抑制に頼らないケアへの挑戦
当院では1999年に抑制廃止宣言を行い、
現在も抑制ゼロを推進しています。
- 抑制とは何かを考え、行動致します。
- 抑制をなくすことを決意し、実行致します。
- 抑制を限りなくゼロに近づけるよう努めます。
- 継続するため、いつでも院内を公開致します。
- 抑制廃止を地域に広げるよう努力します。
身体拘束とは・・・
施設や病院などで、「治療のじゃまになる行動がある」、あるいは「事故の危険性がある」という理由で、ひもや抑制帯、ミトンなどの道具を使用して、ベッドや車椅子に縛ったりすることをいいます。
部屋に閉じ込めて出られないようにする、あるいは、向精神薬を飲ませて動けなくすることも身体拘束となります。
利用者の行動を抑制し,制限する言葉かけ「スピーチロック」も抑制になります
全国抑制廃止研究会のホームページはこちら
抑制に頼らないケアへの挑戦(院内の取り組み)
『人としての尊厳を守りながら、安全なケアを提供することで、患者さまが安心し、満足できる入院生活を送ることができる』という目的を持ち、抑制廃止宣言を行い取り組みました。
スタートするに当たり、院長の強い意志が伝えられました!
組織・トップマネージャーの意思決定と覚悟
- 抑制廃止の過程で、万一事故が起こった時は、最終的に院長が責任を持つ
- 急いで外さなくて良いので、チームでよく検討し、出来ることろから始める
院長が職員へ向けて講演
抑制廃止に取り組む以前は・・・
1999年6月時点での抑制状況
-
内容 |
件数 |
ミトン |
11 |
上下肢をベッドに縛る |
1 |
車椅子 腰ベルト |
10 |
車椅子 Y字固定 |
51 |
車椅子へのテーブル装着 |
8 |
-
内容 |
件数 |
Tシャツの裾を股で縛る |
14 |
ベッド柵 2本を固定 |
5 |
ベッド柵 4本使用 |
130 |
向精神薬の多剤投与 |
1 |
合計 |
231 |
その後・・・2002年には0件に!!
患者さんもご家族も、こんな思いを持っていました・・・
院外に向けた抑制廃止の取り組み
抑制廃止宣言を行い、身体拘束ゼロを続ける「当院のケアをしりたい・話を聞きたい」と、さまざまな地域の病院や施設からの見学を受け入れています。
また、抑制廃止を病院外に推進するため、地域に出かけ、講義や講演会を行うこともあります。
見学等の希望があればご連絡ください。
北海道抑制廃止研究会
北海道抑制廃止研究会は、1999年に発足し、現在に至るまで活動を続けています。
当院は事務局となり、身体拘束ゼロに向けて、様々な取組みを行っている病院・施設の皆さんによる事例の発表や講演、シンポジウムを行うなど、抑制廃止の実現を目指した活動を積み重ねてまいりました。
今後も、抑制廃止の推進に向け、皆様のお力をお借りしながら研究会の活動を続けていきたいと考えております。
資料ダウンロードページへ
あらゆるライフステージを支援しています
渓仁会のスローガンである「ずーっと。」を大切にし、これまで、0歳から100歳以上の方までの幅広い入院相談をお受けしてきました。
慢性期医療機関である定山渓病院には神経難病の方や、急性期の治療が終わった後に継続的な医療・看護・介護・リハビリテーションを必要とするご高齢者が多く入院しています。
慢性期医療機関は高齢者専門病院とのイメージ画像をお持ちの方も多いかと思いますが、近年ではご高齢の方に限らず、在宅で暮らす染色体異常など先天性の疾患を抱えた就学前のお子さん、交通事故などでリハビリが必要な10代、20代の若い方の入院も増えています。
定山渓病院は年齢を問わずに生活を支え続ける慢性期医療機関でありたいと思っています。
