導入例①前立腺がん(保険適用)
前立腺全摘除術において
1000例の実績(2023年6月現在)
転移のない前立腺がんを完治させるためには、手術による前立腺の全摘は確実で安定した標準的治療法とされています。しかし開腹手術で行うと手術創が大きく痛みが強い上に、術中の出血量が多く術後の尿失禁も多いことが問題でした。近年では腹腔鏡手術がさまざまな領域で増えていますが、通常の腹腔鏡で前立腺全摘を行うには手術の動作に制約があり、術後の尿失禁や機能障害を避けるのは、とても難度の高い手術となっていました。
当院では、2011年11月から泌尿器科でda Vinci(ダビンチ)を用いたロボット支援下前立腺全摘除術(RARP)を開始しました。この方法は、手術中の出血が少なく、術後の尿禁制や性機能の温存に優れ、合併症も少ないことが特長です。がんの治癒率が高い上に、開腹手術に比べて体の負担が少なく、入院期間も従来の半分程度に短縮することが可能になりました。
2012年の保険適用承認後は、すべての前立腺全摘除術をda Vinciで実施しており、その累積症例数は2023年6月で1047例となりました。詳しくは「泌尿器科」の紹介ページをご参照ください。
連携によって手術の安全を高める
専門スタッフ集団「チームダヴィンチ」
新しい医療技術を開始するにあたって、その安全性を確保するために手術に携わる泌尿器科医、麻酔科医、看護師、臨床工学技士に加え、眼科医、皮膚・排泄ケア認定看護師、事務スタッフにより「チームダビンチ」を結成。各職種が連携して手術の遂行に当たるだけでなく、日常より技術トレーニングを重ねて安全性を高めています。これまで当院は2015年から2022年3月までIntuitive社認定の見学指定施設を務めた他、現在も5名の泌尿器科医師がda Vinci手術の認定ライセンスを取得して執刀にあたり、日本泌尿器内視鏡学会による「ロボット手術指導医(プロクター)」の資格認定を受けた医師が複数名在籍しております。このように、当院では医師やコメディカルスタッフの育成に留まらず、他施設での手術支援ロボット導入時の指導やフォローを積極的に実施し、北海道全体の医療技術の進歩と発展にも貢献しています。
ロボット支援下前立腺全摘除術(RARP)の流れ
泌尿器科は紹介型・完全予約制ですので、現在診療を受けている先生からの紹介状をお持ちください。
手術前日に入院
- da Vinci手術
- 全身麻酔下での手術となります。
- 退院
- 手術の翌日からベッドより離床して自力で歩くとともに水分摂取や食事を開始し、5日目に尿道カテーテルを抜去します。順調に経過した場合、1週間後に退院が可能です。