第13話「解熱剤」
発熱はどうして起こるのでしょうか
風邪やインフルエンザにかかった時に、体に侵入してきた細菌やウイルスなどを白血球などの細胞が攻撃します。このような体を感染症から守る仕組みを免疫反応といい、発熱もその一つです。体温が上がると細菌やウイルスの繁殖は抑制されます。また白血球などの免疫細胞の働きが活発になり、外敵と闘う力が高まります。
細菌やウイルスなどの外敵と戦いが始まると、サイトカインという炎症物質が体内で作られます。これが血液の流れに乗って脳に達すると、プロスタグランジンと呼ばれる情報伝達物質が産生され、脳の体温調節を行う所から体温を上げるように指令が出ます。この指令により皮膚の血管が収縮したり、発汗を抑えたり、筋肉を震わせるなどして体温を上げます。このように発熱は身を守るための生体防御機能の一つです。熱が出たからといって、すぐに熱を下げなければならないということではありません。
解熱剤はどのような作用をするのでしょうか
解熱剤は体温を下げますが、病気そのものを治す訳ではありません。解熱剤の多くは体内のプロスタグランジンの産生を抑えて熱を下げます。プロスタグランジンは発熱以外にも痛みや炎症などに関与しているため、あわせて鎮痛、抗炎症作用があります。そのため解熱剤の多くは解熱鎮痛剤と総称されています。
解熱剤は病気の根本的な治療を行うものではありませんが、一時的に熱を下げて身体を楽にすることは体力を回復する上で必要な場合もあります。個人差はありますが、解熱剤を使う目安は、お子さんで38.5度以上、大人で38度以上です。ただし熱があっても辛くなければ解熱剤を積極的に使う必要はありません。
解熱剤を使うにあたって注意することは
インフルエンザの流行時期になりました。発熱時の安易な解熱剤の使用は身体を守る免疫反応を抑えてしまい、かえって症状を悪化させてしまう可能性があります。まず、十分な休養と栄養、水分の摂取、そして寒気が強い場合は体を温めること、熱が出てきたら腋(わき)の下や首の後ろを冷やすことなどが必要です。また子供に解熱剤を使うときは、大人用の解熱剤は使わないことです。小児に比較的安全に使える解熱剤はアセトアミノフェンという成分です。大人用の解熱剤にはアセトアミノフェン以外に様々な成分が含まれているので、子供に解熱剤を飲ませる際は小児用と記載されている薬を使うことをお勧めします。