高度(体にやさしい)医療
当院では、患者さんの体のご負担をできるだけ軽くする治療(切開部分の最小限化など)を行えるよう努力しております。これは治療後の傷口の痛みの軽減や回復が早くなることにより、食事開始の早期化、体力回復の早期化、これらの相乗効果として、「早期退院が可能⇒早い社会(職場や家庭)復帰」ができること、また、入院期間の短縮によって患者さんの経済的負担(医療費)の軽減にもつながると考えております。さらに切開幅が小さい手術は、“治療後の見た目”“美容上のきれいさ”も長所のひとつになっています。
1.鏡視下手術(ロボット支援手術を含む) 2016年度~2020年度
〈鏡視下手術総件数〉
総件数には臓器(前立腺、消化管、腎臓、肺など)や筋・骨格(関節、半月板など)を含めた当院で行った全ての鏡視下手術が含まれます。
〈主な術式別件数〉
当院で行った鏡視下手術のうち実施件数の多い『消化器外科』・『婦人科』・『呼吸器外科』に的を絞って抽出しています。
通常は手術といえば、おなかを切る「開腹」あるいは胸の場合は「開胸」という10cmから20cm以上の切開をして、おなかや胸の中を直接見ながら手術を行います。
「鏡視下手術」とは、小さな切開から体の中を見るための小さなカメラや手術器具を使って行う手術です。多くの場合1cmほどの切開が3~5カ所と、手術によっては切り取った臓器を取り出すための5~6cmの切開で手術が行われます。
この手術の一番の特徴は切開幅が小さく、術後の痛みが少なく患者さんの体にかかる負担が少ないので、手術後の回復が早くなり、早期退院が可能となります。
ただ、すべての患者さんが受けられる訳ではなく、以前に同じ場所の手術を受けられた方や、強い炎症を起こされたことのある方などは、この手術ができない場合があります。また、直接見ることができず、手で触れることもできないため、より慎重な操作が必要となることから、通常の開腹(胸)手術に比べて時間がかかってしまったり、時には途中からでも開腹、開胸手術に移行しなくてはいけないことがあったりもします。
当院では患者さんの状態を鑑み、一番良い治療法を選択してまいりますので、気兼ねなくご相談ください。
2.先進的医療
当院では、以下の「体にやさしい手術(高難度)」を行っております。
ただし、該当するすべての症例に実施できるわけではなく、病態や現在かかっている疾患等によって異なります。
●ミックス(MICS)
胸を大きく切開して行う心臓手術を、できるだけ小さな切開で行う術式のことです。具体的には肋骨と肋骨の間(肋間)を数cmほど切開する左肋間小開胸で行います。
通常の開心術と違い胸骨を切らないため、出血が少なく、傷の感染のリスクもほとんどありません。また、通常の開心術では、手術後は肉体労働や運動の制限(数カ月間)がありますが、ミックスはそれらがほとんどありません。そのため、早期リハビリが可能となり、早期社会(家庭)復帰が可能になります。
※診療実績等はこちらをご参照ください。
●タビ(TAVI)
2014年6月に道内では初の『経カテーテル的大動脈弁留置術(TAVI)』を開始し、2018年11月現在では150症例を超える手術を行っています。
当院では循環器内科・心臓血管外科・麻酔科の医師と看護師・臨床工学技士・診療放射線技師・臨床検査技師などの職種でハートチームを結成しTAVIの治療にあたっています。
※治療に関する詳細はTAVI(経カテーテル的大動脈弁留置術)をご覧ください。
●アンプラッツァー(Amplatzer)
心房中隔欠損症に対して行う手術(医療材料名)の名称です。
心房中隔欠損とは、左右の心房の間の壁に穴(欠損孔)が開いて、左心房から右心房への血液のもれが生じる病気です。
治療は手術にて行います。通常は胸を切開し、心臓に人工心肺を装着して開心術を行い、欠損孔を閉鎖します。
しかしAmplatzerは、足の付け根の静脈からカテーテルを通して心臓まで進め、心臓内で閉鎖器具を使用して穴を閉じる方法です。手術と比較して体への負担が格段に少なく、術後の早期回復が見込めます。
〈アンプラッツァー実施件数〉