第17話「喘息(ぜんそく)の薬」
喘息の薬にはどのような薬があるのでしょうか
喘息とは気管支の慢性的な炎症によって気管が狭くなり、咳(せき)が出たり、呼吸が苦しくなる疾患です。季節や一日の間でも症状が出やすい時間があったりと変動性のあることも特徴です。喘息の薬は、発作が起こらない土台をつくる長期的な管理のための薬と、発作が起こったときに抑える緊急時の薬の二つに分けることができます。長期的に管理する薬では、炎症を抑えるためのステロイド吸入薬が最初の選択肢となります。その次はアレルギーに対処する薬、気道を拡げる薬など原因に応じてさまざまな方向から対処していきます。このときに大切なのは発作がないからといって薬を止めないことです。土台づくりのための薬ですから、薬を止めて土台が弱ると簡単に発作が起こるようになります。またステロイドは体の免疫作用を落とすことでアレルギー反応を抑えるものであることから、細菌やカビ(真菌)に対する抵抗力が衰えることがあります。ステロイド吸入薬の使用中はうがいの励行をお願いしています。
発作を抑える薬について教えてください
発作が起こったらすぐに気管を拡げなければなりません。少し専門的になりますが、この場合は主に短時間作用型吸入β2(ベータツー)受容体刺激薬という薬を使います。交感神経のβ2受容体を刺激することで気管を拡げる作用がある薬で、商品名ではサルタノール、メプチンが知られています。この薬で注意していただきたいのは、発作が起こったらすぐに使用することです。β受容体は心臓にも作用することから、この薬を吸入すると脈が早くなったりすることがあります。それを嫌ってぎりぎりまで薬を我慢する方もいますが、一度発作が高いレベルに達したら改善は容易ではありません。発作を抑えるために何回も使うことになってしまいます。発作が起こるタイミングで使うとよく効く薬ですので、できるだけ早く使用することが大切です。それでも何回も使わなければ発作が治まらない場合は、土台づくりの薬を見直すことも考えなければなりません。
市販の咳止めは喘息に効きますか
喘息は気管支の炎症ですから、喘息を治すことと咳を抑えることは全く違うことです。市販の咳止めは喘息という病気の中で咳という症状を緩和する効果しか期待できません。しっかりと土台ができていないと発作が起こったときに薬を使ったとしても良くなりません。早期に治療を開始し、症状が出ていなくても継続することが大切です。