診療体制
2021年6月現在の医師スタッフ数は、消化器内科医19名、放射線科医3名の計22名です。
診療体制は、3つのグループ(消化管、肝臓、胆・膵)に分け、専門性の高い診療を行っています。
消化管チーム
内視鏡精密診断、内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)の他、化学療法、炎症性腸疾患、救急疾患(吐血、イレウスなど)を幅広く扱っています。内視鏡検査は、苦痛が少なくクオリティの高い検査を目指しており、鎮静剤やお腹の張りづらい炭酸ガスを積極的に利用しています。内視鏡治療数は年々増加しており、ESD件数も年間180件を超えています。当科では、NBI拡大観察や酢酸インジゴカルミン法による精密診断を行ったうえでESDを行っています。ESD後は実体写真の撮影や病理組織との対比までを行い、一例一例に対してミクロレベルで真摯に向き合っています。主に扱っているのは消化管がん(食道がん、胃がん、大腸がんなど)であり、早期がんから進行がんまで、包括的に扱っております。
2021年度1年間の消化管がんの症例数は、食道がん125例、胃がん211例、大腸がん250例であり、このうちESDを施行した件数は食道21件、胃79件、大腸87件です。
肝臓チーム
肝臓チームは2022年6月現在8名(内科医5名、放射線科医3名)であり、肝炎から肝がんまで幅広く診療しています。急性肝炎の中でも劇症肝炎は道内の様々な地域よりご紹介があり、集中治療室の医師や北大移植外科と連携しながら集中学的治療を行い良好な成績を保っております。また、肝がんに対するラジオ波焼灼療法の症例も多く、人工胸腹水下、腹腔鏡下など様々な工夫をしながら試行しています。このほか肝がんに対する治療として、肝動脈化学塞栓術や分子標的剤など幅広くおこなって患者さんの予後を少しでも伸ばせるよう努力しています。また食道静脈に対する内視鏡的硬化療法・結紮術なども積極的に行っております。
胆・膵チーム
胆・膵チームは2022年6月現在11名で診療しております。当チームでは、精度の高い画像診断と内視鏡診断・治療に力を入れるとともに、難治性である膵・胆道がんに対して、術前・術後を含めた化学(放射線)療法を、外科や腫瘍内科、放射線治療科と協力して積極的に行っております。画像診断については、各種画像検査や内視鏡検査を駆使し、膵・胆道病変に対する緻密な診断や膵・胆道がんの早期発見・早期診断に努めるとともに、小腸内視鏡を用いた術後再建腸管に対するERCP関連手技や、超音波内視鏡(EUS)を用いた経消化管的な胆道ドレナージや膵嚢胞・膵管ドレナージなど、最新の内視鏡治療にも積極的に取り組んでおります。これにより膵・胆道疾患の診療機会にも恵まれ、センター開設から現在までに膵がん2426例、胆管がん547例、胆嚢がん486例、肝内胆管がん224例、乳頭部腫瘍249例を診断・治療しております。内視鏡検査・治療については、毎年1000件以上の超音波内視鏡(EUS)検査およびERCP関連手技を施行しております。EUS関連手技(Interventional EUS)の実施件数も年々増加傾向であり、2021年度は108件でした。