第11話「漢方薬」
一般の薬と漢方薬はどう違うのでしょうか
一般薬(西洋薬)は、特定の病気に効く一つの有効成分だけでできている場合がほとんどです。複数の成分が必要なときは、複数の薬を組み合わせて使います。これに対して漢方薬は、草根木皮を中心とした天然物(生薬(しょうやく))からなり、多くの有効成分を持っていますので、漢方薬は、患者さまの体型や生活習慣などを見て、その方に合った薬が処方されます。そのため異なる病気に対しても、体質や症状が似ていれば、同じ漢方薬が用いられることがあります。
現代の医療で漢方薬はどのような位置づけなのでしょうか
現在国内では148種類の漢方エキス製剤が健康保険の対象となっており、多くの病院・クリニックで汎用されています。特に高齢者の病気や生活習慣病などの慢性疾患や婦人科疾患などで広く用いられています。最近では、がん治療に伴う食欲低下や痛み、しびれなどの副作用や体力低下に対して漢方薬が選択されることが多くなってきました。
漢方薬にはどのような種類があるのでしょうか
漢方薬のかたちとしては「湯剤(ゆざい)」「散剤(さんざい)」「丸剤(がんざい)」「軟膏(なんこう)」などがあります。現在、医療用として使われている漢方薬の多くは「乾燥エキス剤」です。生薬から漢方薬のエキスを(抽出し)乾燥させたもので、インスタントコーヒーのようなものです。西洋薬と違って新たな薬が次々に開発される状況ではありませんが、飲みやすく、使いやすいように改良が進んでいます。匂いにくせのあるものが多く、一度に飲む量が多いので飲みにくい場合にはぬるま湯に溶かしたり、少量の水で練ったりと工夫をしています。飲み方に困ったら相談してください。
副作用はあるのでしょうか
漢方薬には副作用がないと思われがちですが、漢方薬も薬ですので副作用はあります。西洋薬に比べると頻度は低いのですが、体に合わないとアレルギーや胃腸障害、食欲不振を招く場合があります。ごくまれに間質性肺炎(かんしつせいはいえん)などの重篤な副作用もありますので、おかしいなと思ったらすぐに医師や薬剤師にご相談ください。また漢方薬は飲み続けることで効果が現れてくるものもあるので、自分の判断で服用を止めてしまうことがないようにしてください。