第8話「抗生物質」
抗生物質とはどのような薬でしょうか
抗生物質は、抗生剤、抗菌薬とも呼ばれますが、肺炎や腹膜炎、中耳炎など、微生物が人に感染し炎症を起こすことによって起こる病気、すなわち感染症の治療に使用する薬です。感染症の原因となる微生物には、細菌、ウイルス、カビの仲間などがありますが、一般的に抗生物質は細菌を死滅させる、又は増えるのを抑える作用をもつ薬の総称です。細菌とウイルスは構造が違うため、抗生物質はウイルスには効果がありません。このため一般的にウイルスによる感染症とされるカゼには抗生物質は効きません。しかしカゼと思われる症状でも細菌感染症を合併していることもありますので、そうした場合には抗生物質を使うことがあります。
どのような種類があるのですか
細菌が細胞壁をつくるのを阻害するもの、タンパク質をつくるのを抑えるもの、DNAを合成するのを抑えるものなどに大きく分けることができます。今日まで多くの抗生物質が開発されていますが、世界最初の抗生物質として有名なペニシリンは現在でもブドウ球菌などの細菌による感染症に用いられています。各抗生物質の特徴と原因の細菌、感染を起こしている部位などを考慮して適切な抗生物質を選んで使用しています。
副作用はありますか
下痢が代表的なものです。腸のなかでは多くの細菌がバランスを保って存在していますが、これに抗生物質が作用することで、そのバランスが崩れ、下痢を起こしてしまいます。またかゆみや発疹など、アレルギー性の症状を引き起こすこともあります。その他にも抗生物質の種類によって特徴的な副作用などもあります。抗生物質を飲んで調子が悪くなることがあれば、医師や薬剤師などにすぐに相談してください。
服用にあたって気をつけることは
多くの場合、感染症は薬を飲んで数日で症状は良くなってきます。この時に薬を途中で止める方がおられますが、定められた期間は必ず飲み続けてほしいと思います。症状が良くなっても、また感染症がぶり返すこともあります。ぶり返した場合に耐性菌と呼ばれる抗生物質の効きにくい細菌が増え、薬が効きにくくなる可能性があるため、感染症にかかったら、しっかりと治しきってしまうことが大切です。