入院患者さんの年齢
(2019年7月現在)
2割以上が64歳以下
の患者さんです
入院患者さんの居住地
(2019年7月)
札幌市以外からも
多くの患者さんが
入院しています
ご相談できる疾患、障がい、医療行為の一例
- 医療的ケア児、重複障がい児者
- 脊髄損傷、脳挫傷
- 重度の意識障がい
- 神経難病
- 人工呼吸器、酸素、中心静脈栄養
- 狭心症、心筋梗塞、心不全
自宅・施設で生活している方々にも選ばれています
定山渓病院では住み慣れた地域や居宅で安心して暮らせるように「ときどき入院ほぼ在宅」をお手伝いさせていただきます。
在宅生活を長く継続していただくために、短い期間の入院による集中的なリハビリをお勧めしております。
ご自宅や入所中の施設までお迎えに伺うことも可能です。在宅生活へ戻られた後には、通所リハビリ、訪問リハビリも提供させていただきます。
在宅生活を送っている方へ
例えば
- 肺炎や脱水を繰り返すようになり、気軽に入退院できるところがほしい…
- 複数の病院からもらった薬が多くて心配…
- 長年、病気や障がいを抱えているけどリハビリを継続したい…
- 急な冠婚葬祭が入り、1日家を空けたいけどショートステイ先が見つからない…
- 食欲がなく、ムセが多くなり心配…
- 介護疲れで少し休みたい…
- 最期は家で看取りたいけど、通院、入院、訪問で支えてもらいたい…
などでお困りの方、お任せください。
在宅送迎、即日入院も可能です
入院直後からリハビリスタッフが関わり、入院後数日でリハビリを開始している実績が多くあります。
身体機能、認知機能、摂食・嚥下機能、日常生活動作の能力を短期入院にて評価・訓練すること、短期集中的なリハビリも可能です。栄養指導、服薬調整も行います。
一緒に解決策を考えます!!
歩いて温泉に!歩けるようになって温泉に!
当院の入浴施設は全て湯量の豊富な温泉水(ナトリウム塩化物泉)を用いた温泉設備となっています。入浴形態はストレッチャー浴、車いす浴、介助浴、一般浴の4種類があり、患者さんの身体状況に応じた機能的な入浴設備を設けています。
ストレッチャー浴・車いす浴は、暖かく優しい霧状のシャワーが全身を包み込むように暖める、最新型のミスト浴を使用しています。
介助浴・一般浴は大浴場(写真左上は男性用、写真右下は女性用)を使用しており、肩までゆっくりと温泉につかることができます(3回/週)。リハビリによる機能・能力の向上を図り、温泉につかることを目標に取り組んでいます。
7階バルコニーでは、豊かな自然を眺めながら手湯、足湯を堪能することができます(陽だまり湯)。
こんな患者さんが
いらっしゃいました・・・
「おれ、いざってでもいいから、大浴場に入りたい!」
20年以上も前のお話です。
脳梗塞後遺症による右片麻痺があり、入院生活では車椅子を使用していました。
リハビリ場面では、平行棒の中で、リハビリスタッフが介助をしながら歩けるレベルの患者様でした。入浴形態は、車いす浴でした。
ある日、訓練場面で「おれ、いざってでもいいから、大浴場に入りたい!」と。「杖を使ってでも、ひとりで歩けないと大浴場には入れないんだろう?」と。
当時、大浴場での入浴が可能となる基準は、入浴サポーターの介助で転倒せずに移動できることでした。杖を使用して移動される方もいらっしゃらなかったと記憶しております。
この言葉を聴いてから、歩行訓練の頻度と難易度を上げました。杖歩行、掴まり歩行の機会をこれまで以上に増やし、大浴場での入浴を目指しました。リハビリを続けながら、何度も実際に大浴場での評価と訓練を繰り返しました。数ヶ月経過し、リハビリスタッフではなく、入浴サポーターの介助で、浴室内の杖歩行が可能となり、大浴場の入浴が可能となりました。この患者様の一言のお陰で、リハビリスタッフが入浴に付き添い評価・訓練することの意味を考えることができ、現在のシステムに至っております。
