第20話「ステロイド」
ステロイドとはどのような薬でしょうか
ステロイドは副腎皮質から分泌されるホルモンの一つで、体の中で多様な生理作用があり、抗炎症、免疫抑制、抗アレルギー作用があります。この抗炎症作用に着目して、さまざまな種類のステロイド剤が開発されました。また、化学構造を変えることによって、薬の作用時間や効力比が異なり疾患・病態に応じて使い分けをしています。
ステロイドはどの病気に使われますか
ステロイドは自己免疫性疾患の一種である膠原病(こうげんびょう)や気管支喘息、腎臓病、皮膚病、アレルギー疾患などさまざまな病気の治療薬として用いられます。
その他にも、悪性腫瘍に対して抗腫瘍効果を目的として投与するケースや、がん化学療法による悪心(おしん)(吐き気)・嘔吐の予防などにも用いられています。これらの病気は全く別々の症状を示しますが、ステロイドは炎症・免疫・アレルギーを抑える作用があるために、これらの病気に治療効果をあらわします。
副作用について教えてください
ステロイドを内服もしくは注射した場合、免疫機能の低下によって、感染症にかかりやすくなるおそれがあります。また糖尿病の発症・症状の悪化や不眠、イライラなどの精神変調、骨粗しょう症や消化性潰瘍、満月様顔貌(まんげつようがんぼう)(ムーンフェイス)、にきび、多毛などがあります。
治療中は重篤な副作用につながるおそれのある感染症を予防することが大切です。うがい・手洗いの励行、外出の際にはマスクを着用するなど、感染症予防を行うことが必要です。血糖値の上昇に対しては、食事制限やインスリン注射を行うこともあります。
ステロイド治療中は、薬を飲み忘れたり急に中止することで、症状の悪化や全身倦怠感などが起こるおそれがあります。ご自身の判断で服薬量を調節したり、中断することを避けて、定められた用法・用量を守っていただきたいと思います。