を変えながら天の川を横切ります。8月14日(新暦)には待宵月(まちよいづき)になります。翌15日が満月です。この旧暦7月15日には盆踊りがありました。

 

 

 

 

夜空の星は地球との相対的位置関係により見え方が変化します。1時間で15度だけ西の方に移動していきます。1日24時間として15度×24=360度であり、これは地球の自転のためです。また、地球は太陽の周りを1年かかって公転します。このためだと思いますが、「星の出」は1日あたり4分だけ早くなるそうです。ですから翌日の同じ時刻には、夜空の星は西方向へ1度だけ移動します。先に示したシミュレーション動画にて、天の川が少しずつ西にずれていくのはこのためです。

 

moon_640

 

【月の和名】

 

旧暦1日(月齢0)
~新月しんげつ(朔さく)

 

旧暦2日(月齢1)
~二日月ふつかづき(繊月せんげつ)

~繊維のように細いから

 

旧暦3日(月齢2)
~三日月みかづき(眉月まゆづき)

~女性の細い眉のようだから

 

旧暦8日頃(月齢7.38)
~上弦の月じょうげんのつき(弓張月ゆみはりづき)

 

旧暦13日(月齢12)
~十三夜月じゅうさんやづき

 

旧暦14日(月齢13)
~待宵月まちよいづき(小望月こもちづき)
~十五夜を待つ宵の月、望月に少し足りないので小望月。

 

旧暦15日頃(月齢14.77)
~満月まんげつ(望月もちづき、十五夜じゅうごや)
~夏の満月は低く、冬の満月は高い位置に出る。
~旧暦8月15日には程よい高さにあり空気も澄んでいるので「中秋の名月」と言う。

 

旧暦16日(月齢15)
~十六夜月いざよいづき
~いざよい=なかなか進まない

 

旧暦17日(月齢16)
~立待月たちまちづき
~月の出は少しづつ遅くなる。立って待っていれば出てくる月。

 

旧暦18日(月齢17)
~居待月いまちづき
~もう少し月の出が遅れるので座って待つ月。

 

旧暦19日(月齢18)
~寝待月ねまちづき(臥待月ふしまちづき)
~もう少し月の出が遅れるので寝ながら待つ。

 

旧暦20日(月齢19)
~更待月ふけまちづき
~さらに月の出が遅くなるので夜が更けるのを待つ必要がある。

 

旧暦23日頃(月齢22.15)
~下弦の月かげんのつき(弓張月ゆみはりづき、二十三夜にじゅうさんや)

 

旧暦26日(月齢25)
~二十六夜にじゅうろくや(眉月まゆづき)

 

旧暦30日(月齢29)
~三十日月みそかづき(晦日月みそかづき、晦つごもり)
~つごもり=月篭り(つきごもり)

 

旧暦1日(月齢29.53=月齢0)
~新月しんげつ(朔さく)