確実な治療を行うために
正しく病変の範囲を知るために
精密な術前診断を実施
ESDは任意の範囲を切除できますが、切除する範囲の診断を誤ると不完全切除となります。早期の胃がんは範囲診断が難しい場合が多いため、さまざまな手法で術前の精密診断を行っています。
酢酸+インジゴカルミン散布法
インジゴカルミンは人体に無害な青色の色素液です。インジゴカルミンを散布すると、色素が凹凸にたまることで病変部が強調されます。
一方、酢酸はいわゆる「お酢」です。1.5%に薄めたお酢を散布すると化学反応により粘膜が白濁化しますが、癌部ではこの白濁化が速やかに解除され赤色調に描出されます。
また、両者を組み合わせることにより更に境界を認識しやすくなることがあります。
NBI(Narrow-Band Imaging、狭帯域光観察)
拡大観察法
NBIは、光の波長を制御して血管や表面構造を強調して映し出す内視鏡の最新テクノロジーです。NBIと拡大内視鏡を組み合わせることによって粘膜の微細な表面構造や血管構造が観察可能となりより精密に癌の境界を認識できるようになります。ただし、その観察や所見の判断には術者の熟練を要します。
範囲診断の他にも、がんの根の深さを判断する深達度診断など、ESD前の精密診断は多岐にわたります。食道や大腸にも特有の精密診断法があり、当センターではそれぞれの診断法を駆使して最善の治療を行えるよう心掛けています。