医療法人 渓仁会 札幌西円山病院 神経内科卒後
後期研修プログラム
1. はじめに
2年間の卒後初期研修を含め、計3年の研修が終了した段階で日本内科学会認定内科医資格認定医試験の受験資格が得られる。認定内科医資格を取得後、引き続いて当院で研修することにより、日本神経学会および日本老年医学会の専門医資格の受験資格が得られる。当院における卒後臨床研修の当面の目的は、日本神経学会専門医資格取得ないしは 日本老年医学会専門医資格取得(卒後6年目以降に受験可能)であるが、本質的には、患者さんの診断から治療、総括的なケアも含め、内科学全般の知識を基盤とした地域医療への貢献、より高度の神経内科学、老年医学の実践であり、よりすぐれた専門医の養成である。
- 後期研修プログラムガイド(PDFファイル145KB)
2. プログラム指導者
医療法人 渓仁会 札幌西円山病院 神経内科総合医療センター長 千葉 進
3. 研修期間
神経内科、老年医学専門医コース(後期研修3年間以上)
4. プログラムの概要
病棟においては指導医とチームをつくり、入院患者の内科的、神経内科的問題点の把握のしかた、神経学的診察法の実際とその解釈、臨床補助検査の計画と実際、画像の評価等の詳細な診断学および治療の実際を学ぶ。これら日常の研修内容は、病棟総廻診、机上廻診、各種カンファレンスでその内容が検証され、より高レベルの臨床神経学の知識と実践のありかたを学ぶことができる。外来においても指導医の診療補助を通じ、入院を要するほどではないが、外来通院の要する、神経内科的な、いわゆるcommon diseases の診断・治療に精通できるように研修が組まれている。具体的には、
- 週一回の病棟総廻診、机上廻診、臨床画像検討会、脳波の読解、症例検討会に参加し、討論を通じ、理解を深める
- リハセンターとの合同カンファレンスに参加し、治療学としてのリハ医学を学ぶと同時に回復期リハセンターの機能をも生かし、各患者に最適な治療環境を提供するノウハウを学ぶ
- 神経学会、内科学会の地方会に積極的に症例報告を行い、まとめかた、文献の検索のしかた、簡潔かつ明快な発表のしかたを研修する。可能であれば論文にまとめ、投稿・査読に対する対応のしかたも学ぶ
- 国内外の学会、学術集会、講演会に積極的に参加し、最新の知識を学ぶ
- 将来の大学院進学にそなえ、周辺医育機関が主催する神経科学関連領域のリサーチカンファレンスも可能であれば参加し、基礎研究のノウハウも学ぶ
5. 臨床神経学の必須研修項目
- 神経学的診察が正確に行え、正常・異常の判断ができる
- 神経解剖・生理の知識の概略が理解できている
- 神経学的診察にもとづき、局所診断ができる
- 病歴・診察・検査所見から局所診断のみならず、病因の推定ができる
- 鑑別診断・確定診断のための検査プランがたてられる
- 推定した病因にもとづき、治療プランがたてられる
- 脳死の判定が可能である
- 上記の遂行のため、臨床検査の実際(電気生理検査、髄液検査、筋生検などの病理組織学的検査)の意義と実際を指導医のもとで学ぶ
- 薬物治療のほか、医学的リハビリテーションの内容を理解し、適切な指示リスク管理を行なうことができる
- 末期医療に関し、適切な精神的ケア、死への対応もふくめ総合的に対処できる
- インフォームドコンセント、患者のプライバシーの保護など患者・家族への対応が十分できる
- Co-medicalのスタッフと十分なコミュニケーションをとり、患者・家族に対する適切かつ心のこもった医療を実践できる
6. 日本神経学会卒後臨床神経研修到達目標(参考)
- 臨床神経
- 神経学的診察・局所診断・病因診断・検査治療プラン・脳死
- 鑑別診断
- 神経疾患
- 神経救急
- 関連領域
- コンサルテーション
- 治療
- 基本的治療法A
- 基本的治療法B
- 専門的治療法(専門的救急医療)
- 神経疾患治療薬・治療法
- 臨床神経生理
- 筋電図(針筋電図,末梢神経伝導検査,誘発筋電図,表面筋電図)
- 脳波
- 誘発電位
- 磁気刺激による神経生理学的検査
- 眼振図
- 神経放射線
- 画像診断学総論(原理と手技)
- 画像診断学各論(読影)
- 放射線治療
- 検査室検査
- 髄液検査
- 神経免疫
- 自律神経機能検査
- 神経遺伝学
- 神経病理
- 脳・脊髄
- 病因からの神経病理学的所見
- 組織学的所見
- 筋・末梢神経生検
- 関連臨床各科
- 脳神経外科
- 小児神経
- 精神科
- リハビリテーション(選択)
- 医療福祉
7. 後期研修後の進路
- 学位取得のための基礎研究開始
- 当院での固定勤務、あるいは他医療機関への就職、開業
- 国内外の臨床・研究機関への留学
お問い合わせ先
医療法人 渓仁会 札幌西円山病院TEL: 011-642-4121
担当: 千葉 進、小林 信義