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神経内科総合医療センター

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12 Bielschowsky 斜頸試験

2024.10.31

12 眼球運動の基礎(4)

 

Bielschowsky斜頸試験:軽度の上斜筋麻痺を調べる検査

 

図1
図の中央のように正面を見ている状態では、眼球に付着する6個の外眼筋には一定の張力がバランスよくかかっています。そのため眼球は正面を向きます。首を右にかしげると、眼球は大地に対して水平を保とうとします。右眼球では上直筋と上斜筋が働いて、眼球を時計方向に回旋させます。反対方向への張力は釣り合うので虹彩の位置は変わらずに回旋だけが生じます。左眼球では下斜筋と下直筋が働いて眼球を時計方向に回旋させます。首を左にかしげた時も同様の機序が働いて、眼球を水平に保ちます。

 

図2
右の滑車神経障害、すなわち上斜筋麻痺の場合です。首を左側、すなわち麻痺の無い方向にかしげた場合、眼球を反時計回りに回旋させる必要があるのですが、右の上斜筋は関与しません。そのため何の問題も生じません。首を右側、すなわち麻痺がある方にかしげた場合は、右の眼球は上方を見てしまいます。これがBielschowsky斜頸試験です。右の眼球を時計方向に回旋させるには、上直筋と上斜筋が同等の力で引っ張る必要があります。しかしながら上斜筋麻痺のため、下に引っ張る力が不足します。それで力関係により眼球は上を向いてしまいます。眼球を水平にする力も弱いはずです。

 

図3
左の滑車神経障害、すなわち上斜筋麻痺の場合も同様の機序が働きます。

 

文責:小林信義