遺伝性乳がん・卵巣がん症候群
遺伝性乳がん・卵巣がん症候群(Hereditary Bresat and Ovary Cancer Syndrome;HBOC)について
日本人女性の乳がん罹患者数は年々増加しており、2017年では90,000人以上となっています。5~10%が遺伝性であるといわれ、その中で、BRCA遺伝子変異が関係しているとされるHBOCの割合は3~5%程度とされています。
近年、この疾患に注目が増しているのは、いくつかの理由があります。
一つは、HBOCの人に発生する乳がんに特異的によく効く薬が投与可能になったことです。これは、転移再発乳がんの治療に限られますが、治療をうけるための遺伝子検査を保険診療で行うことができます。
さらに、2020年4月より、乳がん既往のある患者さんにHBOCの可能性のあるがんの場合、保険診療で遺伝子検査が受けられるようになったことです。これにより、がん発症高リスクを診断でき、がん予防の観点から様々な対策を行うことができます。
そして、HBOCであることが判明した場合、その血縁者にも遺伝情報を提供することができ、遺伝カウンセリングなどで適切な対処法をお伝えすることができます。
当院でもがんゲノム診療室にて、BRCA遺伝子検査を実施しております。HBOCは比較的高頻度に存在する遺伝性疾患であり、乳がん、卵巣がんなど特定のがんの超高リスク者であることから、婦人科、腫瘍内科などと連携し、適切な対処をできるよう診療体制を構築しております。
HBOCについて気になる方、ご相談のある方は、担当外来にてお問合せください。