「車いすで入る温泉も悪くないけど、やっぱり大浴場に入りたいね!」
最近のお話です。
進行性で調子に大きな波がある難病と整形疾患の既往がある患者様です。入院当初、その日の調子によって車いすと歩行器を併用していました。入浴形態は、大浴場での介助浴でした。しかし、その後進行性の難病の影響、整形疾患の後遺症の影響で、大浴場での入浴が困難となり、ご本人も納得されて、車いす浴に変更になり経過していました。
ある日、訓練場面で担当変更があり新たな担当となったリハビリスタッフに、「入院した頃は大浴場に入っていたんですよ。今は、病気が悪化して、歩くのが思うようにならなくなったから車いすで入るお風呂ですけど・・・車いすで入る温泉も悪くないけど、やっぱり大浴場に入りたいですね!」と。リハビリスタッフが付き添い大浴場に入ることを提案しましたが、自信が無いとのことで見送りとなりました。
しかし、入浴に限らず、今後のために、とこの日から、病室前の廊下を毎朝一往復。2ヶ月も経過した頃、「少し前のように歩けるようになってきましたでしょうか?大浴場も夢じゃないですかね?」と。再度、大浴場への入浴を提案し、リハビリスタッフが付き添い入浴実施となりました。顔馴染みの入浴サポーターには、「何とか(この大浴場に)帰ってきました。また宜しくお願いします。」と。肩までつかった浴槽で、満面の笑みがこぼれていました。波のある難病患者様だったため、毎回、大浴場での入浴は困難だったため、リハビリスタッフが付き添う介助浴と車いす浴を併用して経過されました。
その後、難病の進行に伴い、ご自身から「そろそろ、大浴場でのお風呂を卒業します。今までお付き合いしていただき、本当にありがとうございました。」と。この患者様は、その後更に病状が進行し、ストレッチャー浴になりました。ストレッチャー浴になった状態でも、大浴場での入浴を目指し毎日廊下を歩いたこと、大浴場で顔馴染みの患者様と過ごした時間のことが良い思いでとして、話題にあがりました。
ご本人の状態に合わせ、ご本人の意思を尊重した支援ができたと感じております。
患者様の状態に応じ、入浴も訓練の一環として捕らえ、リハビリスタッフが付き添い、安全な入浴をサポートします。
定山渓温泉の歴史
札幌市街地から南に26km、車で1時間弱の距離にある定山渓温泉。支笏洞爺国立公園内に位置し、 緑豊かな渓谷の湯どころとして年間240万人程の方が訪れています。近年はONSENを楽しみに訪れる外国人の数も増えています。
定山渓の歴史は古く、慶応2年(1866年)修験僧・美泉定山がアイヌの人々の案内で泉源と出会った時に始まります。 幾多の困難を乗り越え温泉の礎を築いた定山の功績から、この地が「定山渓」と命名されました。 定山没後も、恵まれた自然環境とその豊富で良質なお湯とともに街は発展し、開湯から130年にあたる平成8年(1996年)には 「健康保養地宣言」をしました。定山が守り続けたお湯は、今日も人々の心と体を優しく癒してくれています。
定山渓観光協会公式サイト 定山渓温泉ホームページより
定山渓温泉の泉質・効能など
泉質:ナトリウムカルシウム炭酸水素塩・塩化物泉
効能:神経痛、筋肉痛、関節痛、五十肩、関節のこわばり、うちみ、くじき、運動麻痺、切傷、火傷、慢性皮膚炎、冷え性、慢性消化器病、慢性婦人病、痔疾、疲労回復、病後回復期、虚弱児童
温泉リハビリの実績
年間約100件の入浴評価、入浴訓練を実施しています。