薬剤部 お薬のお話
医療法人 渓仁会 手稲渓仁会病院

薬剤部Homeお薬のお話>第18話「妊娠と薬」

18「妊娠と薬」

妊娠中に薬を飲むとどのような影響があるのでしょうか

まず妊娠4週目までは、まったく薬の影響はないとされています。受精した卵子が分裂を繰り返し、妊娠に向かう期間ですから、仮に薬の影響があれば妊娠に向かいません。逆に妊娠した≠ニいうことは薬の影響がなかったと考えられるのです。

4週目から4カ月目まではさまざまな臓器が形づくられる時期で、薬の影響による奇形が問題になる期間となります。そして4カ月目をすぎると薬の悪影響は赤ちゃんに対する毒性として考えます。このように妊娠と薬の関わりを考える場合には、今お腹にいる赤ちゃんがどんな時期なのかを考えることが大切になります。

薬をまったく飲まなくても、赤ちゃんが元気に生まれてくる可能性がいつも100%というわけではありません。一方で薬は病気を治すものですから、もちろん飲むことのメリットもあります。私たちは、こうしたさまざまなメリットとデメリットのバランスから薬の必要性を考えます。

市販薬はいかがでしょうか

市販薬を飲んでしまったからといって、必ずしも心配する必要はないでしょう。ところが、市販薬の注意書きを読むと多くは「妊娠中は使用しないでください」と書いてあります。よく言われることですがないことの証明≠ヘきわめて難しく、これらは危険がないことを証明できていないことを意味しています。結果として「使用しないでください」という表現になっていることが多いのです。しかし、かぜ薬に含まれる一部の成分は、妊娠後期に避けた方がよく、注意が必要です。

病院から続けてもらっている薬でも、場合によっては悪影響のある薬もありますが、例えばぜんそくの薬は、飲み薬から赤ちゃんへの影響が少ない吸入薬に変えるという方法もあります。持病のある方は病院にかかっていることでしょうから、医師や薬剤師に十分に相談してください。定期的に薬を飲んでいることを理由に子どもをあきらめることはありません。

それでも親としては不安がぬぐえません

もっともです。続けて飲んでいる薬や、妊娠を知らないで飲んでいた薬など、個別の不安や問題に対し、国立成育医療研究センターでは個人からの電話相談を受け付けています。また薬の情報を随時公開していますので参考にするとよいでしょう。それでも不安を解消するもっともよい方法は、やはり身近にいる医師や薬剤師に相談することです。「大丈夫かな」と思って飲むより、「大丈夫だよ」と言われて飲む方が安心です。飲む前、そして飲んだ後にも、私たちにぜひ相談してください。

手稲渓仁会病院 薬剤部