第9話「鎮痛剤」
鎮痛剤にはどのような薬があるのでしょうか?
鎮痛剤は様々な種類があり、痛みの原因・状態によって使うお薬が異なります。
大きく分けると麻薬性鎮痛薬、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)、鎮痛補助薬に分けられます。麻薬性鎮痛薬としてはモルヒネがよく知られていますが、現在の癌治療においてはオキシコドン、フェンタニルがモルヒネと比べて多く使われています。これらのお薬は医師の処方がなければ用いることができなく、厳重な管理が義務づけられています。
NSAIDsは、作用時間や服用回数が異なるなど多くの種類があり、さまざまな痛みに対して使用されています。NSAIDsの代表的なものに、ボルタレン、セレコックス、最近薬店で購入可能となったロキソニンがあります。また飲み薬以外にも、塗り薬、貼り薬、座薬などの外用薬や注射薬もあります。鎮痛補助薬は、神経が障害されて起こる痛みや痺れ(神経障害性疼痛)の場合に使用されます。
鎮痛剤はどのように痛みを抑えるのでしょうか?
痛みは患部に炎症が起き、痛みを起こす物質(発痛物質)が生成されて起こります。麻薬性鎮痛薬は神経の伝達を抑えることで痛みを軽減します。NSAIDsは炎症を抑え、痛みの閾値※(いきち)を下げる物質ができるのを抑えることで痛みを軽減します。(閾値が下がる→痛みを感じやすくなる)
※ある反応を起こさせる、最低の刺激量
鎮痛補助薬は神経で痛みを起こす又は伝達を行う物質(伝達物質)が出るのを抑えるように働くものや、神経の伝達を抑えるように作用するものがあります。
麻薬性、NSAIDs、鎮痛補助薬はそれぞれお薬の効き方、効果のある痛みの種類が異なるので、併用して使用されることがあります。
副作用についてはいかがでしょうか?
麻薬性鎮痛薬の一般的に現れやすい副作用として、眠気、吐き気、便秘があります。眠気と吐き気は徐々に体が慣れてくるといわれていますが、便秘は服用期間中は常に起こりますので、早い時期から下剤を使うなどの対応が必要となります。NSAIDsは、腎臓や胃に対する副作用が一般的に知られています。NSAIDsの中には、胃に対する影響が少ないと言われているものもありますが、長期に服用すると影響が起こる可能性がありますので、胃薬との併用が勧められます。
最後に、NSAIDsの服用を避けた方が望ましい妊娠中の方や、高齢者、腎臓の機能が低下していると医師に指摘された方でも、医療現場で使用されるロキソニンと同じ成分の「ロキソニンS」を薬店で購入できるのが現状です。生理機能、合併症、他の薬との飲み合わせの観点から、鎮痛剤は身近にある薬ですが、使用には注意が必要だと思います。