第19話「腎臓と薬」
腎臓の弱った方は薬に注意しなければならないと聞きますが?
腎臓は身体の老廃物を尿として排出したり、体内の水分量を調整するなど多くの役割を持っています。一方、薬は腎臓から排泄されて体から消失するものと、肝臓で代謝されて無毒化されるものの2つに大きく分けられます。薬の量は排泄機能などが正常な人を基準として設定されているため、腎臓の機能が落ちると、腎臓から排泄されるタイプの薬は必要以上に蓄積され副作用が生じることがあります。中には弱った腎臓をさらに弱めてしまう薬があります。一方で、複数の医療機関や異なる診療科を受診する場合、腎臓の状態を把握できないまま薬が使われてしまうこともあります。
問題となる薬にはどのようなものがありますか?
必要以上に蓄積されて困るものとしては、例えば胃薬などに用いられるアルミニウムやマグネシウムといった成分です。胃薬の成分の一つであるスクラルファートにはアルミニウムが含まれており、胃が酸性になりすぎるのを抑える働きをします。アルミニウムは骨や脳に蓄積されやすく、たまり続けると脳に障害が起こったり、骨がもろくなったりします。またマグネシウムは蓄積されると吐き気が生じたり、不整脈を招くことがあります。
さらにサプリメントでは、その成分や添加物の内容や量が十分に表示されないことが多いので、腎臓が悪い人の場合、気づかずに特定の成分がたまりすぎてしまうなど注意が必要です。なかでもサプリメントとして青汁を飲用されている方も多いと思いますが、これに多く含まれているカリウムは蓄積すると不整脈の原因となります。
痛み止めの多くは腎臓の血流を下げ、腎臓が悪くなるのを助けてしまいます。そのため痛みがないのに漫然と医師に処方を依頼するのはおすすめできません。
どのように気をつけると良いのでしょうか?
一般の方がご自身の判断でお薬を調整することは、今行っている治療に支障が生じるなど危険を伴います。それより、腎臓の機能が低下していると指摘された場合には、その情報を他の医療者にもご自身からきちんと伝えることが大事になります。そのことで、他の医療機関でも腎臓に注意してお薬を処方してもらえますし、腎臓のことで何か異変が生じれば専門の先生と連携を取ってくれます。薬局の薬剤師が知ることで、注意するべき薬剤に関してはお薬手帳などからチェックしてくれますし、サプリメントについても注意点などのアドバイスをしてくれます。