低侵襲心臓血管外科手術の種類
【血管の病気】
大動脈瘤
動脈硬化によって、大動脈の一部が瘤状に膨らむ病気です。自覚症状はほとんどありませんが、進行して大きくなると破裂することがあり、破裂した場合の死亡率は高い、恐ろしい病気です。
低侵襲な手術の選択肢は…
ステントグラフト内挿術
- 腹部大動脈ステントグラフト内挿術(EVAR)
- 胸部大動脈ステントグラフト内挿術(TEVAR)
低侵襲心臓血管手術(MICS)
- 胸骨部分切開下弓部大動脈人工血管置換術(MICS-TAR)
【心臓の病気】
弁膜症
心臓の4つの部屋(心室・心房)には、血液の流れを一定方向にするため、各部屋に弁膜という扉が付いています。弁膜症とは弁膜の異常の総称で、扉の動きが悪くなると出口が狭まり(狭窄)、扉が閉じない、または壊れることで逆流(閉鎖不全)が起こります。
心房中隔欠損症
先天的な心疾患の1つで、右心房と左心房を仕切る壁に穴が空いているものです。自然にふさがらない穴の場合は、血液の交通(シャント)を防ぐため手術でふさぐ必要があります。
虚血性心疾患
心臓を収縮・拡張させる筋肉(心筋)に酸素や栄養を送り込む冠動脈が、動脈硬化などによって狭窄・閉塞し、心筋に血液が行かなくなることで起こる病気です。心筋に血液が不足するのが狭心症で、進行して完全にふさがると心筋梗塞となります、また、心筋虚血によって筋肉の収縮力が弱まるのが虚血性心筋症です。
低侵襲な手術の選択肢は…
低侵襲心臓血管手術(MICS)
- 右肋間小開胸下僧帽弁形成術(MICS-MVP)
- 右肋間小開胸下心房中隔欠損孔閉鎖術(MICS-ASD closure)
- 左肋間小開胸下冠動脈バイパス術(MICS-CABG)
当科は2018年3月にロボット心臓手術関連学会協議会の認定施設となり、
ロボット支援下での心臓手術を開始いたしました。ニューハート・ワタナベ国際病院と協力関係を持ち進めております。
当院では、早くからステントグラフト内挿術をはじめとした血管内治療や、人工心肺を利用しない手術などさまざまな技術を取り入れ成功例を重ねてきました。また、ハイブリッド手術室の導入や、医師・看護師・臨床工学技士・リハビリスタッフなどを含めたチーム医療の構築など、設備・体制面も強化を進めてきました。
その結果、常に患者さんのメリットとなるようなひと工夫を加えた“一歩先行く”低侵襲の心臓血管外科手術を実施し続けています。