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抑制しないケアの実際(医療療養病棟)(2024.12.09UP)

経鼻胃管での経腸栄養を行っている患者さんです。疾患の影響により右上・下肢に麻痺がありますが、左上・下肢の動きは活発でした。また、自身での危険察知、回避は困難な状況があり、自己抜去予防のため左上肢の拘束が行われていました。
当院入院後、患者さんの身体状況等をアセスメントした結果、意図的な自己抜去ではなく、無意識的に左上肢を動かすことで胃管に触れて誤抜去につながるのではないかと考えました。そこで、安全な栄養投与の方法として、左上肢から胃管までの距離を確保、胃管に触れにくい環境を作るため、右鼻腔に胃管を挿入し、栄養剤も患者の右側に設置することにしました。また、胃管の固定は可能な限り隙間をなくすよう工夫しました。(下記【胃管固定方法】参照)
これらの対応を徹底したことで、胃管を自己抜去すること無く過ごすことができています。
また、左上・下肢の動作時、力の加減ができていなかったため、ベッド柵に強打することによる外傷予防としてクッション性のあるベッド柵カバーで保護を行っています。(画像1参照)普段はご自身の右手を掴んで過ごしていることが多いのですが、左上肢の機能を刺激できるような方法がないか、認知症サポートチーム(DST)に相談し、マスコットが多数ついた「認知症マフ」を進められました(画像2)。マフの内側にマスコットが付いているため、手を入れると自然とマスコットに触れることができます。時にはつけていたはずのマフが振り飛ばされていたり、マフをつけたまま自身の右手を握っていることもありますが、何かしら患者さんの刺激になればと信じてケアしています。

【胃管固定方法】※シミュレーターによる再現のため左鼻腔に挿入しています

画像1 抑制しないケアの実際(医療療養病棟)
画像2 抑制しないケアの実際(医療療養病棟)
画像3 抑制しないケアの実際(医療療養病棟)

胃管で鼻腔を圧迫しないよう下方に向かって固定する

画像4 抑制しないケアの実際(医療療養病棟)

胃管部分はΩ(オメガ)止を行い、皮膚との接触を避ける

画像5 抑制しないケアの実際(医療療養病棟)

胃管の浮き上がり部分に指が入り込まないようフィルムドレッシングでカバーする

抑制しないケアの実際:障害者病棟(2024.06.21UP)

抑制しないケアの実際:地域包括ケア病棟私たちの病棟は、さまざまな疾患の方が入院されています。その中には、認知症の患者さんも多く、慣れない環境での生活に混乱する方もいます。そのため、患者さんの混乱ができるだけ短期間で改善するよう、リハビリテーションスタッフと協力しケアを提供しています。『その方にとっての楽しみは何か』『安全に過ごしてもらうために何ができるか』など患者さん個々の背景を考慮した活動を検討し実践しています。特に、『集団リハビリ』『院内デイケアでの活動』を積極的に取り入れ、昼間は活動し夜間は休息することができるようにしています。患者さん同士協力しながら『ちぎり絵』や『塗り絵』などを制作している時間は、患者さんの笑顔も多く見られ、楽しい時間が過ごせているなと感じます。

抑制しないケアの実際:障害者病棟(2024.06.21UP)

抑制しないケアの実際:障害者病棟当院に入院する以前は、栄養カテーテル(経鼻胃管)の自己抜去を防ぐため身体拘束を行っていた患者さんでした。
当院入院後は、カテーテルの視認を避けるためマスクを着用してもらうようにしました。
時折、マスクを気にして触れることはありますが、カテーテルに触れることはありません。
また、手持無沙汰になり、カテーテルに気持ちが向いてしうことが無いよう、『認知症マフ』を使用しました。認知症マフに付いている飾りに楽しく手で触れることで、カテーテルからの意識を遠ざけることができているように感じます。
このように、患者さんの自由をそこなわず、カテーテル以外のものに興味が向くような工夫をしながら日々見守っています。

※認知症マフとは:認知症特有の症状から手元に不安を感じる人が触れたり手を通したりして落ち着けるように、さまざまな飾りを縫いつけた円柱型のニット小物(朝日新聞厚生文化事業団HP参照)