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神経内科総合医療センター

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10 正面視からの外眼筋の作用

2024.10.31

10 眼球運動の基礎(2)

 

正面視からの動き方:それぞれの外眼筋の作用

 

図1
眼球運動の基礎(1)で記したごとく、上直筋および下直筋は眼球前後のZ軸から23度だけ傾いた角度で眼球の中心より少し前、上斜筋と下斜筋は眼球のZ軸から51度だけ傾いた角度で眼球の中心より少し後に付着しています。このため、正面視から各筋が単独で働いたとすると、Z軸に対して回旋運動が生じます。内直筋と外直筋の場合は、このような回旋は生じません。

 

図2
眼球のZ軸のまわりの回旋は時計方向か、反時計方向です。

 

図3
眼球が動く方向としては、上直筋は内側上へ、下直筋は内側下へ、下斜筋は外側上へ、上斜筋は外側下へ動かします。Z軸方向の回旋は左右の眼球で異なります。
(A)時計方向への回旋
右眼球:上直筋と上斜筋
左眼球:下斜筋と下直筋
(B)反時計方向への回旋
右眼球:下斜筋と下直筋
左眼球:上直筋と上斜筋

見つめる方向として各筋の働きは次のようになります。
(A)左側へ:右眼は内直筋、左眼は外直筋:Z軸回旋を伴わない
(B)右側へ:右眼は外直筋、左眼は内直筋:Z軸回旋を伴わない
(C)左上へ:右眼は上直筋、左眼は下斜筋:時計方向に回旋
(D)左下へ:右眼は下直筋、左眼は上斜筋:反時計方向に回旋
(E)右上へ:右眼は下斜筋、左眼は上直筋:反時計方向に回旋
(F)右下へ:右目は上斜筋、左眼は下直筋:時計方向に回旋
(G)上側へ:どちらも上直筋と下斜筋の共同作業:Z軸回旋を伴わない
(H)下側へ:どちらも下直筋と上斜筋の共同作業:Z軸回旋を伴わない

 

 

 

 

 

 

図4
動画で示したのは3DCGでしたが、これを3Dプリンタで現実世界に作りました。これを手に持って動かしてみることで、各筋の作用により眼球の動く方向を理解することが出来ます。眼球を真球と考え、X軸に垂直な平面と眼球が交わる線をX0、Y軸に垂直な平面と眼球が交わる線をY0、Z軸に垂直な平面と眼球が交わる線をZ0とします。Z0より少し前にあるZ1とX0の交点に上直筋および下直筋が付着しています。Z0より少し後にあるZ2とX0の交点に上斜筋と下斜筋が付着しています。このことで、眼球のZ軸まわりの回旋を含めた様々な動きが生じます。

 

文責:小林信義